特性をもつ子供の手を離さないとは? 【伸びる教師 伸びない教師 第70回】
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豊富な経験によって培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする人気連載。今回のテーマは、「特性をもつ子供の手を離さないとは?」です。学級の中には、様々な特性をもった子供がいます。そのような⼦供の特性に向き合って、何とかしたいと頑張っている教師がどのように取り組んでいるかという話をお届けします。
執筆
平塚昭仁(ひらつか・あきひと)
栃木県公立小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を務める。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。
目次
自分の感情がコントロールできない
特別支援教育の研修会で、通常学級における配慮を要する子供について、講師の先生から聞いた言葉が研修後もずっと頭から離れませんでした。
「つないだ手を離さない」
学級の中には、様々な特性をもった子供がいます。そうした子供たちの中には、パニックを起こし暴れている最中、心の中では「誰かぼくを止めて」と思っている子供や大声で泣き叫んでいるとき、「自分が自分じゃない」と感じている子供など、自分で自分の行動を止めることができず、悩んでいる子供も多くいます。
ある男の子は、1つのことに夢中になると周りが見えなくなってしまうタイプの子でした。また、自分の感情をコントロールできないという特性をもっていました。
理科の授業中、実験キットの組み立てに夢中になり、教師が学級全体に作るのをやめる指示をしても全くやめようとはしませんでした。周りの子供たちは「○○さん、先生が作るのをやめてって言っているよ」と声をかけるのですが、やめようとせず黙々と作り続けていました。
3回目の声かけのとき、男の子は急に立ち上がり、その友達につかみかかりました。幸い、大きなけがにはならなかったのですが、周りの子供たちはそれ以来、男の子に声をかけなくなりました。 友達から距離を置かれていることに気づいたのか、その男の子は、以前より些細なことでも怒るようになっていきました。休み時間、ブランコを待つ列に横入りし、そのことを注意した友達を追いかけ回すこともありました。行動は日に日にエスカレートしていきました。
先生が手伝うよ!
ある日の休み時間、サッカーで遊んでいた男の子が友達を追いかけ回したため、教師が止めると泣き出しました。しばらくそっとしておき、落ち着いた頃、教師がその子の横に座り、小さな声で語りかけました。
「もう…友達…傷つけるの…やめない?」
その男の子は返事をせずに校庭の真ん中で座り込み、抱えた膝に顔をうずめていました。
「先生さ、友達が傷つくのも○○さんが傷つくのも、どっちも見たくないんだ」
男の子は膝にうずめた顔を横に何度も振りました。
「やめられそうにない?」と教師が聞くと、その男の子は小さくうなずきました。
「なら、先生が手伝うよ」
その日から、教師は男の子のそばを離れませんでした。授業中は、教師のすぐそばになるよう席替えをしたり、休み時間は一緒に外に出てサッカーやブランコで遊んだりしました。しかし、教師と一緒にいてもその男の子は相変わらず友達に怒りをぶつけます。

