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6月の荒れ防止にも効果絶大!カルタ遊びレク【学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア#17】

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落ち着いていたはずのクラスが、なぜか崩れ始める6月。その空気を、一気に変える方法があります。それはズバリ、「かるた遊び」です! かるたと言っても市販のものではなく、子どもたちが分担して作った手作りの学級オリジナルのものを使います。その教育効果はさまざまあり、「読む・考える・つながる」ことへの成長が期待できます。荒れ始める前に、かるたで手を打っておきましょう!

若手先生の航海図|学級経営1年間の見通しと毎月のアイデア バナー

執筆/環太平洋大学教授・内田仁志

6月に学級が崩れる“本当の理由”とは

緊張が切れ、人間関係が固定化する

4月・5月はまだ、新しい学級の新しい人間関係にみんな緊張しています。これに徐々に慣れてきて、子どもたちの緊張がゆるみ、素顔が出てくるのが6月です。自然とグループが固定化し、特定の仲間だけでまとまる動きが目立ってきます。会話にも遠慮がなくなり、言葉遣いが乱れる場面が増えていきます。小さなズレがそのままにされ、学級全体の空気が少しずつ崩れていくのがこの時期です。

行事が少なく、エネルギーの行き場と学習の軸が失われる

6月は行事が少なく、学級としての共通目標が見えにくくなります。団結する機会が減り、子ども一人一人の意識がばらばらになります。さらに雨や暑さで外に出られず、発散できないエネルギーが教室のざわつきへと変わります。教師側も慣れから授業が単調になったり、焦って詰め込みすぎたりしやすく、子ども不在の時間が生まれます。この積み重ねが、学級のまとまりを静かに崩していきます。

なぜ、かるたが効果的なの?

自分たちで作るから全員が参加し、学びが深まる

この活動には、子どもたちが自作したかるたを使用します。与えられたかるたでは「やらされ感」が生まれますが、自分たちで作る活動は違います。読み札は既習した物語から作るため、内容を理解していなければ言葉にできません。取り札も同様で、場面を正しくとらえたうえで絵に表す必要があり、丁寧さも求められます。活動そのものが学習となり、自然と全員が関わる構造になります。

  勝敗と繰り返しが、楽しさと集中を生む

かるたは勝敗があるからこそおもしろく、集中が持続します。勝つためにはグループで作戦を考える必要があり、自然と対話が生まれ、団結力も高まります。さらに繰り返すほど上達し、扱う教材も広がっていきます。自分たちで運営することで責任感も生まれ、「やらされる活動」ではなく、学級全体が楽しみながら取り組む活動へと変わっていきます。

教育効果の高いかるたの作り方とは

教育とかるた、という関係性で言うと、群馬県民であれば知らない人がいないほど抜群の知名度を誇る「上毛かるた」が筆頭ではないかと思います。
学校現場で広く取り入れられ、大小さまざまな大会が催されて、活発な活動が続いています。
この上毛かるたを参考にしながら、クラスのオリジナルかるたを作りましょう。

なぜ、上毛かるたが良いの?

上毛かるたを参考にする理由は、「誰もが知っている状態」をつくる仕組みが完成しているからです。成立から80年近くが経っており、群馬県下では学校教育で必ず扱われ、全員が経験します。保護者や、その上の世代も知っていますから、家庭など学校外の場所でも皆が楽しむことができます。内容はすべて群馬県の歴史や特色に関わることですから、遊ぶことで学びが残ります。このようにして、群馬県では文化として定着していることが、その価値高さなのです。

学びを強化する、上毛かるたの4つの特色

上毛かるたには学習効果を高める4つの特色があります。
第1に、読み札が地域の歴史や文化を凝縮し、1枚ごとに説明できる内容を持つこと。
第2に、学校教育の現場だけではなく大小さまざまな大会が催され、勝敗があることで反復が生まれること。
第3に、繰り返すほど上達し、楽しさが増す設計であること。
第4に、学校と家庭が連動し継続されることです。
この構造を学級に取り入れることで、かるたは一時的な活動ではなく、学びとして残る実践へと変わります。

以上のことを踏まえつつ、クラスのかるた作りに取り組んでいきましょう。

読解の力を伸ばす読み札づくり

ますはかるたの題材を決めましょう。すぐ学級活動で使いたいものですので、すでにクラス全員がよく知っている題材を使うのが良いですね。ここで最適なのは、教材をテーマにすることだと思います。中でも国語の既習の教材で、その内容から96枚の札を作れるような、物語性のあるものがよいでしょう(子ども向けのいろはかるたは、一般的に読み札48枚と、取り札48枚の、計96枚です)。
また、本実践では、最終的にクラスでかるた大会を催すことが目的となりますから、かるたを何セット作れば良いかも、指導者のみなさんは最初から意識しておきましょう。

製作の過程が学びを深める

最初に決めるのは、どんな読み札を作るか、です。
まず、どんな物語ならかるたが作りやすいのかを話し合い、アイデアを出し合って、クラスで決めます。
テーマが決まったら、どのような分担でかるたを作っていくかを決め、実際に製作へと入ります。
この一連の過程こそ、個から小集団、そして学級全体へと広がる学び合いそのものです。単なる作業ではなく、学級の学習が一つになる決定的な場面になります。まさに話し合い学習の完成形です。

場面選択と言葉選びが、本質的な理解へと深める

既習の物語を扱うことで、全員が内容を理解している、という前提が満たされます。
さらに、読み札にしたいシーンを選び、言葉を選んだり、編集したりすることで、読み札のフォーマットである15音程度の言葉にまとめる必要があります。
この過程で、「どの場面が重要か」「何を伝えるか」が明確になります。つまり、表面的な理解では通用しなくなるのです。

読み札の具体例

ここでは「ごんぎつね」で作った読み札例を挙げましょう。

きの村へと いたずらに行く」
ぐないしようと 心に決める」
かりあえたが 遅すぎた」
など、場面と心情を短い言葉に凝縮することで、物語の流れと意味が一枚一枚に表れます。子どもたちが内容を理解して作ったことが読み札で分かります。

取り札(絵札)で真の理解が固定する

場面理解と心情の一致がなければ描けない

取り札は、場面が分からなければ描くことができません。どの場面かを特定し、そのときの登場人物の行動と心情を一致させて表す必要があります。たとえば「ごんぎつね」であれば、魚を投げる場面と、栗をそっと置く場面では、主体は同じごんでも、その表情や動きが大きく異なるはずです。
ここが曖昧なままでは、絵に具体性が出ず、内容理解の不十分さがそのまま表れます。つまり取り札は、読解の精度をそのまま映し出す活動になります。

絵で説明し、他者と共有することで理解が深まる

取り札は描いて終わりではありません。「なぜこの場面なのか」「どこを表しているのか」を説明することで、子どもは自分の理解を言語化します。また友だちの絵を見ることで、同じ場面でも異なる捉え方に気づき、理解が広がります。絵を媒介にして説明し合うこの過程が、学級全体の読みを深め、あいまいな理解を許さない学びへと変えていきます。

大会の実施は子どもに任せよう

係分担と日程づくりで学級がまとまる

かるたが出来上がったら、いよいよクラス全員でのかるた大会です。大会は、子どもたちが熱中し練習しているからこそ成立します。やらされ感がある状態では大会は生まれません。まず大会の実施を自分たちで決め、係分担を行います。役割は難しくする必要はなく、開会の言葉を言うだけでも十分です。大切なのは全員が関わることです。
日程を話し合いで決めるときには、その日から逆算して、準備に必要な時間や練習に使える日数を考えさせます。この「日程から逆算する意識」はクラスの子どもたちそれぞれの思考を一つにまとめる力になります。

ルールづくりと運営で責任が育つ

ルールも、活動を通して子どもたち自身でつくります。ただし自分勝手な意見は認めず、
「ルールは公平か。みんなのためになっているか」
を最優先に考えさせます。この基準が共有されることで、学級の規律が内側から整います。そして大会の運営も任せます。教師は見守りに徹し、失敗も含めて経験させます。かるた大会そのものが目的ではなく、学級の成長の一過程として捉えることで、子どもたちの責任感と主体性が確実に育っていきます。なお、参考までに、競技用のかるたのよくあるルールをご紹介します。

一般的な競技用かるたのルール

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