小3 国語科「まいごのかぎ」板書例&全時間の指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科 「まいごのかぎ」(光村図書)の板書例や、1人1台端末を活用した活動例など、全時間の指導アイデアを紹介します。

 小三 国語科 教材名:まいごのかぎ(光村図書・国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都練馬区立大泉学園小学校校長・加賀田真理
執筆/東京都昭島市立富士見丘小学校・松清のぞみ

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、登場人物の気持ちの変化や性格、情景について、場面の移り変わりと結び付けて具体的に想像する力を育てていきます。

特に、登場人物の行動や気持ちの変化について、場面の移り変わりとともにどのように変化しているかを具体的に想像することを重点的に指導します。登場人物の気持ちは、場面の移り変わりの中で揺れ動きながら描かれることが多いため、複数の場面の叙述を結び付けながら登場人物の境遇や状況を捉え、物語全体に描かれた行動や会話にかかわる複数の叙述を結び付けて読んでいけるようにします。
また、その過程で、言葉のもつ意味や表現の価値に気付き、多様な語彙を獲得することも目指します。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、最初の場面と最後の場面を比較して、「りいこの気持ち」とともに「うさぎ」、「かぎ」などの存在が変化したことを確認し、作品の構造と内容を捉えた上で、揺れ動くりいこの気持ちを場面の様子と共に考え、感想を書くという言語活動を設定します。

最初の場面で「うさぎに悪いことをしたなあ。」と思っているりいこが、「かぎ」を持つことで、周囲に対する発見が促されることとなり、不思議な出来事と出合っていきます。その過程で心が揺れる様子を、場面ごとに丁寧に読み取ることを通して作品の魅力に迫り、感想に書きます。
第三次では、それまでの学習を生かして「うさぎ」や「かぎ」の存在について互いの感想や考えを伝え合うことで、自分自身の感想について確かめながら、考えを広げていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 問いを追究する単元の設定

単元の導入では、物語の最初の場面(「りいこ」が「しょんぼりと」歩いている場面)と、最後の場面(「りいこ」がうれしそうに手を振っている場面)とを提示することで、比較して気付いたことや疑問などを自由に表現できる環境を整えます。
また、「きつつきの商売」での、場面ごとの様子や登場人物の気持ちを想像しながら読む学習を振り返り、様々な言葉から気持ちを想像することができたことや、想像をふくらませながら読む楽しさを想起できるようにします。その上で、児童から出された気付きや疑問をもとに「問い」を立て、それを追究していく単元設定をすることで、児童が見通しをもちながら主体的に読むことができるようにします。

〈対話的な学び〉 グループ対話と端末活用で構造と内容を把握しやす

場面の移り変わりとともに、りいこの気持ちの変化について具体的に思い描くことに取り組みます。りいこは、様々なふしぎな出来事に出合うたびに、「そんなわけないよね。」「でもやっぱり」と気持ちが揺れ動きます。一つの場面の中だけではなく、複数の場面の叙述を結び付けることで、より詳しく気持ちの変化を見いだして想像することができます。その際には、どの叙述とどの叙述とを結び付けるかによって、変化やきっかけの捉え方が異なってくるため、多様に想像を広げていくことができます。
この段階で、友達との対話により、それぞれの結び付け方について考えの交流を行い、自分の考えを広げることに取り組みます。同じ言葉を選んでも、他の言葉との結び付け方が違うと別なつながりが見えてきたり、違う言葉を選んでも、登場人物の同じような性格が浮かび上がってきたりするなど、一人一人の言葉の選択や、結び付け方の違いが明確になると、みんなで一緒に学ぶことの楽しさや意義を実感として捉えることができます。
このときに電子端末の活用を図ると、手書きに比べて意見の移動や加除修正が容易なため、思考整理が円滑に進みます。

〈深い学び〉 表現の意味や効果を考える

単元の終末に、最初と最後の場面を比較した際にりいこの気持ちと共に変化していた「うさぎ」と「かぎ」の存在について短い言葉で説明することで、作品全体の構造が明らかになるようにしていきます。最初の場面では、「りいこの頭の中にたしかにいたはずのうさぎまで、どこにもいなくなった気がした。」、「うさぎに悪いことをした。」と感じていたりいこが、「かぎ」を得て様々な体験をすることを通して、最後の場面では「あのうさぎが、うれしそうにこちらに手をふっているのを」「たしかに見」ることができます。
「うさぎとは何か」を言語化する活動を通して、改めて物語の構造を一人一人が捉えられるようにしていきます。その後、「うさぎ」の存在についての理解が深まることで、「なぜ、かぎはりいこの目の前に現れたのか。」、「なぜ、いつのまにか、かげも形もなくなって」しまったのかなどの「かぎ」の存在や、題名の「まいごのかぎ」の意味についての考えも深められるようにしていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1) 端末活用で、対話しながら構造と内容を把握する

2・3時間目に、場面ごとに「起こった出来事」や「気持ちが表れている、りいこ(登場人物)の行動や会話(ひとりごと)、地の文」、「様子がくわしく分かる言葉や表げん」について表にまとめます。
4時間目には、その表に基づき「気持ちや気持ちのゆれが表れている言葉」、「くりかえし出てくる言葉」、「対になる言葉」などを選んでつながりを考えることにより、場面の様子と結び付けながら、りいこの揺れ動く気持ちの変化について、より具体的に想像を広げます。表にまとめることは、物語全体の構成を整理して捉えるにはとても有効ですが、ノートや模造紙などの紙を使って作成した場合、書くことそのものや、話し合いながら書き換えたり付け足したりすることに時間がかかる場合もあります。そこで、電子端末上の画面での操作によって表にまとめることを行います。文字の色分けや補助線の加除修正等が容易なため、さまざまな意見を視覚化しやすくなります。また、言葉等の結び付け方について、複数のバージョンを保存することも可能です。
もし、端末の文字入力に十分慣れている学級であれば、デジタル教科書の本文にマーカー機能で線を引き、児童が自分でデジタル付箋を書くなどの活動も可能です。

(2) 意見を可視化することで、考えを広げたり深めたりする

5時間目の「うさぎ」や「かぎ」、「まいご」という言葉が表す意味などについて読みを広げたり深めたりする場面では、できるだけ多くの友達の考えに触れられるようにしていきます。
「かぎ」、「うさぎ」、「まいご」の意味について考えたことを、学習支援ソフト(本稿では「Google Jamboard」を想定)を活用したKJ法によって交流すれば、それぞれが考えたことを一度に見ることや、考えを分類して整理することが容易にできます。内容によって付箋の大きさや色を変更できる機能が、手書きの付箋よりも有効に使うことができます。
また最後には、「テキストマイニング」等の表現ソフトを活用します。感想に使われている言葉を表示し、使用頻度に応じて文字の大きさを変えるなどして、全員の考えを分かりやすく視覚的に整理することで、話合いの活性化を図ることが可能になります。

6. 単元の展開(6時間扱い)

 単元名: かぎをもったりいこのゆれる気持ちやきっかけとなった出来事を見つけ、想像したことを感想にまとめよう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① 扉のリード文や絵を参考にして、物語の内容を想像する。通読後、最初と最後の場面の比較から気付いたことや疑問に思ったこと、これまでの学習経験の振り返りをもとに、登場人物の変化や、そのきっかけとなる物事についての問いを見いだし、単元の学習課題を設定し、学習計画を立てる。

・第二次(2時3時4時
②③ りいこの気持ちが想像できる行動、会話、地の文と起こった出来事、様子がくわしく分かる言葉の表現について、場面ごとに表にまとめ、りいこの気持ちの変化や性格、情景について捉える。〈 端末活用① 〉電子端末を活用して表にまとめる。
④ まとめた表を使って、場面による比較を行い、選んだ文や想像したことについて、同じところや違うところについて話し合い、感想を書く。

・第三次(5時6時
⑤ これまで学習したことを基に、最初と最後の場面でりいこの気持ちと共に変化する「うさぎ」や「かぎ」の存在について、その意味を考え、意見交換を行う。〈 端末活用② 〉電子端末を活用し、KJ法により考えを共有する。
⑥ 感想を交流して考察を深め、感想の付け加えと共に学習のまとめを行う。

各時の板書例、端末活用例と全時間の指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

扉にある題名やイラスト、リード文などから、どのような話なのかを想像し、物語への見通しや期待感を高められるような出合いを工夫します。

通読後、最初と最後の場面の比較から気付いたことや疑問に思ったことなどを出し合います。みんなで確認した登場人物の変化や、そのきっかけとなる物事から問いを見いだし、学習課題を設定して、単元の学習計画を立てていきます。

児童は、言葉や挿絵から、りいこの様子に変化があることや、題名にある「かぎ」が、「かげも形もなくなって」いること、不思議な「うさぎ」の存在などに気付くことでしょう。その気付きや疑問から「問い」を設定することで、児童自らが読みの課題を追究しようとする「主体的な読み」の意欲を引き出していきます。そこから、登場人物の「変化」を捉える読みについてのめあてを立て、「かぎをもったりいこの、ゆれる気もちやきっかけとなった出来事を見つけ、想像したことを感想にまとめよう」という単元の学習課題を設定し、学習計画を立てます。


【2・3時間目の活動例】(※電子黒板での表示や、電子端末内での作業を想定)

2・3時間目

りいこの気持ちの揺れや行動、起こった出来事、情景を表す言葉などについて、場面ごとに表にまとめていきます。

「きつつきの商売」でも、登場人物の行動から、その背景にある気持ちについて捉えることを学習してきました。りいこの行動や会話、地の文における情景描写や心情描写などを確認することを通して、物語の全体像を把握し、りいこの気持ちの揺れや変化について捉えていきます。

心の中で自問自答するだけで、本来は表には出てこない内言のようなりいこの気持ちが、独り言のように語られていることもこの物語の特徴です。会話に着目し、かぎのある文だけを抜き出してみても、それだけで登場人物(りいこ)の気持ちの変化や物語の流れを大まかに捉えることができます。

場面の移り変わりと共に、りいこはそれぞれの場面で揺れ動く二つの気持ちを体験していきます。「うさぎに悪いことをしたなあ。」と思いながら、学校の帰り道をしょんぼりと歩くりいこは、「よけいなこと」をしてしまわないように気を付けようとする自分と、「もしかして」という気持ちを抑えきれずに、何度もかぎあなにかぎをさしこんでしまう自分との間で、気持ちが揺れ動いていきます。その様子を場面ごとに確かめていくことで、改めてりいこの気持ちの揺れを丁寧に捉えていきます。

地の文は三人称視点で語られていますが、三人称視点からの美しい情景の描写が数多くちりばめられていることもこの物語の特徴です。
比喩(「ぱりっとしたシャツのような」「おとうふのような」など)、擬音・擬態語(「コンコン」「のそのそ」など)光の多様な表現(「ちらっと」「まばたきするかのように」など)、色を表す言葉(「こがね色」「青々とした」など)、感情を伴う様子の表現(「うらめしそう」「まんぞくそう」など)などの言葉を、初発の感想などから取り上げ、そのような言葉に対する意識を高めることで、情景を描写する豊富な表現に気付いていくようにします。

また、表にまとめることを通して、「きつつきの商売」で学んだ場面の分け方についても確認します。学習した内容が十分に定着していない場合には、P159「学習に用いる言葉」に「場面」の説明として書かれている「物語の中にあるいくつかのまとまり。時間や場所、登場人物の行動などでひとまとまりになっていることが多い。」、「登場人物の会話や動き、その場の音や色などを表す言葉に注意すると、場面の様子をくわしくそうぞうできる。」などを確認していきます。

そして、表をまとめる活動は、電子端末で作業を行っていきます。紙のノートを使用した場合には、表の加除修正などの作業がとても煩雑ですが、ファイル上で行えば加除修正だけでなく、文字の大きさや色・フォントによって内容や言葉を強調したり、表を整えたりすることが容易にできます。
話し合った内容をグループごとにまとめて、代表の児童が共通フォーマットに打ち込んでいくようにすると、作業がスムーズに進みます。
一度書いたものを不変とするのではなく、常に新たな発見を取り入れながら、自己を更新し続ける学習の姿を具現化するという意味でも、この活動には適した表現方法だと思います。


【4時間目の活動例】

4時間目

まとめた表を使って、場面ごとの比較を行い、同じところや違うところについて、話し合います。
2、3時間目に、一つ一つの場面ごとにりいこの気持ちや情景描写について丁寧に言葉を拾い上げてきましたが、ここでは完成した表を活用し、場面を比較して同じところや違うところについての発見を促したり、気持ちが変化するきっかけなどについて捉えていったりします。
見つけた言葉や場面、出来事のつながりについては、一人一人違う言葉を発見したり、同じ言葉であっても違う結び付け方によって説明したりすることになると思います。話合いの活動によって、それぞれの発見や考えを説明し、互いの感じ方等の違いを知ることで、より多面的にこの物語の内容を捉えていきます。

全体を通して見渡すことで、「もしかして」「まさか、ね」などの迷う気持ちや、「ほっとしたような、がっかりしたような」のように相反する気持ちが同居する様子がどの場面にも出てくることや、うさぎは最初と最後の場面にしか登場しないこと、「よけいなこと」という言葉が複数回出てくることなど、各自が発見したことを確認できるように表を活用していきます。内容によって、表の全体を表示したり、一部を拡大したりしながら確認します。

場合によっては、矢印などを書き加えたり、関係のある言葉については文字の色を同じにしたりするなど、電子端末で表を作成したメリットを最大限に生かして、まとめていきます。


【5時間目の活動例 】

○電子端末上で意見を共有している例(本稿では「Google Jamboard」を想定)

5時間目

ここまでの学習で、場面の移り変わりと共に、りいこの気持ちの揺れや変化について確認してきました。そこで本時では、1時間目に確認した最初の場面と最後の場面で違いがある「うさぎ」「かぎ」などの言葉について、その意味を考えることを通して改めて物語全体の構造を捉え、感想を書いていきます。
ここでは、端末のジャムボードを使って、KJ法のようにして考えたことを互いに書き込んでいきます。「りいこの頭の中にたしかにいたはずのうさぎまで、どこにもいなくなった気がした。」瞬間から、この物語の底流にずっと流れている「うさぎに悪いことをしたなあ。」というりいこの気持ちを確認した上で、最後に「あのうさぎが、うれしそうにこちらに手をふっているのを」「たしかに見」るまでの間に、「かぎ」を通して起きた出来事とりいこの気持ちの揺れの関係に基づいて、「うさぎ」や「かぎ」について考えたことを発表していきます。
一つの意見にまとめることを目指すのではなく、この物語の中にあるつながりをたくさん発見できるようにすることが重要です。物語の題名にある「まいご」という言葉についても、「誰が『まいご』なのか。」と考えてみると、物語の内容を深く捉えるヒントとなる場合があります。
大勢の友達の多様な意見に触れ、自分の意見を修正したり補完したりすることで、考えを深めてから自分の言葉でまとめます。

本時では、考えを共有しやすくするため、「Google Jamboard」等の学習支援ソフトを活用します。
デジタルの付箋に書くことで、できるだけ端的な言葉で表すことの動機付けにもなります。
画面を整理するため、デジタル付箋には短い言葉で表現し、どうしてそのように考えたのかという理由は、ノートに書いておくなどの使い分けも可能です。


【6時間目の板書例 】

6時間目の板書例

感想を共有し、さらに考察を深め、感想の付け加えを行います。
前時でまとめた感想を、互いに読み合います。同じ言葉について取り上げていても違う感想であったり、違う言葉を取り上げていても同じような感想であったりするなど、自分の感想と比較しながら、同じところや違うところについて確かめていきます。同時に、この単元の学習を振り返ることで、学習を通して身に付けた力を自覚し、これからも活用していこうとする意欲を引き出します。
友だちの考えを取り入れたところや自分の考えが変わったところにサイドラインを入れたり、別枠として色で囲ったりするなどの工夫について紹介すると、分かりやすいまとめ方についての意識を高めることができます。

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