子供の深い学びを引き出す「ティーム・ティーチング」と「ゲストティーチャー」の活用【子供の個性と能力を最大限に引き出す 学級経営の極意Ⅲ⑨】

子供の個性と能力を最大限に引き出すためには、教師はどのような指導をしていけばよいのでしょうか。学級経営を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に、学級の中で個々の子供の力を伸ばしていく方法について解説します。第9回は、ティーム・ティーチングとゲストティーチャーの活用について解説します。
執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
城西国際大学兼任講師
日本女子体育大学非常勤講師・稲垣孝章
「ティーム・ティーチング」とは、複数の教員がティームとなって実施する指導方法です。ここでは、ティーム・ティーチング(team teaching)の頭文字をとって、通称として使われているTTとして表記します。また、いろいろな知識や経験をもつ人等、専門分野の方を授業に招いて指導してもらう「ゲストティーチャー」(guest teacher)をGTとして表記します。
授業における協力的な指導を行う「TT」と「GT」の効果的な活用は、子供の多様な学びを深めます。そこで、「TT」と「GT」を効果的に活用するにあたって、次の3つのキーワード「TTの意義と効果的な活用」「GTの意義と効果的な活用」「TT・GT活用上の配慮点」でチェックしてみましょう。
目次
CHECK① TTの意義と効果的な活用
TTの授業では、1人の教師ではできにくい多様な学習を展開することが可能です。また、他の教師と協力して授業を展開することにより、個に応じた多面的な指導を展開することもできます。TTでは、本時の授業だけでなく、事前に行う教材の準備や指導案の作成、授業後の振り返りや評価についても協力することができ、教師の「負担軽減」に直結します。
その指導形態としては、1人の教師がメインとなり、もう1人がサブとして補足する形態、1人の教師が指示や説明を行い、もう1人が個別に説明やヒントを与える形態、学級を2つ(または2つ以上)のグループに分けて同じ内容の指導を行ったり、習熟の度合いによってグループを分けて指導を行ったりする形態などがあります。いずれの指導形態においても、指導のねらいに即して、個々の教師の役割を明確にして指導に当たるようにしていきましょう。

役割分担を明確にして工夫した授業を構想します
TTの授業では、個々の教師の役割を明確にして指導に当たることが不可欠です。
例えば、性に関する指導を行う題材で、学級担任がT1、養護教諭がT2となって専門性のある指導を行うことがあります。その際、前半部分をT1が行い、後半部分をT2が担当するという「分業制」にして授業を展開する場合があります。また、子供の実態や指導内容に応じて、T1とT2が教師役と子供役になってロールプレイングを取り入れるという方法もあります。他にも、T1とT2で掛け合いをしながら授業を展開することで、子供たちの学習意欲を高めていくことも考えられます。
学習のねらいや子供たちの実態を踏まえて多様な指導方法を構想しながら、教師が適切な役割を担うようにしていきましょう。
CHECK② GTの意義と効果的な活用
GTを招いた協力的な授業は、子供の学習への関心を高めるとともに、学習意欲を向上することにつながり、深い学びに導くことが期待されます。特に、学校内の教師以外の専門家等を招くことは、日常の授業とは異なる緊張感や新鮮な雰囲気を醸し出します。また、教師の教材研究による説明等では理解しにくい、各分野の専門的な知識からの学び、現実的な苦労や工夫など、人としての生き方にも関わる学びを獲得することも考えられます。
学校としては、指導のねらいに即した授業展開にふさわしい外部指導者を選定し招聘することが求められます。特に、学校として作成されている「外部指導者人材リスト」などを積極的に活用し、子供たちにとって効果的な授業となるようにしていきましょう。
指導内容を踏まえた適切な指導方法を構想します
GTは、各分野の専門家等であり、子供たちにとって心に響く指導を展開できる存在です。しかし、教育に関する専門家ではないケースも多く見られるのが現状です。ゆえに、学校側で教育課程に沿った授業であることについて事前によく共通理解を図り、指導内容や指導時間等を確認して、GTに指導を依頼することが不可欠です。
特に、地域に在住するGTを招聘する場合には、その後の日常生活の中でも関わる機会があることが考えられます。大切な地域の一員として、授業後の交流を深めていくことも重要な視点です。GTの活用により、学習への意欲を高めるような指導を構想し、子供たちの主体的な深い学びや生き方につながる機会にしていきましょう。
