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《5月GW明け》学年始動期の心理的安全性②【教室の心理的安全性を高める手立て #02】

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新潟大学附属新潟小学校教諭

中野裕己

人気連載「明日からできる! 授業技術アップデート」でお馴染みの中野裕己先生による連載第2弾! 本連載では、個別最適な学び、多様性の包括を実現するための重要な土台となる「心理的安全性」に焦点を当てていきます。“子供の個性を引き出す学校づくり”を推進する中野先生が、学校現場における心理的安全性の高め方を、教室での教師の役割など、マネジメントの具体的な手立てとともにお届けします。

第2回目のテーマは、《学年始動期(5月GW明け)における心理的安全性の高め方〜低学年編》です。


執筆/新潟大学附属新潟小学校指導教諭・中野裕己

中・高学年編はこちらから⇒学年始動期における心理的安全性の高め方①【教室の心理的安全性を高める手立て #01】

【低学年編】5月GW明けの心理的安全性

こんにちは。新潟大学附属新潟小学校の中野裕己です。

新連載「教室の心理的安全性を高める手立て—教師の見方・居方・仕掛け方—」の第2回は、低学年に絞って、この時期の心理的安全性について述べていきます。低学年担当の先生はもちろん、中〜高学年担当の先生にも、大いに参考になる内容だと思っています。

自分を客観視する機会をつくる

「心理的安全性」という考え方については、前回で具体的に解説しました(#01をお読みください)。定義としては「学級の中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、という学級の子供たちに共有される信念」としています。

前回の中・高学年編においては、教師の所作に敏感に反応する子供の例を挙げて、教師による丁寧な対応だけでなく、子供と子供をつなぐことを重視すべきであると述べました。しかしながら、低学年の子供たちにおいては、少し話が変わってきます。自己を客観的に評価することが難しい低学年において、単に子供と子供をつないでいっても、「僕が、僕が」「私が、私が」などと、尊重し合うことに難しさが生じるからです。

そこで、子供が自分の行動の意味や価値を客観視する機会をつくることを重視します。とくに、ネガティブな行動ではなく、ポジティブな行動について、その意味や価値を客観視することができるようにするのです。ここでの大切な仕掛けは、子供のポジティブな行動を引き出す環境を整備することです。具体的には、次のような手立てが考えられます。

①話を聞く環境を整備する

まとまった話を聞かせるときには、話し手(教師)との物理的な距離を近づけて、視覚的なアプローチを含めて話をするようにしましょう。例えば、黒板の前に集めて床に座らせ、黒板に掲示した事物を示しながら話をするのです。

子供によっては、友達との物理的な距離が近づくことで、むしろ話に集中できない姿が表れることもあります。そのような子供は、より話し手との距離が近づくように、前方で座ることを促します。

話を聞く環境を整備する

②あえて「みんなが困る状況」をつくる

低学年を担当している先生は、とにかく丁寧に準備を行う方が多くいらっしゃいます。それは非常に重要なことですが、全てを先生が「お膳立て」していると、子供が自ら考えて行動する機会が失われてしまいます。ときには、あえて準備をせずに、教師を含めたみんなで困ることがあってもいいのではないでしょうか。

例えば、算数の具体物操作は、先生が道具を準備しなくても、子供自身が発想して道具をつくりだすことができるかもしれません。うまく操作できない子供には、先生が支援しなくても隣同士で教え合うことができるかもしれません。

隣同士での教え合い

③がんばった後には楽しい活動を

「それをしたら、その後に何をするのか」を、できるだけ予告しましょう。例えば「話をきちんと聞いたら、その後に楽しい活動がある」「お手伝いを素早くしたら、その後に楽しい活動がある」などと、子供にとって分かりやすい意味や価値を示すことが大切です。このように、がんばった後の楽しい活動を用意しておくことも、教師による環境の整備の一つです。

がんばった後には楽しい活動を

このように環境を整備することによって、きっと子供のポジティブな姿が表れてくるでしょう。それを見逃さずに、次のような声をかけて、子供が自分の言動を客観視できるようにしましょう。

「姿勢よくお話を聞いてくれると、話している人は『聞いてくれてる』ってうれしい気持ちになりますよ」

「自分のことを途中でやめて、誰かのお手伝いをする気持ちがうれしいよ」

「行動が素早いと、この後にいろいろな楽しい活動をする時間が増えますね」

このように、その子供の言動が、客観的にどのような意味や価値があるのかをフィードバックするのです。あくまで目的は「意味や価値」をフィードバックすることです。これは、教師を対象にした行動だけでなく、友達を対象にした行動のときにも同様です。

また、ここでは「褒めればいい」「子供は褒めて動かす」などと短絡的に考えて指導してはいけません。そのような考えの下で行われたフィードバックは、すぐに飽きられて効果を失いますし、何より「先生に褒められるからやる」という、短絡的な思考に子供を導くことになりかねないからです。

遊びの中で、「相手の立場で考える」ことを教える

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