「読書活動」を活性化する手立てと工夫【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ⑩】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第10回は、読書活動の推進について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
「読書活動」を推進することは、子供の学習の基盤を築くことに直結します。それは、単に本を読むという行為だけではなく、本に親しみながら、書物を通じて多様な知識を得るとともに感性を豊かにすることにつながります。また、読書を通じて想像力や表現力を養い、生涯学習の根幹になると言っても過言ではありません。読書は、幅広い年齢層を対象とし、言葉を習得することや豊かな情操の育成など、豊かな人生を生きるための基盤形成に重要な活動として位置付けられます。そこで、「読書活動」を推進するにあたって、次の3つのキーワード「読書活動の目的と学年別の傾向」「読書活動の具体的な取組」「指導上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① 読書活動の目的と学年別の傾向
「読書活動」の目的を明確にし、指導する際の育成すべき視点を取り上げていくことが求められます。読書活動を通じて育てたい、次のような視点を踏まえて指導に当たりましょう。
①知識を得るようにし、「知的好奇心」を育む。
②言葉を学び、表現力を高めるなかで、「豊かな情操」を育む。
③文章の背景をイメージし、「想像力や創造力」を育む。
④自ら問題を発見し、「問題を解決する力」を育む。
⑤「多様な文化や考え方を理解する力」を育む。
⑥「豊かな心や自立した学習者としての力」を育む。
⑦学ぶ楽しさや知る喜びなど「生涯にわたる学習意欲」を育む。
⑧自らの生き方を見出し、「より深く生きるための力」を育む。
子供たちにこのような力を育てるためには、次のような読書活動の発達的な傾向性を踏まえて指導することが求められます。
読書活動の発達的な傾向性を踏まえて指導に当たります
小学校の低・中・高学年の発達段階に即した指導を行うためには、読書活動における発達的な傾向性を踏まえておくことが大切です。個人差はありますが、まずは次のような一般的な傾向性を踏まえて指導に当たりましょう。
〔低学年〕…本の「読み聞かせ」を聞くだけでなく、1人で本を読もうとするようになり、語彙の量が増え、文字で表された場面や情景をイメージできるようになります。
・動物を主人公にした本を好んで読むようになります。
・文章の内容よりも、絵に興味をもつことが多い傾向にあります。
〔中学年〕…最後まで本を読み通すことができる子供とそうでない子供の違いが表れ始めます。読み通すことができる子供は、自分の考え方と比較して読むことができるようになるとともに、読む速度が上がり、多くの本を読むようになります。
・外遊びが多くなり、読書量は減少しがちになります。
・興味・関心のある図説等のものを好み、友達関係を中心にした物語を好むような子供も見られます。
〔高学年〕…本の選択ができ始め、そのよさを味わうことができるようになり、好みの本の傾向が表れるとともに読書の幅が広がり始める一方で、この段階で発達がとどまったり、読書の幅が広がらなくなったりする子供が出てくる場合があります。
・推理小説や冒険小説を好む子供、同年代の子供を主人公にしたシリーズものを好む子供もいます。
・科学的な読み物など、特徴的な内容の本を選ぶようになります。
CHECK② 読書活動の具体的な取組
読書活動は、読書習慣の定着を目指す取組とも言えます。特に、小学校段階では、読書を通じて学ぶ楽しさや知る喜びを体感し、生涯にわたる学習意欲の基盤を育むようにします。そして、自らのよりよい生き方を見出していくことができるような力を育むことを目指します。
そのために、学校での具体的な取組だけでなく、家庭にも啓発していくことが求められます。具体的な取組を通して個々の子供にとって読書活動が充実したものになるようにしていきましょう。
学校としての具体的な読書活動を構想します
学校での読書活動の具体的な取組としては、次のような実践が見られます。
①全校で朝の決まった時間(5~10分程度)に「朝読書」として読書を行う。
②図書ボランティアや保護者、教職員等による本の「読み聞かせ」を行う。
③年に数回「読書週間」として読書をテーマにしたイベントを行う。
④読んだ本の冊数やページなどを記録して「読書貯金」で目標の達成を目指す。
⑤教師や読書好きの子供がおすすめの本を紹介する「ブックトーク」を行う。
⑥手作りのカードに本の感想を書いた「読書カード」を友達に手渡す。
⑦図書係などを中心に、読んだ本に関する「本のクイズ」を出す。
⑧おすすめの本にオリジナルの「帯やポップ」を作成して友達に紹介する。
⑨数人での「読書会」やペアでの「ペア読書」で、1冊の本の感想を話し合う。
⑩「ビブリオバトル」としておもしろいと感じた本の紹介を数人で発表し競い合う。

また、保護者には、家族で同じ本を読んで感想を話し合う日や、家庭で読書をするいわゆる「家読(うちどく)の日」を奨励する実践もあります。
