小5道徳科 家族の幸せのために「卵焼き」

文部科学省教科調査官監修による、小5道徳科の指導アイデアです。今回は、C 【家族愛、家庭生活の充実】「卵焼き」の実践を紹介します。本実践では、子供たちが家族の大切さや家族の中で自分にできることについて、教材の登場人物の生き方を通して考え、家族の幸せを考えて、進んで役立とうとする態度を育てることを目指します。
執筆/鹿児島県公立小学校教諭・廣瀬正一
監修/文部科学省教科調査官・堀田竜次
前鹿児島県公立小学校校長
鹿児島県小学校道徳教育研究会会長・永里智広
目次
1 はじめに
子供たちが道徳科の授業を通して新たな気付きを得たり、新たな問いが生まれたりするような深い学びのある授業を目指し、日々実践を重ねています。さらに誰1人取り残されることなく自分なりに考えをもったり、友達と考えを交流して自分の考えを深め広げたりできる「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」の視点でも、何ができるかを考え、実践を積み重ねています。今回の実践においても、ICTを活用しながら、道徳科の授業をより充実させ、豊かな道徳性を養うために何ができるかを考え、実践しました。
【教材について】
この教材は、現在5年生担任の由紀先生が小学生だった頃、卵がまだまだ貴重だった時代のお話です。由紀は明日が遠足という日に、お弁当に卵焼きを入れてほしいと母にお願いしますが、卵はなく作ることはできないと言われます。どうしても食べたい由紀は、何度もほしいと繰り返してごね、最後は泣きながら寝てしまいます。次の日、遠足に行ってお弁当を開けると卵焼きが入っていることに気付き、泣きながら食べることになります。帰って話を聞くと、娘をふびんに思った父が夜遅く遠く離れた隣家まで、卵を分けてもらいに行ってくれたこと、父が行かなければ母が行くつもりだったことを聞きます。今でも幼い日の感動した思い出として心に刻まれているという内容です。
【今回の授業のポイント】
今回の授業は、まず導入で「自分にとって家族はどんな存在なのか」を話し合いながら大切な存在であることを確認します。その後、「大切な存在の家族が幸せであるために何かしていますか」という問いで普段の生活を振り返りながら問題意識をもってもらいます。
次に、展開前段で、どうしても卵焼きを食べたいとごねる登場人物に共感してもらうため、「みなさんにも似たような経験はありませんか」と問い、誰しもこのような心の弱さをもっていることに自我関与してもらいます。
その後、卵焼きがお弁当に入っていた理由を聞いたときの登場人物の気持ちを考えることを通して、家族が自分を支えてくれていることの有難さや親の有難さを追求していきます。そして、そんな大切な家族に対して何もしなくていいのだろうかという問いを改めて考えてもらいます。
展開後段では、本時で気付いた「家族が自分を支えてくれていること」や「家族のために自分ができること」を、自分の生活場面で具体的に想起することを通して、教材での学びと生活をつなぎ、学びをより確かなものにします。
終末では、家族の幸せのために進んで役に立とうとする態度を育むために、「家族のために自分ができること」について、あらためて考える場を設けます。
なお、本授業を進めるにあたっては、子供たちの家庭には多様な家族構成や生活の背景があることを十分に踏まえ、特定の家族像や家庭でのあり方を一律に求めることがないよう配慮しました。家族の形や関わり方は一人一人異なることを大切にしながら、それぞれが自分なりの立場で「家族の幸せのためにできること」を考えられるよう、発問や交流のあり方、価値の押し付けにならない指導を心がけました。

2 展開の概略
1 家族が自分にとってどんな存在なのか、家族のために何かしていることがあるかを考えます。
2 本時で追求していきたいめあてを各自で考えます。
3 教材「卵焼き」を読み、登場人物の心情や心情の変化について話し合います。
(1) 卵焼きを作ってもらえないと聞き、由紀はどんな気持ちだったのだろう。
(2) お弁当に卵焼きが入っていたとき、どんな気持ちになったのだろう。
(3) 帰って母の話を聞き、由紀はどんなことを考えたのだろう。
4 「家族の幸せのために自分が何をしているか」について、話し合います。
5 学習で学んだ感じ方や考え方から自分の生活を振り返り、家族が自分のためにしてくれていること、自分が家族のためにしていることについて考えます。
6 各自で立てためあてや本時で気付いたことなどについて、あらためて自分の考えを整理します。
