授業が安定し、子どもが考え始める「型」の力。学習指導案を作ってみよう!【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#16】
子どもが落ち着かなかった、発言が少なかった、時間が足りなかった。
みなさんは授業を終えた後、そんな風に感じたことがありませんか? こうした問題には、共通した原因があります。それは、子どもたちに学びの方向が見えていない、ということです。これを解決するには、子どもたちが授業の見通しを得られるような一定のパターン、いわば「型」を導入するのが効果的です。別の言い方をすると、学習指導案ですね。「学習指導案」と聞くと、研究授業などで提出するための書類を思い浮かべる方も多いと思いますが、授業そのものを組み立てるための設計図としての役割こそ本来の目的なのです。

執筆/環太平洋大学教授・内田仁志
目次
授業がうまくいかないときに起きていること
例えば説明文の授業で、「今日はこの文章を読みます」と始めたとします。子どもは本文を読み、線を引き、問いに答えます。一見すると活動は成立しています。けれども授業の終わりに「何が分かりましたか?」と聞くと、答えに詰まる子どもが出てきます。内容の一部は覚えていても、それが一つの学びとしてつながっていないのです。
このような授業では、子どもは手を動かしていても、学びの方向が見えていません。どこに向かって読めばよいのか、何を考えればよいのかが分からないため、活動がその場限りで終わってしまいます。発言が一部の子どもに偏るのも同じです。授業が動いているようでいて、学級全体の思考は動いていません。
しかし、「この時間の終わりに、子どもが何を説明できるようになるか」という目標を、先生がまず設定してみてください。すると、そのために必要な問いや活動が自然に見えてきませんか?
どこで考えさせるか、どこで交流させるか、最後に何を書かせるかが一本につながっていくわけです。
つまり、この授業でのゴールを設定したうえで、そこに至るための道筋を逆算的に考えていくのが、授業づくりの効果的な方略なのです。
目標・活動・評価をセットで考え、ゴールを設定しよう
また、授業のゴールを設定するときには、評価もセットで考えるようにしましょう。
目標を設定すると、そこに至るための活動が決まりますね。すると、活動のなかで子どもの何を見取れば良いのかも、おのずと見えてくるからです。
目標はあるのに活動がただの作業になっている。活動はあるのに評価が曖昧で、最後に何が身に付いたかが見えない。こうした授業は少なくありません。
しかし、指導案を書くことによって、目標・活動・評価のつながりを自分の中で確かめることができます。
「問い」とは、ゴールのイメージを子どもに示すこと
授業の始めにどのような問いを置くかで、その時間の学びは大きく変わります。問いがはっきりしていない授業では、子どもは「とりあえず読む」「とりあえず答える」という動きになりがちです。そこでは、読むことと考えることがまだ結びついていません。
例えば、「なぜこの違いが生まれるのだろう」という問いを出すことから始めると、子どもは本文の中から理由を探し始めます。どこに手がかりがあるのか、どの言葉が大事なのかに目が向きます。問いがあることで、読むことに目的が生まれ、思考が動き出します。
問い・展開・まとめがつながると理解は深まる
さらに、その問いを、授業の最後までどう扱うかが重要です。導入で問いを出し、展開で考えを深め、まとめで自分の言葉にする。この流れが通っていると、子どもの理解は確かなものになります。
授業の中で、いつも最初に自分の考えを書き、次に友達と交流し、その後で考えをもう一度整理する。この順序があると、子どもたちは落ち着いて授業の流れに乗ることができ、思考は一段深まります。まとめで最初の問いに戻ることができれば、子どもは「何が分かったのか」を自分で言葉にできます。ここまでつながったとき、授業は単なる活動の集まりではなく、意味のある学びになります。
指導計画と発問計画をセットにして考えてみよう
ここからは、筆者が実際に作成した、「ちいちゃんのかげおくり」の指導案をもとにご説明したいと思います。
まず、先生向けの内部資料として、目標・学習活動・評価方法をセットにしたフォーマットを作りましょう。添付資料は研究授業のために細かく書き込んでいますが、日常使いの指導計画であれば、2の「単元の目標」と、5の「単元の指導計画」があれば十分です。
単元の指導計画の目標とは、「この時間で何をさせるか」ということではなく、「この時間の終わりに、子どもがどのような姿になっていればよいか」ということです。すると、学習活動の流れがはっきりしてきます。授業は活動から組み立てるのではなく、子どもが変化するよう誘導するものなのです。
目標と学習活動を、発問計画でシミュレーションしよう
各時間の目標・学習活動・評価方法を考えたら、それを子どもに向けた発問計画に落とし込みます。学習活動の展開を、具体的な発問として設定し、板書するような気持ちで書いてみましょう。各時間のめあてが曖昧だと、活動はぶれます。問いが弱ければ、思考は深まりません。ここがいちばんの工夫のしどころです。
さらに慣れてきたら、授業の展開を明確にするために、各時間ごとのワークシートづくりにチャレンジするのもおすすめです。
