小2 国語科「たんぽぽのちえ」板書例&全時間の指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小2国語科「たんぽぽのちえ」(光村図書)の各時の板書例、発問、ワークシート例、想定される児童の発言等を示した授業実践例を紹介します。

小二 国語科 教材名:たんぽぽのちえ(光村図書・こくご 二上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/京都府京都市総合教育センター指導室指導主事・吉田夏紀
執筆/京都府京都市立向島秀蓮小中学校・高田裕宇

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、順序など情報と情報との関係について理解する力、時間的な順序などを考えながら内容の大体を捉える力、文章の中の重要な語や文を考えて選び出す力を育てていきます。

「たんぽぽのちえ」では、時間やその推移を示す言葉が段落の初めに書かれており、それぞれの現象を提示した後にその理由が位置付けられています。これらのことを意識して読むと、文章の内容の大体を捉えやすくなります。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、「順序に気をつけて読み、いちばんかしこいと思うたんぽぽのちえについてカードに書く」という言語活動を位置付けます。
「たんぽぽのちえ」では、時間的な順序を意識して読めるように、挿絵カードを並べ替える活動も行います。この言語活動を通して、順序など情報と情報との関係について理解する力、時間的な順序などを考えながら内容の大体を捉える力、文章の中の重要な語や文を考えて選び出す力を付けたいと考えます。

「たんぽぽのちえ」を読み、「たんぽぽがいつ、どのようなちえを働かせているのか」「そのわけは何か」、また、「いちばんかしこいと思ったたんぽぽのちえは何か」「どんなことを思ったか」を子供自身の言葉で伝えられるようにしましょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 挿絵を並べ替え、順序を意識して読む

本事例の2時間目に、順不同に提示した挿絵を並べ替える活動を位置付けます。友達と「どのように並べ替えたのか」「どうしてそのように並べたのか」を交流する中で、子供たちは必然的に時間や順序を表す言葉を根拠にして考えることになります。活動を楽しみながら、本単元で着目させたい言葉について、子供自らが気付くことができるようにしましょう。
そして、「たんぽぽのちえって何かな。」「それはどこに書いてあるだろう。」というように子供たちが問いをもち、それを解決していくという単元を構想し、主体的な学びを生み出していきましょう。

〈対話的な学び〉 ペア交流で新たな気づきを得たり友達の思いにふれたりする

子供たちが「たんぽぽのちえって何かな」「こんな言葉があるから、きっとこれはたんぽぽのちえだと思うよ」というように、友達と対話的な学びを繰り返すことで、たんぽぽのちえに関わる重要な語や文を見つけたり選んだりできるようにします。

また、低学年の発達段階においては、「知りたい。」「聞いてほしい。」という子供たちの思いを大切にしたいものです。同じ文章を読んでいても、子供によって感想はさまざまであるため、「友達は、どんなちえをかしこいと思ったのだろう。」「そのちえについてどんなことを思ったのだろう。」と気になっている子供も多いのではないでしょうか。そこで、「いちばんかしこいと思ったちえ」と「そのわけ」「思ったこと」をカードに書いて、交流する活動を位置付けます。友達の感想との違いに気付いたり、友達の経験にふれたりすることで、今後の学習への意欲につながるはずです。交流するときは、叙述をもとにし、自分にとっての重要な語や文を考えて選び出す力を付けられるようにしましょう。

〈深い学び〉 筆者の説明のしかたに着目して読む

拡大した本文に色分けして線を引くなど、視覚的に分かりやすくしておくと、次のような筆者の説明の工夫が見えてきます。

「時間を表す言葉」、「ちえ」、「わけ」で一つのまとまりになっている。
「時間を表す言葉」、「ちえ」、「わけ」の順序で説明している。
「わけ」を説明するために、「……のです。」「……からです。」という表現を使っている。

これらのことに子供たちが自ら気付けるように、学習のあしあと(拡大して教室側面に掲示する、ICT端末の学習支援ソフト内に保存するなど)を残しておくとよいでしょう。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)順序に気を付けて読むために
例えば、ICT端末の学習支援ソフトに、本文を六つのまとまりに分けたカードを順不同で提示し、それらを正しい順序に並べ替える活動が考えられます。端末上でカードを操作すれば、作業時間を短縮したり、容易に保存したりできます。
また、友達に画面を示しながら説明したり、テレビ画面に提示してクラス全体で共有したりすることができるようになります。端末を活用することで、並べ替える時間や自分の言葉で説明する時間を保障しましょう。

(2)学習履歴を残すために
学習したことを次の時間につなげるときにも、端末の活用は有効です。教科書の画像データを子供一人一人の端末に送ったりデジタル教科書を活用したりし、端末上で線を引いたり書き込んだりして学習のあしあとを残していきます。
教科書やワークシートなどの紙面上での修正と比べ、端末上では容易に修正できます。また、保存にも手間がかかりません。

(3)相手を選んで交流するために
「交流したい。」という思いを高めるためには、自分で交流する相手を選ぶことが大切です。例えば、ICT端末の学習支援ソフトのカメラ機能で撮影した画像データを提出すれば、クラス全員の「いちばんかしこいと思ったたんぽぽのちえ」が一目で分かります。「自分と同じ(ちがう)ちえを選んだ友達はどんなことを思ったのかな。」というように、子供たちが交流したい相手を選べる仕組みをつくり、必要感をもって学習に臨めるようにしましょう。

6. 単元の展開(10時間扱い)

 単元名: じゅんじょに気をつけて読もう

【主な学習活動】
・第一次(1時
①「たんぽぽのちえ」を読んで感想を交流し、学習の見通しをもつ。

・第二次(2時3時4時5時6時7時8時9時
② たんぽぽが、いつ、どんな様子かを捉えて読む。〈主体的な学び〉〈 端末活用(1)
③④⑤⑥ たんぽぽが働かせているちえやそのわけを捉えて読む。〈 端末活用(2)
⑦ たんぽぽが働かせているちえとそのわけを時間の順序に沿って捉えて読む。〈深い学び〉
⑧ たんぽぽのちえの中からいちばんかしこいと思ったものを選び、そのわけや自分が思ったことと一緒に「ちえカード」に書く。
⑨ 友達の書いた「ちえカード」を読み、感想を伝え合う。〈 端末活用(3)〉〈対話的な学び〉

・第三次(10時
⑩ 単元を振り返り、順序が分かるように話すことなど、今後に生かせることを話し合う。

各時の板書例、教師の発問・児童の発言例、端末活用例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例
交流を活性化させるために

〇 子供は初めて教材文に出会うため、教師が範読するとよいでしょう。時間の順序を意識できるように、子供たちの感想は挿絵と対応させて板書しましょう。また、子供のいちばん心に残ったところが視覚的に分かるように名前カードを活用し、心に残った理由を交流することで内容の大体が理解できるようにしましょう。

〇 第9時には、いちばんかしこいと思ったたんぽぽのちえについて交流します。板書を画像データとして残しておくと、比較して考えの深まりを実感することができます。

「たんぽぽのちえ」を読んで、どんなことが心に残りましたか。それは、どうしてですか。

たんぽぽの花がしぼんで、だんだん黒っぽい色になるところです。

私も同じところが心に残ったよ。黒っぽい色になるなんて知らなかった。

ぼくは、花のじくがぐんぐんのびていくところが心に残ったよ。また元気になってよかったと思ったからだよ。

でも、たんぽぽのちえってどれか、よく分からないよ。

たんぽぽが何か工夫していることかな。

ちえはどこに書かれているか、探して読もう。


【2時間目の板書例 】

2時間目の板書例
端末活用の方法として 

〇 挿絵を順不同で提示し、それらを正しい順序に並べ替える活動を行います。どうしてそのように並べたのかを問うことで、本文に時間を表す言葉が使われていることやそれらはまとまりの冒頭に書かれていること、たんぽぽが変わっていく様子が順番に書かれていることなど、筆者の説明の工夫に気付くことができるようにします。
「たんぽぽが変わっていく様子」と合わせて「その様子はいつのことか」「どちらが先か」と話し合ってカードを並び替えることで、「いつから二、三日たっているのかな」「『このころになると』ってどのころのことかな」「その前の様子を確かめてみると…白い綿毛ができるころだ!」というように、たんぽぽの様子が変わっていく順序と時間を表す言葉を関連付けて読むことができます。一人一人が並べ替えをし、順序に気をつけて読めるようにしましょう。

〇 例えば、ICT端末の学習支援ソフト上でカードを操作する活動を取り入れれば、一人一人に挿絵カードを簡単に送信したり、端末上に容易に保存したりできます。また、友達に画面を示しながら説明したり、テレビ画面に提示してクラス全体で共有したりすることができるようになります。


【3時間目の板書例 】

イラスト/小野寺裕美、横井智美

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