小3 国語科「漢字の広場②」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「漢字の広場②」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:漢字の広場②(光村図書・国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都練馬区立大泉学園小学校校長・加賀田真理
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都練馬区立向山小学校・岡﨑智子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、二年生で学習した漢字を書き、文や文章の中で使うことができるようになることを目指します。場面絵にある言葉を使って文を書く中で、正しく書く力や適切に使う力を育てていきます。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

漢字の広場②では、12枚の場面絵とその中に書かれた言葉を使ってお話を考え、書いていきます。
場面絵に書かれた言葉には、二年生で学習した漢字が使われています。場面絵をつないでお話を作り、書かれている漢字や言葉を使いながら書いていく中で、前学年の配当漢字を正しく書いたり文章の中で正しく使ったりできるようにしていきます。
書いたお話は、自分で読み返したり友達と読み合ったりします。
間違いに気付いて正したり、適切な表現になっているかどうかを確かめたりすることで、文や文章を整える習慣を改めて身に付けていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 場面絵や使う言葉を選んでお話を考える

教科書に載っている場面絵は12枚あります。場面絵の順番を入れ替えたり使う場面絵を選んだりできるようにします。
場面絵には複数の言葉が書かれています。言葉も、全てを使うのではなく、選んで使ってよいようにします。自分で選んだり考えたりできるようにすることで、「自分だけのお話を作りたい」という思いを高め、意欲的に学習に取り組むことができるようにしていきます。

〈対話的な学び〉 ペアでお話作りを行う

第1時では、ペアを作り、お話作りを行います。
どの場面絵や言葉を使うか友達と話し合いながら進めることで、お話作りを楽しむと共に言葉の意味や用法の理解を確かめ合いながら取り組んでいきます。
書いた文章を読み返す際も、自分以外の友達に読んでもらうことで漢字や送り仮名などの間違いを確かめていきます。

〈深い学び〉 語句と語句の関係を考えたり語句の意味を話し合ったりして語彙を広げる

場面絵に書かれている言葉の中には、「行く」と「帰る」のように、対義語になっているものがあります。また、「心細い」のように、日常生活の中で児童が使う機会が少ないと思われるものもあります。

対義語を探してみたり、「例えばどのようなときに使うのか」「別の言葉で言うとどんな気持ちなのか」などを話し合ってみたりすることで、語句の理解が確かなものになります。
語句と語句の関係を考えたり語句の理解を確かなものにしたりすることは、児童の語彙を広げることにつながります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)場面絵のフラッシュカード

オクリンクやロイロノートスクールなどの学習支援ソフトを活用します。
教科書の場面絵を1枚ずつ分けて貼った12枚のカードを作ります。カードに分けることで、漢字の読みを確かめるためのフラッシュカードとして使うことができます。

教師がカードを次々にめくり、表示されている場面絵にある言葉を声に出して読むことで、二年生までに学習した漢字の「読み」を確かめます。スクリーンなどに投影して全体で行うこともできますし、教師の端末の画面を児童の端末に配信する機能を活用して、手元でカードを見ることもできます。

(2)場面絵をつなげた紙芝居

(1)で作成した場面絵のカードを児童の端末に配信します。カードを利用しながらお話を作り、発表するようにします。

このとき、全員が必ず使用するカード「かならずカード」と、使っても使わなくてもよいカード「えらべるカード」「せつぞく語カード」の3回に分けて配信することで、出来上がるお話を多様なものにしていきます。

種類ごとにカードの色を変えて、どれがどのカードなのか分かりやすくします。
カードを入れ替えて場面絵の順番を変更したり、新しいカードを加えたり、カードを減らしたりすることもできるので、児童一人一人の力に応じて柔軟に対応することができます。

(3)音声録音

学習支援ソフトの録音機能を活用し、作成したお話の音読をカードの画面に録音します。
完成したカードと音読を提出し、クラスで共有し、互いに聞き合って、文として書き起こしていきます。お話を楽しく聞きながら、これまでに学習した漢字を使って文を書くことにつなげていきます。   

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 漢字の広場②

【主な学習活動】
第1時:言葉の読みを確かめ、場面絵に書かれている言葉を使ってペアでお話を作る。
① 場面絵に書かれている言葉を声に出して読み、読みを確かめる。〈 端末利用(1)〉
② 場面絵をつなぎ合わせてお話を考える。〈 端末利用(2)〉
③ 考えたお話を清書する。

第2時:作ったお話を録音する。友達の作ったお話を聞き、漢字を使って文を書く。
① 前時に考えたお話を音読し、録音する。〈 端末利用(3)〉
② 提出されたお話を聞き、それを文にしてノートに書く。〈 端末利用(3)〉
③ 言葉と言葉の関係を考えたり、語句の意味を確かめたりする。

全時間の板書例と指導アイデア

【第1時の板書例 】

第1時の板書例

二年生で学習 した漢字の入っている言葉を使ってお話を作る時間です。

1人1台端末の活用

・まず、場面絵に書かれている漢字の読みを確かめます。
二年生で学習した漢字なので、「読み」は定着しているはずですが、この先の活動に自信をもって取り組むためにも最初に確認しておきます。場面絵をカード化したものを児童の端末に配信し、フラッシュカードのようにして使用します。気持ちよく声に出して読むことで、学習に向かう気持ちを高めていきましょう。

・次に、場面絵のカードを並び替えてお話を作ります。児童の端末に配信しておいたカードを使います。端末を使うと、カードの順番を入れ替えることができるので、使うカードを選んだり接続語のカードを入れる場所を決めたりしながらお話を作っていきます。
これらを行うことで、出来上がるお話の幅が広がり、読み合う楽しみや読み合った時の驚きが生まれます。最初に全員で途中までお話を作り、カードの使い方を確かめておくと、この後のペアでの活動がスムーズに進みます。

「主体的な学び」のために

イラスト/横井智美

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