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小3国語科「ワニのおじいさんのたから物」全時間の板書&指導アイデア

特集
文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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大塚健太郎

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3国語科「ワニのおじいさんのたから物」(東京書籍)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

 小三 国語科 教材名:ワニのおじいさんのたから物(東京書籍・新しい国語 三上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立けやき小学校校長・前田 元
執筆/東京都板橋区立北野小学校・髙桑美幸

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元の学習材「ワニのおじいさんのたから物」では、登場人物であるワニのおじいさんとおにの子との交流を通して、叙述を基に人物の気持ちの変化を具体的に捉える力を育てます。
その際、起こった出来事を読むことを通して、場面の移り変わりや時間的な経過を正しく理解することにも適した学習材です。さらに、それをあらすじにまとめることを言語活動にも生かします。

また、叙述に即して登場人物の性格について考えることもねらいます。語彙の拡充の観点からも、丁寧に扱いたいところです。

これらを踏まえ、あらすじに加えて物語の中で心に残ったことを本の帯にして整理することで、作品が伝えたいテーマやその価値についても学ぶことのできる授業展開が望まれます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、物語文「ワニのおじいさんのたから物」を読むことを通して、場面ごとに整理したあらすじだけでなく、登場人物の心情の変化や、心に響いた場面について分かったことや考えたことを本の帯にまとめ、図書室に掲示する言語活動を位置付けます。

本学習材である「ワニのおじいさんのたから物」は、宝物を守るために逃げてきたワニのおじいさんとぼうしをかぶったおにの子が出会うところから始まります。温かなやりとりのあと、ワニのおじいさんはこの子であればと信用し、宝物のありかを教え、おにの子がそれを探しに行く物語です。

物語の構成は、ワニのおじいさんとの出会いから始まり、時系列に沿った明確な展開となっており、3年生の児童が場面の移り変わりを整理するのに適しています。
また、中心人物であるおにの子の性格や特徴が分かる叙述がちりばめられているので、おにの子に心を寄せながら読み進めることができる学習材であるともいえます。
さらに、題名にある「たから物」が大きなキーワードとなっていることも特徴的です。児童が初めに予想する「たから物」と、おにの子が考える「たから物」と、実際の「たから物」とのずれを楽しむことができる学習材でもあります。

それらを踏まえ、言語活動として本の帯を作ることにつなげるための読み方として、大きく二つのポイントがあります。
一つは、あらすじをまとめることです。児童はこれまでに、物語で起こった出来事について「時」「場所」「登場人物」の観点で場面ごとにまとめる学習をしています。これを本の帯の一部として活用することが期待されます。
もう一つは、どの叙述に着目して本の帯に書くかを決めることです。限られた量の中で紹介する必要があるため、児童の心に残った場面をどのように読み手に伝えるか、吟味する必要があります。結末を言わずに余韻をもたせた書きぶりにするなど、よい手本を示しながら言語活動の質を高めていきたいところです。

また、発展的な学習として、違う本を読み、帯やポップにまとめる活動も考えられます。
本の帯は、限られた細長いスペースに、キャッチコピー、あらすじ、推薦文などを凝縮する傾向にあります。比べてポップの形式は自由で、イラストや目立つ色使いが多用されることが多いでしょう。言語活動として児童にそこまで差異があることを指導する必要はないので、どちらか好きなものを選ばせることも可能です。

それらを使い、「3年◯組おすすめコーナー(仮)」として図書コーナーを充実させることも考えられるでしょう。この活動は本単元に留まらず、児童が「本を通して誰かとつながる」という豊かな言語生活を送るきっかけとなります。
図書室での掲示を通じて、自分の表現が誰かの心を動かす喜びを実感し、読書への関心をより一層高めていく姿を期待します。

4. 指導のアイデア

本単元は、学習材である「ワニのおじいさんのたから物」を読むことを通して、登場人物の気持ちや性格に関わる叙述を基に、起こった出来事や人物を捉え、あらずじとしてまとめる力を育むことをねらいとしています。
さらに、言語活動として「本の帯」でアウトプットすることを通し、叙述を基に想像を広げたり、物語の魅力を他者に伝えるために情報を再構成したりすることもねらいます。

まずは、場面の移り変わりに着目しながらあらすじを捉える活動を設定します。時間や場所の変化を軸に場面を三つに分け、それぞれ「だれが・何をした」を考えることで、物語の骨組みを正確につかむ力を養います。児童が「何を短くまとめればよいか」と迷う際には、叙述の中から欠かせない言葉を選び出し、主語と述語を意識しながら言い換えたり言葉を補ったりする指導が必要です。

さらに、文章にある言葉(「まじまじ」「にこっ」「すっとんきょう」等)に着目し、それがどのような気持ちや性格を表すのかをじっくりと捉えることを大切にします。
例えば、なぜ、おじいさんはおにの子に宝の地図を教えたのかという問いについて、単に「やさしいから」と片付けるのではなく、叙述にある根拠(葉っぱを運ぶ行動)から導き出すことを大切にします。
また、おじいさんの教えたかった「たから物」とおにの子が受け取った「夕やけ」との齟齬(ズレ)について考えることは、物語の構成の妙や美しさを味わう上で重要な学習経験となります。

これらを通して、図書室への展示という目的意識をもった「本の帯作り」へとつなげることで、主体的な学びを実現します。初発の感想から生まれた「おじいさんはなぜ、おにの子に宝物をあげたの?」「夕やけは宝物なの?」という児童の素直な問いを整理していくことで、学習材をどのように読み解くべきかという視点が明確になります。
活動や発問を精査し、読み取ったことをキャッチコピーへと昇華させる過程を大切にすることで、言語能力の確かな育成を目指す単元です。

5. 単元の展開(8時間扱い)

 単元名:あらすじ×お気に入りで心をつかめ!「ワニのおじいさんのたから物」帯職人になろう

【主な学習活動】
・第一次(1時
① 単元の扉絵や題名から、物語の内容を予想する。
② 教材文を読み、初発の感想を書く。
③ 初発の感想を基に、学習課題を確かめる。
④ 学習計画を立てる。

・第二次(2時3時
⑤ 物語の設定と場面を確かめる。
⑥ あらすじを書く。

・第三次(4時
⑦「おにの子」や「ワニのおじいさん」がどのような人物設定かを確かめる。
5時
⑧ 登場人物の気持ちを叙述から想像し、整理する。
⑨ どの部分が最も心に残ったかについて考えをもつ。
6時7時
⑩ あらすじと感想を基に、本の帯を作る。

・第四次(8時
⑪ 完成した本の帯を読み合い、よいところを伝え合う。
⑫ 単元全体の学習を振り返る。

6. 全時間の板書例、発問例、児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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