小6国語科「インターネットの投稿を読み比べよう」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「インターネットの投稿を読み比べよう」(東京書籍)の板書例、教師の発問、想定される子供たちの発言、1人1台端末活用のポイント等を示した全時間の授業実践例を紹介します。

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/千葉大学教育学部附属小学校・中平大介
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、複数の投稿を読み比べ、最終的に投稿者の論の進め方や説得の工夫に対して考えをもつ力を身に付けることをめざします。
そのために、まず「スポーツのよさは何だろう?」というテーマで開かれたオンライン意見交換会に投稿された意見文を読み比べ、それぞれの説得の工夫を読み取ることができるようにします。
その後、論の進め方や説得の工夫に対して考えたことをふまえ、自分も投稿者になって投稿しようとする態度を養います。
2. 単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴
本単元では、インターネットの投稿を読み比べて考えたことを、投稿者になったつもりでコメントするという言語活動に取り組みます。
本教材は、インターネットで投稿された文章を読む際と、自分の意見を投稿する際に大切なことと、インターネット上で交流する際の注意点について述べています。
その具体として、「スポーツのよさは何だろう?」というテーマで開かれたオンライン意見交換会に投稿された意見を読み比べることで、議論の流れが捉えられるように構成されています。
オンライン意見交換会では6名の投稿者が議論に参加しており、計13回の投稿がされています。
スポーツをする目的、指導方法の見直し、スポーツがもたらす効果など、議論が発展していくのが特徴です。それぞれの書き手が用いている説得の工夫に気付かせるために、いくつかの観点をもとにして比較する必要があります。
その後、この議論に参加するつもりで自分の考えをコメントします。自分の立場を明確にし、説得の工夫を用いて書けるようにします。
自分の考えを表現し、他者と共有する際に1人1台端末を活用します。
4. 指導のアイデア
〇 5年「新聞記事を読み比べよう」での学びや日常での経験を想起し、学習の見通しをもつ
5年「新聞記事を読み比べよう」において子供たちは、同じ出来事を取り上げた新聞記事でも書き手の意図によって記事の内容や書き方が異なることを学んでいます。その学びを想起することで、本単元においても投稿の書き手によって主張する内容や説得の工夫が異なっていることに気付けるようにします。
本単元では、説得力を高めるための工夫を用いて、自分の考えをもつ力を育成することを目標としています。実際のインターネットでの経験を想起することで、本単元で身に付けた力が日常生活でどのように生きるのかを実感させることができるでしょう。
また、本単元では最後に、自分の考えを擬似的にインターネット上でやり取りする活動を想定しています。安心して子供たちが意見を出し合えるように、インターネット上のやり取りにおける匿名性や攻撃性(誹謗中傷)の危険についても触れておくことが大切です。
〇 投稿を読み比べて説得の工夫に気付き、その効果について考える
投稿を読み比べる際には、三角ロジックを用います。三角ロジックとは、「根拠・理由・主張(考え)」の三つの要素で意見を構成する論理的思考の基礎となる考え方です。
普段から何気なく用いている手法ですが、主張を支える根拠があり、根拠と主張を結び付ける理由があると、説得力が高まることに気付くでしょう。
例えば、投稿1のAさんの意見を三角ロジックで整理すると、
根拠 ⇒ 高校野球での行きすぎた投球数が問題になったことがある
理由 ⇒ 体に無理のない範囲で楽しむことが大切だから
主張 ⇒ スポーツの目的は健康な体を作ることにある
となります。
三角ロジックを用いて他の投稿を読み比べてみると、根拠には事実や事例、数値などのデータ、偉人の言葉が用いられ、理由には投稿者自身の経験から得た気付きが用いられていることが分かるでしょう。
これらが投稿の書き手の説得の工夫です。説得の工夫に気付くことで、それぞれの投稿に対して納得できるかどうか、説得の工夫がどのような効果をもたらしているかについて考えることができるようになるでしょう。
〇 説得の工夫を用いて自分の意見をまとめ、掲示板アプリ「Padlet」で共有する
本単元の最後は、この議論に参加するつもりで自分の考えをコメントします。
「誰の投稿に一番納得しましたか」と問いかけることで、AさんからFさんの6名の中で、子供自身が誰に近い立場にいるのかを明確にさせます。
さらに「それはなぜですか」と問い、説得の工夫の効果を再確認することができるようにします。そのようにすることで子供たちは議論の流れをふまえ、効果的な説得の工夫を選択しながら自分の考えをもつことができると考えます。
最後に掲示板アプリ「Padlet」で共有します。Padletは直感的に操作できるオンライン仮想掲示板アプリです。
この掲示板に自分の意見を投稿することで、そのリンクを知っている人なら誰でも投稿を読んだり、コメントやリアクションをしたりすることができます。インターネット上でありながら友達や先生しか見られない仮想空間であるため、子供たちは安心して投稿することができると考えます。
共有する際には、「意見に納得できるか」「説得の工夫を使えているか」といった観点をもって交流するとよいでしょう。
もちろん、それ以外のアプリを用いたり、学校の実態によっては手書きで擬似投稿をする活動を設定したりすることも考えられます。
5. 単元の展開(5時間扱い)
単元名:「説得の工夫を読み取り、自分の意見を投稿しよう」
【主な学習活動】
・第一次(1時)
① 既習事項を確かめ、単元の学習の見通しをもつ。
・5年生「新聞記事を読み比べよう」での学びを想起する。
・インターネットについての自分の経験を振り返り、単元の学習の見通しをもつ。
・第二次(2時、3時、4時)
② それぞれの投稿の内容と議論の展開を確かめる。
③ 説得の工夫とそれらが読み手にもたらす効果について考える。
④ 説得の工夫を用いて、議論の続きに参加するつもりで自分の考えをコメントする。
・第三次(5時)
⑤ 自分の考えを掲示板アプリ「Padlet」に投稿して読み合い、単元の学習を振り返る。
6. 全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美
令和6年度からの国語科新教材を使った授業アイデア、続々公開中です!


