小6 国語科「大切にしたい言葉」全時間の板書例&指導アイデア

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデア

文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「大切にしたい言葉」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:大切にしたい言葉(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院准教授・茅野政徳
執筆/神奈川県川崎市立はるひ野小学校・田中真琴

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」を伝えるために、その言葉の意味や出会ったきっかけといった事実と、なぜそれが自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」になったのかといった意見や考えを書いていく必要があります。
その活動を行う中で、相手に伝わるように、事実と意見を明確にしたり、書き表し方を工夫したりする資質・能力を身に付けていきます。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

文章を書くという言語活動は、行きつ戻りつしつつもある程度、学習の流れが明確です。
①題材の設定、情報の収集、内容の検討 ②構成の検討 ③考えの形成、記述 ④推敲 ⑤清書 ⑥共有 という順序は、低学年のころから繰り返し経験してきています。
その都度、重点におく箇所や、構成や内容といった指導事項は変わりますが、「書く」という活動の流れは、大人の我々でも同じはずです。

本単元は、この中でも特に、②に重点を置いた単元としました。構成の検討時に友達との相談タイムをとり、自分の構成がこれでよいのか練り直す時間をとります。伝えたいことや内容の中心がより伝わる構成とは何だろうと思考することで、構成の重要さが実感できるでしょう。

この単元では、経験や事実、自分の考えを組み立てていくことで文章を書いていきます。自分の考えを冒頭にもってきてもよいし、経験から始めるのも印象的になるかもしれません。
どのような構成にしても成り立つからこそ、書き手の思いや重点を置きたい内容が明確である必要があります。
そして、構成の段階で自由度が高いからこそ、自分の伝えたいことは伝わるか、自分の考えた構成がよいのかと迷いが生じ、友達の意見を聞きたくなるはずです。構成を考える重要性や、対話的に学ぶことのよさを感じられる単元となるでしょう。
教科書に載っている例文に限らず、これまでに出会った文章の構成や書き表し方の工夫を総動員し、文章を作り上げる楽しさを感じてほしいと思います。6年生の集大成となる文章にしていきたいところですね。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 イメージを十分に膨らませる

本単元のように、言葉と自分の経験を結び付けて書くような言語活動は、文章全体をイメージするのが難しいと思われます。「この先大切にしたいお気に入りの言葉」は探せるとしても、ではなぜそれが自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」なのか、経験とつなげるとはどういうことなのか、児童にはイメージしにくいでしょう。

そこで、まずは著名人や保護者など身近な大人が大切にしている言葉(例えば、座右の銘など)、その言葉にまつわるエピソードを集めておくように声をかけておきます。
様々な人の「大切にしている言葉」や、その言葉にまつわるエピソードを知ることで、自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」は何だろうかと興味や関心をもって、単元に臨めるでしょう。
調べていく中で、「大切にしたい言葉」に対するイメージや、経験と結び付けて考えるイメージも膨らみ、書いて伝えたいという意欲につながってくるのではないでしょうか。

さらに文章全体のイメージをもつために、教科書の例文を使い、経験が書かれているところ、考えが書かれているところを線で色分けしてみることをおすすめします。
色分けによって、経験や事実が書かれている部分と、自分の考えが書かれている部分が視覚的にわかりやすくなります。

教科書の例文の構成は大まかに、「座右の銘」の紹介、発表会の劇での失敗の経験、「座右の銘」との出会い、自分の考えとなっています。「座右の銘」と自分自身のことがサンドイッチになっているような構成です。
時系列に沿って書くことが多い児童にとっては、構成のよい参考になるでしょう。
また、経験が書かれ、そこから自分の思いや考えにつなげて書かれているので、「事実と意見を区別」して書くとはどういうことが、わかりやすく明示できるでしょう。

〈対話的で深い学び〉

本単元では、自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」と、それに結び付く経験、自分の考えを中心に書いていきます。
選んだ「この先大切にしたいお気に入りの言葉」によっては、教科書の例文のようにその言葉を表現した人のエピソードなども書くことになり、経験や事実、自分の考えを区別しやすいでしょう。
それらを付箋などに簡単に書き、構成を考える段階で活用していくようにしていきます。
教科書の例文の構成を参考に、どの順番で書いていくか、様々なパターンを考えていきます。
そのためにペアやグループで、構成について相談する時間を設けます。友達になぜその順番にしたのか説明する中で、より自分の考えが明確になっていくでしょう。その後、友達のアドバイスや考えを受け、構成を練り直していきます。

対話に有用性をもたせるためには、構成の段階で気を付けたいポイントを事前に確認する必要があります。事実と意見が区別されているか、伝えたい内容が明確になっているかなど、前時を振り返り、学級全体で再確認するとよいでしょう。

下書きを終えると推敲の時間となります。
今度は主に書き表し方の工夫について、引用の仕方は効果的か、よりよい表現はないかという視点で読み合っていきます。
構成を見直したペアやグループで読み合うようにすれば、構成は適切であったか振り返ることもできるでしょう。この時点でも教科書の例文のよい表現や、事前にみとっておいた優れた書き表し方をしている児童の文章を紹介するなどして、推敲の視点を明確にしておきましょう。そうすることで、友達や自分の文章のよいところやもっと工夫したいと思うところを意欲的に探す姿が生まれることを期待できます。

一つの文章を書き上げるために、友達との対話、自分の文章との対話を繰り返す学習活動を通して、より自分の考えが伝わる文章にするために悩み、工夫していく時間が生まれます。それこそが、深い学びとなるのです。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)より多くの情報に出会うために

「4.指導のアイデア〈主体的な学び〉」でも書いたように、自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」を決める前に、多くの人の「大切にしている言葉」やその言葉にまつわるエピソードに触れておくことが必要でしょう。
そのために、家族にインタビューするなど、一人一人が調べてきて紹介する時間を単元の1時間目に設けます。
家族に聞くことが難しい児童も、インターネットを活用し、スポーツ選手や著名人の言葉を調べることができると思います。調べるのが得意な児童、スポーツや科学など興味のある分野や人物について調べてみたいと思う児童もいるはずなので、一人一つにしぼる必要はないでしょう。
紹介し合う時間でも端末の機能を活用し、画面で共有し合えば、より多くの友達が調べた「大切にしている言葉」を簡単に知ることができるでしょう。

(2)構成を練る重要性と楽しさを味わう

構成を考える段階で、プレゼンテーションの機能や、付箋のように操作できるアプリを活用できるとよいと思います。どちらも並べ替えが容易にできる点を生かすことで、児童の負担感を減らすことができるでしょう。友達との対話の中で生まれた新たに追加したい内容もすぐに反映させることができます。

また、書くことが苦手な児童にとって構成を何度も練り直すのは、その意味を十分に理解していたとしても大変なことです。端末の機能を活用することで、その負担がなくなり、構成を練る楽しさや充実感を味わうことができるでしょう。

6. 単元の展開(6時間扱い)

 単元名: 書き表し方を工夫して、経験と考えを伝えよう「大切な言葉」

【主な学習活動】
1時2時3時4時5時6時
① 自分の「大切にしている言葉」や集めた「大切にしている言葉」、それに関連するエピソードを紹介し合い、クラスのみんなに伝えたい「この先大切にしたいお気に入りの言葉」を決める。〈 端末活用(1)〉
② 教科書の例文を「経験や事実」「自分の考え」に分けることで構成をとらえ、自分の文章の構成を考える。〈 端末活用(2)〉
③ 構成をもとに、下書きをする。
④ 友達と読み合い、構成や書き表し方について推敲する。アドバイスし合った点や書き表し方が工夫されている友達の文章を紹介し合う。
⑤ 推敲したことをもとに、書き表し方を工夫しながら書く。
⑥ 友達と読み合い、感想を伝え合う。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

お父さん
「一期一会」…仕事の先輩から教えられた

お母さん
「好きこそものの上手なれ」…習い事をがんばるきっかけになった


サッカー選手本田圭佑
「成功にとらわれるな! 成長にとらわれろ!」…成功を目指すなら、成長にこだわれ

映画「風と共に去りぬ」
「明日は明日の風が吹く」…悩まずがんばって前に進もう


【参考サイト
「なりたい」が見つかる職業情報サイト キャリアガーデン
「あなたの座右の銘を教えて下さい」

インタビューするときは、その言葉を「この先大切にしたいお気に入りの言葉」としている理由や、その言葉を知ったきっかけなども併せて聞くように伝えておきます。
パソコンなどで調べるときは、誰の言葉なのか、どこで使われた言葉なのか、引用したサイトや本などが分かるようにしておくように伝えましょう。自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」としたいと思うものも考えておくように声をかけておきましょう。
1時間で決めるのは難しいと思われます。授業前に一人一人がしっかり題材に向き合える時間を確保しておきましょう。

今日は、調べてきた「この先大切にしたい言葉」などを紹介し合いながら、自分の「この先大切にしたいお気に入りの言葉」を決めてみましょう。

お父さんから聞いた「一期一会」は、素敵だなと思いました。これから中学校へ進んでいくときに、新たな出会いも増えそうだから、新しい友達も、今の友達も大切にするという気持ちもこめたいです。

自分と同じスポーツをやっている選手の言葉は、胸にぐっときました。くじけそうになったとき、努力し続ける強い意志を「継続は力なり」という言葉で、思い出していきたいです。

映画に出てくる言葉も「この先大切にしたい言葉」になるんだなと思いました。似た意味の言葉もあるけど、その人の好きなものや、その言葉との出会い方によっても「この先大切にしたい言葉」は変わるから、きっかけなども伝えたいです。

いろいろな思いや考えがありますね。どうしてその言葉を「この先大切にしたいお気に入りの言葉」にしたのか、相手にしっかり伝わるように、次の時間に確かめていきましょう。


【2時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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