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読書のすすめ―教室に「本を読む空気」をつくる読書指導―【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#18】

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読書がもたらす教育的効果は計り知れません。子どもたちに読書好きになってもらいたいと思う先生や保護者は多いと思いますが、なかなか定着させられないのが実情です。今回は、子どもたちに本好きになってもらうための方略を考えていきたいと思います。

若手先生の航海図|学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア バナー

執筆/環太平洋大学准教授・内田仁志
協力:教師実践研究塾(実践塾)

読書のメリットは計り知れない

読書は、子どもたちが社会で生きていくための基礎的な力を育む教育的効果があります。そのメリットの中で主だったものとしては、
・語彙力と読解力の獲得
・論理的思考力の育成
・想像力と共感性の発達
・集中力と記憶力の強化

などが挙げられます。小さな本から、子どもたちが受けるエンパワーメントの可能性は無限大です。
だからこそ、教師としては本好きな子どもになってほしいものですよね。

「本を読みなさい」では、子どもは読まない

でも、昔の子どもは、本当に読書好きだったの?

「最近の子どもは本を読まない」 学校現場では、よく聞かれる言葉です。しかし、では逆に、昔の子どもは読書好きだったのでしょうか?

実は、ちっともそんなことはありませんでした。今では信じられないことですが、昭和・平成の時代、イブニングタイム(午後5時~午後8時)のテレビは、アニメやヒーローものなど子ども番組のオンパレードでした。 子どもたちは、暗くなるまで外で遊び、夕方になると家に帰ってテレビを見る、というのが一般的な生活スタイルでした。
そして、夜8時を過ぎる頃になると、子ども向け番組は減り、大人向け番組が増えていきます。今のようにスマートフォンもゲーム機もありません。そのため、仕方なく漫画や本を手に取ることが多かったのです。つまり、昔の子どもたちは「本が大好きだった」というより、「本に向かいやすい環境にいた」と言った方が正確です。

今の子どもは「本より面白いもの」に囲まれている

ところが今は違います。 子どもたちの周りには、動画、ゲーム、アニメ、SNSなど、刺激の強い娯楽があふれています。そして、これらは非常によくできています。続きが気になる構成、魅力的なキャラクター、感情移入しやすい物語。承認欲求。かつて子どもたちが手に入れることさえ難しかった、さまざまな面白さと刺激を、今の子どもたちはやすやすと、しかも当たり前のように手に入れています。この状況で、「本を読みなさい」と言うだけで読書が定着するほど簡単ではありません。 だからこそ、教師はまず「今の子どもにとって、本はかなりハードルが高い」という現実を理解する必要があります。

まずは教師が「本を好きになる」ところから始めよう

教師の好きなものは、必ず学級に伝わる

実は、読書指導で最も重要なのは、教師自身の読書習慣です。
学級には、担任の個性が必ず反映されます。 スポーツ好きな先生のクラスは、自然とスポーツ好きになります。歌が好きな先生のクラスは、よく歌うようになります。同じように、本が好きな先生のクラスでは、子どもたちが自然と本に関心を持つようになるのです。
これは、心理学で言うモデリング(観察学習)の効果です。子どもは、身近な大人の行動や好きなものを観察し、それを無意識に真似することで学習していきます。
また、単純接触効果(ザイオンス効果)も働いています。これは、身近な大人が好むものに、子ども自身もよく接することで、自然とその対象に対して親しみや好意を抱くようになる効果です。

心理効果を最大限に発揮しよう

つまり、こうした心理学的効果を発揮させるためには、教師自身が本をよく読み、よく接している姿を実際に、子どもに示す必要があるわけです。「読書は大切だから読みましょう」とだけ言っても、子どもたちは敏感に見抜きます。

読書とは「体力」

今の子どもには「読む体力」が不足している

今の子どもたちが接している受動的な娯楽、ネットのムービーやアニメなどは、ほとんど例外なく短時間で完結するものばかりです。子どもたちの体内時計は、こうした短時間のエンターテイメントに最適化されており、長時間ひとつのことに接し続ける、という体験をしていません。言ってみれば「読む体力」がないわけです。

最初は「質より量」で体力をつけよう

そこでまずは、本を最後まで読めた! という経験を大事にします。短い本、薄い本を 「一冊読めた」 「次の本も読めた」。 この積み重ねが、読書への抵抗感を下げていきます。

特に効果的なのが、同じ作者の作品を続けて読むことです。 一冊面白いと感じると、「他の作品も読んでみたい」という気持ちが生まれます。作者ごとに言葉のリズムや世界観には共通点がありますから、子どもは自然と読み慣れていきます。

低学年教材と絵本を侮ってはいけない

特に有効なのは絵本やビジュアルストーリーブックです。また、 低学年教材にも、絵本の魅力が詰まっています。 今の子どもたちは、映像文化の中で育っています。頭の中で想像すると言うより、見たものを見た通り感じることが多いわけですね。だからこそ、絵の力を使うことは非常に有効なのです。「読書は文字だけで楽しむもの」と考える必要はありません。 まずは、子どもが本を開きたくなる入り口をつくることです。

最初は教科書からでいい

ただし、最初から難しい名作を読む必要はありません。 むしろ、いきなり名作から入るから苦しくなるのです。

私は、まず教科書教材から始めればよいと思っています。 教科書には、長年読み継がれてきた優れた作品が数多く掲載されています。しかも、学校図書館や地域図書館には、その作者の本がそろっていることが多いのです。

例えば、一年生で「くじらぐも」を学習したら、中川李枝子さんの他の作品も読んでみる。特に『いやいやえん』はおすすめです。 二年生なら「スイミー」「お手紙」から絵本へ。 三年生では「ちいちゃんのかげおくり」から戦争文学へ。 四年生では「ごんぎつね」から新美南吉の作品へ。 五年生では椋鳩十の動物文学へ。 六年生では宮沢賢治や古典へ。

このように、教科書を入口にして読書世界を広げていくのです。教材研究だと思えば、教師自身も読みやすくなります。 読書は、まず教師自身が始めることが大切なのです。

読書好きにしたいなら、まず図書館へ連れて行こう

「物置図書館」では読書文化は育たない

読書を定着させるうえで、最も重要な場所があります。 それが図書館です。

ところが、学校図書館は「物置図書館」になってしまっていることがあります。 本は並んでいるのに、子どもが来ない。 教師も使わない。 これでは、読書文化は育ちません。

朝の十分間読書だけでは限界がある

朝の十分間読書を行っている学校は多いですが、私は「教室」で行うだけでは限界があると思っています。 教室には、友達、学用品、掲示物など、さまざまな刺激があります。本を持っていない子もいます。 すると、読書が「ただ座っている時間」になってしまうこともあるのです。だからこそ、図書館を使います。 周りを本だけにするのです。 本棚に囲まれた空間に入ると、子どもは自然と本を手に取ります。

図書館へ足を向かわせる「調べる課題」を出そう

さらに、時間にも工夫が必要です。 十分では、物語の世界に入る前に終わってしまいます。 私は、毎日短時間より、週に一回でもよいから、一時間目まで通して読書する時間をつくった方が効果的だと思っています。

そして、その入り口になるのが「調べる課題」です。

一年生なら、 「中川李枝子さんの他のお話を探してみよう」

二年生なら、 「外国の人が書いたお話を探してみよう」

三年生なら、 「戦争中の話を探してみよう」

この程度で十分です。 大切なのは、子どもを図書館へ向かわせることなのです。

最初は、授業時間で行きましょう。 そして、その時間は自由読書も認めるのです。

「残念な生き物図鑑」でもよいのです。 「好きな動物を探してみよう」でもよいのです。 とにかく、図書館を「行きやすい場所」にすることが大切です。

「読みなさい」より、まず音読をさせよう

宿題読書だけでは、本好きにはならない

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