小1国語「かきとかぎ」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、「かきとかぎ」です。濁音のある言葉について学習します。教師が言葉の手がかりとなる挿絵を提示します。子供たちが言葉に気付き、発表できるようにします。教師は、発表した言葉を分類しながら丁寧に板書します。そのような板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・須藤由恵(せせらぎの会)

 

教材名 かきとかぎ(光村図書 1年上)

単元の計画(全2時間)

1 「かきとかぎ」を読み、教科書の濁音のある言葉を書く。
2 濁音のある言葉を見付けて書く。

板書の基本

挿絵やイラストを基に、楽しみながら言葉を学習できる板書

入学して1か月が経ち、子供たちはひらがなを習い始めたばかりです。そのため、教科書の挿絵やイラストを活用し、絵を見ながら子供たちと楽しくお話をするように学習を進めていきます。そして、ひらがなの書き順や文字の形、ノートの書き方を丁寧に教えます。ここでは、濁音のある言葉の学習のため、濁点を赤丸で囲み、子供たちが注目するようにします。

ノートに書かせる際には、子供たちと同じマス目の黒板を使用し、分かりやすくします。
 
子供たちとつくり上げる板書

濁音のある言葉の指導においては、言葉の手がかりとなる挿絵を提示し、子供たちが気付き、発表できるようにします。発表の際には、教師は言葉を分類しながら丁寧に板書します。板書は、子供たちの手本となるように、文字の形やとめ・はね・はらいなどに気を付けます。

ここでは、「ぞう」のような2文字コース、「りんご」のような3文字以上コース、「たい」と「だい」のような仲よしセットコースというように、子供たちが興味・関心をもって取り組めるようなコース名を設定しています。自分たちが考えた言葉がまとめられていく過程を見るのも、子供たちにとって達成感を味わうことができるものです。

板書を活用した授業の進め方(1/2時間目

小1国語「かきとかぎ」板書の技術 板書例
1/2時間目の板書 ※挿絵は教科書を基に執筆者が模写したもの。

1 題名や挿絵から、濁音のある言葉を見付ける

月日と題名「かきとかぎ」を板書します。

「かき」と「かぎ」の違いについて発表させ、濁点に赤丸を付け、イラストを貼ります。

教科書の挿絵を拡大したものを黒板に貼り、誰がいるか、何があるか、挿絵から濁音を含む言葉が見付けられるか、を問いかけ、子供たちに自由に発言させます。大型モニターに映す場合にも同様のやり方で進めることができます。

※「濁音」という言葉は子供たちには難しいので、ここでは「 ゛(点々)」が付く言葉と説明します。

2 本時のめあてを確かめる

本時のめあて<たのしくよんで、「  ゛」がつくことばをかこう。>と板書し、学習の見通しをもたせます。

3 「かきとかぎ」の唱え歌をいろいろな読み方で読む

初めは、教科書の唱え歌を教師の後について読ませます。教師が1行ずつ黒板に書き、子供たちにいっしょに読ませます。教師の板書を見せることで、濁点の書き順や位置などを意識させることができます。また、意味の分かりにくい言葉(「たば」「うらぐち」など)を、子供たちと確認し、全員が安心して読めるようにします。

次に、読み方を換えたり、唱え方を換えたりして、リズムのおもしろさと言葉のおもしろさを感じさせ、楽しく読めるようにします。

<読む際の例>
・一斉読み     ・号車(川)読み  ・教師と子供たちとの交替読み  ・個人読み
・元気な声で読む  ・笑顔で読む    ・泣きそうになりながら読む 

低学年では、読む際に「姿勢・口形・発声や発音」に気を付けて読むことが大切です。その習慣化を図るため、教師はその都度丁寧に確認したり、できている子供を褒めたりするとよいです。

4 濁音のある言葉を発表する

楽しく読んだ「かきとかぎ」の唱え歌の中から、濁音のある言葉を発表させます。板書の濁点に赤丸を付け、黄色でサイドラインを引きます。

5 濁点が付くと意味が変わる言葉をノートに書く

「かき」と「かぎ」のように濁点が付くと意味が変わる言葉は、他にもあることを知らせます。イラストを貼り、「さる」と板書します。濁点が付くと「ざる」になることを全員で確かめ、板書し、さらにイラストを貼ります。教師は、ひらがなの文字の形のポイントや濁点の位置を説明し、子供たちにノートへ書かせます。

他の言葉も同様に提示・板書し、説明を加えます。

さらに、「かきとかぎ」の唱え歌の中の「濁音のある言葉」を選んでノートに書かせることで、子供たちが主体的に活動できるようにします。

濁点が付くと意味が変わることを、「点々の魔法をかけると別の物に変身する」と伝えることもできます。

6 振り返りを行う

今日のめあてを振り返り、「楽しく読めて、『  ゛』が付く言葉を見付けて書けた」ことを褒めて、よくできた証の二重丸を板書し、子供たちに達成感をもたせます。

板書を活⽤した授業の進め⽅(2/2時間目)

小1国語「かきとかぎ」板書の技術 板書例
2/2時間目の板書

1 本時のめあてを確かめる

本時のめあて<「  ゛」がつくことばをみつけよう。>と板書し、学習の見通しをもたせます。

2 「かきとかぎ」を音読する

読む際には、姿勢に気を付けて、濁音を意識させながら、子供たちに一斉読み・号車読み・個人読みをさせます。

3 先生問題に挑戦する

子供たちに興味・関心や見通しをもたせるために、まず、「『  ゛』が付く言葉の先生問題」に挑戦させます。イラストを提示したり大型モニターに映したりして、イラストが表す言葉を子供たちに発表させます。

ここでは、初めに象のイラストを示し、発言を受け、「ぞう」と板書します。2文字の言葉であることを確認し、◯◯と記し「2文字コース」と伝えます。次のりんごも同様にし、ここでは、「3文字以上コース」と伝えます。教師は、子供たちに「ぞう」「りんご」と声に出して読ませ、ノートに書かせます。さらに、鯛と台のイラストを示し、同様に板書し、「仲よしセットコース」と伝えます。

次に、子供たちが濁音のある言葉を見付けることができるように、挿絵やイラストを提示します。見付けた言葉を全体で確かめ、板書します。

4 「  ゛」が付く言葉集めをする

教科書や教室にあるものから言葉を見付けるようにヒントを与え、濁音のある言葉集めをさせます。そして、時間を区切り、隣の人と話し合ったり、伝え合ったりする時間も取り、より多くの言葉に触れ合えるようにします。最後に、全体で発表させ、板書します。教師はノートの書き方を指導し、記述させます。

4 振り返りを行う

今日のめあてを振り返り、「『  ゛』が付く言葉をたくさん見付けた」ことを褒めて、よくできた証の二重丸を板書し、子供たちに達成感をもたせます。

 

構成/浅原孝子

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