ページの本文です

何度も言ったのに?【伸びる教師 伸びない教師 第66回】

連載
伸びる教師 伸びない教師
関連タグ

栃木県公立小学校校長

平塚昭仁
第66回 伸びる教師 伸びない教師
バナー

豊富な経験によって培った視点で捉えた、伸びる教師と伸びない教師の違いを具体的な場面を通してお届けする人気連載。今回のテーマは、「何度も言ったのに?」です。何度言っても相手に伝わらないことは多々あります。相手が教師でも子供でもその経験はあるのではないでしょうか。何度言っても伝わらないのはなぜかということを知ることが大事であるという話をお届けします。

執筆
平塚昭仁(ひらつか・あきひと)

栃木県公立小学校校長。
2008年に体育科教科担任として宇都宮大学教育学部附属小学校に赴任。体育方法研究会会長。運動が苦手な子も体育が好きになる授業づくりに取り組む。2018年度から2年間、同校副校長を務める。2020年度から現職。主著『新任教師のしごと 体育科授業の基礎基本』(小学館)。

伸びる教師は何度言っても伝わらなければ違う方法を試し、伸びない教師は何度言っても伝わらないと嘆く。

若手の教師が分かってくれない

ときおり、他の教師から指導に関する相談を受けることがあります。
若手の教師にどう教えたらよいか悩んでいる……。
担任する子供の指導がうまくいかない……。
そして、相談に来た多くの教師はこの言葉を口にします。
「何度も言ったのですが……」
この言葉の次には、「変わりません」「また同じことをします」「分かってくれません」など、自分の指導が届かず困っていることがうかがえる言葉が続きます。
確かに、何回言っても相手に伝わらないことは多々あります。こちらとしては、「これだけ言っているのになぜ分かってもらえないんだ」という気持ちが大きくなるのもうなずけます。私自身、そういう気持ちを抱いたことが何度もあります。

若手の教師に机間指導の仕方を伝えたのに

以前、自分が勤めていた学校でこんなことがありました。
若手の教師が研究授業をすることになったので、評価やその後の話合いにつながればと机間指導の仕方を教えました。回る順番や声かけの仕方、1人にかける時間など基本的なことを伝え、さらに、机間指導をしながら座席表に子供たちの意見を書き込み、評価するとともに指名計画を立てるとよいことを話しました。口だけでは伝わりにくいと思ったので、机間指導の仕方を図を使ってスライドにまとめたものと座席表のサンプルを本人に渡しました。
ところが、研究授業当日、机間指導をする若手の教師の手に座席表はありませんでした。その後の話合いは、挙手した子供たちが順番に意見を発表するだけで、話合いに深まりは見られませんでした。授業後、私は、どうして座席表を使って指名計画を立てなかったのかを聞いてみたかったのですが、その教師を責めるようなことになってはいけないと声をかけることをやめました。
それから数年後、その教師と話す機会があり当時の話で盛り上がりました。もう時がたっているので大丈夫かと思い、研究授業で座席表を使わなかったことについてさりげなく聞いてみました。
「せっかく教えていただいたのに、あのときはすみませんでした。あの頃の自分は、授業を流すことに精一杯だったので、指名計画の意味がよく分からなかったのです。でも今ならあのときいただいたアドバイスの意味がよく分かります」
よく考えれば、子供の意見をもとに指名計画を立てるということはベテランの教師でもなかなか難しいことです。当時、授業をスムーズに流すことに必死だった若手の教師に、指名計画のイメージがもてなかったことは当然のことだと思います。その教師が悪いわけではなく、相手のことを考えず自分の考えを押し付けてしまった私が悪かったと深く反省しました。

イメージ

成長年齢によって理解度が違うことを知る

この記事をシェアしよう!

フッターです。