栄養教諭や家庭と連携する効果的な「食育指導」【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ⑪】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第11回は、食育指導について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
「食育指導」は、子供のよりよい成長を支えるための基盤となる教育活動です。成長期にある子供にとって、健全な食生活は健康な心身を育むために欠かせないものであり、この時期の食習慣の形成は、将来にも大きな影響を及ぼします。食事のマナーや栄養バランスなどを学ぶことができるようにするとともに、学校給食を活用しながら地域との連携を図るなど、多様な視点で指導に当たることが求められます。そこで、「食に関する指導」を行うに当たって次の3つのキーワード「食育指導の意義」「食育指導のポイント」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 食育指導の意義
「食育指導」で目指すのは、子供が食に関する正しい知識を身に付け、望ましい食習慣を実践できるようにすることです。「食育指導」では、子供たちに次のような資質・能力を育てることが求められます。
・食事の重要性や栄養バランス、食文化等についての理解を図り、健康で安全な食生活に関する知識や技能を身に付ける。
・食生活や食の選択について、正しい知識や情報に基づいて、自ら管理したり判断したりできる能力を養う。
・主体的に自他の健康な食生活を実現しようと、食や食文化、食料の生産等に関わる人々に対して感謝する心を育み、食事のマナーや食事を通じた人間関係形成能力を養う。
「食育指導」で求められる実践力は、学校教育だけで身に付くものではありません。広く家庭や地域との連携を図ることが不可欠です。子供たちに育てたい資質・能力を踏まえ、家庭や地域との連携を図った全体計画を作成し、活用していきましょう。
学校としての全体計画を踏まえて実践します
「食育指導」の全体計画は、各分野における学校の全体計画等と関連を図りながら、効果的な指導ができるように作成する必要があります。具体的には、主に次のような項目を盛り込んで作成するのが一般的です。
・食に関する子供たちの実態把握を通して、課題を明らかにし、学校で育成したい食に関する「学校の目標」を設定する。
・食育指導の「学校の目標」に基づいて、各学年ではどのような資質・能力を育成するのか、学年等の「指導の目標」の計画を明らかにする。
・学年等の「指導の目標」を達成するために、指導内容・時間配分の概要、評価等について、どの教科等でいつ、だれがどのような指導を行うのかを明らかにする。
・日常の給食指導ではどのように指導するのか、肥満などの個別指導等をどのように行うのか等の「指導の計画」を明らかにする。
学校で作成した全体計画は、全教職員で共通理解を図って、確実に実施できるようにすることが求められます。その際、家庭や地域等との連携を図ることによって、学校給食や食に関する授業が豊かなものになることを踏まえて実践していきましょう。
CHECK② 食育指導のポイント
「食育指導」を行う場面としては、概ね「教科等」での指導場面と、「給食の時間」における指導場面、「個別的な相談」を行う場面があります。それぞれの場面で指導を行う際には、「栄養教諭」との連携を図ることが求められます。
どの場面での指導についても、子供の実態に即したものでなければ効果的なものとはなり得ません。学校の指導計画に基づいて、事前に栄養教諭との打ち合わせを行い、子供たちの実態に即した指導を展開できるようにしていきましょう。
3つの指導場面を踏まえ、栄養教諭との連携を図ります
「食に関する指導」では、概ね次のような指導場面で、「栄養教諭」との連携を図った指導を行うことが求められます。
(1)教科等の時間での指導
・各教科や外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動、自立活動といった学校の教育活動全体を通して行う。
・栄養教諭は、教材作成等の具体的な方法や地域の生産者等による授業への参画や協力を得るためのコーディネーターとしての役割を担うようにする。
(2)給食の時間での指導
・給食の時間は、準備から片付けの実践を通して、子供たちに望ましい食習慣と食に関する実践力を身に付けるようにする。
・学校給食に地場産業を活用したり、郷土食を取り上げたりすることを通じて、地域の文化や伝統に対する理解と関心を深めることを目指す。
・栄養教諭は、日ごろから給食の準備の様子、配食での衛生的な取り扱い、食事のマナー、残食の状況の把握などに努めるようにする。
(3)個別的な相談指導
・学校としての個別的な相談指導は、保健主事が中心となり、学級担任、栄養教諭、養護教諭等で連携を図り、定期的に協議の場を設定する。
・個別的な相談指導は、目的や期間を明確に設定し、現状把握と課題を取り上げる。個別目標の設定・相談指導計画の作成、実施、振り返り、個人評価などのサイクルに沿って行う。
・栄養教諭は、養護教諭や学校医等との連携の要としての役割を担う。

