ページの本文です

不登校だった子どもたち連続インタビュー「登校初日に、この学校は違う!ここなら通える!と感じた理由」~現役中学生が「小学校時代の不登校」を振り返る②~  

特集
多様化する選択肢 令和時代の不登校対策
特集
ギフテッド特集!関連記事まとめました
関連タグ

子どもたちが通える・通いたいと思える「学校」とは、どんな場所なのでしょうか?
学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクール、花まるエレメンタリースクール(通称・花メン)で学び、自らの輝きを取り戻して卒業した中学生8人への連続インタビュー企画、第2回。今回のテーマは、「学校には行けない。でも、花メンには行こうと思ったのは、なぜか?」です。
どの子も、初めて花メンに出会った瞬間のことを驚くほど鮮明に覚えていました。

※インタビュー内容は、本人が特定されないよう一部表現を調整しています。

不登校当事者連続インタビュー「私はなぜ、学校にいけなくなったのか?」~現役中学生が「小学校時代の不登校」を振り返る①~」の続きです。

最初に、誰が話しかけてくれたのか

花まるエレメンタリースクールでの学びの場面。一人一人の笑顔があふれる。

前の学校では、だんまり決め込んでた。(Oさん・中2)

前の学校では、だんまりを決め込んでいた。誰とも話すこともないし、好きなことも合わない。
最初に仲良しグループができてしまっていて、そもそも入ることもないから、ずっと黙っていた。
でも、花メンに来たら、最初から友達が話しかけてくれて、嬉しかった。本当にすごく嬉しかったから、その後、花メンでは、ずっと(自分から新しい子に声をかけることを)やっていた。
中学に入った時は、入学式の日に、自分からどんどん話しかけた。いきなり三人友達ができた。

「みんな最初は、そんな感じだよ」とリノ(女性スタッフ)に言われて。(Rさん・中2)

最初、体験に来た時は「楽しい!」って思った。
でも、次の日に行ってみたら全然ダメだと感じて、たまたまその日は木曜日だった。その後、金・土・日を挟んだら(花メンは金曜日が休みなので)、次の月曜日には行きたくなくなって、「やだ、行きたくない」と言って、ずっと渋っていた。
でも、とりあえず(花メンのスタッフたちが迎えにきてくれる吉祥寺駅の)改札までは行って、そこで(スタッフの)リノがいっぱい話してくれた。「みんな最初はそんな感じだよ」とか、他の子が渋っていた時の話をしてくれて。
聞けば、◯◯も3か月くらいは渋っていたらしい。「みんなそうなんだ…」って思ったら、「じゃあ行ってみようかな」と、なった。

「行きたくない」と「行ってみたい」の間で

花まるエレメンタリースクールでの学びの場面。

「ここで行かなかったら、後悔するかも」って思った。(Aさん・中1)

花メンに行く前は、犬と一緒に過ごす、個人経営のフリースクールみたいなところに通っていた。
でも、私は犬アレルギーで(笑)。それで、そこの人が、「うちの6年生の男子がここに行ったんだよ」って、花メンを紹介してくれた。

それで花メンに面談に行ってみたら、いい意味で「なんだここ!」と思った。なぜなら、面談の時、◯◯(友達の一人)とかが、掃除をサボって私に話しかけて来てくれていたから。
「あ、ここ楽しいかも」と感じた。

ただ、じつは面談に行くまでは、めちゃくちゃ渋っていた。行きたくない気持ちもあったし、怖さもあったと思う。それでも行ったのは、「ここで行かなかったら、また後悔するかも」って思ったから。

「こっから、どうなるんだろう」と思っていた。(Kくん・中3) 

花メンに来た最初の頃は、ちょっと緊迫感があった。四番教室でお弁当を食べていた時に、ハヤトカゲが(花メン一のガキ大将の)MKを紹介してくれたんだけど、お互い腹の探り合いみたいな感じで、「こっからどうなるんだろう」っていう空気があったと思う。

俺、背も大きかったし、周りからすると「おお……」と感じる威圧感もあったらしい。トカゲ(林隼人校長)からも、「MKと初めて会った時は、『こいつは俺が戦うことになる相手かも…』、みたいな気持ち、最初はちょっとあったでしょ?」って、後から言われた(笑)。

でも、MKにはもう年下の後輩たちがいたし、俺も別の下の子たちと関わるようになって、下の子たちの手前、MKと戦うことはなかった。結局、MKとは花メンの中で一番の仲良しになれたし、今でも付き合っている。

誰かと一緒にいるのが楽しかった

「眠れないなら、星を見に行くか」とアキ(男性スタッフ)が言ってくれた。(Tくん・中2)

花メンの見学体験に行った直後に、もう林間学校(3泊4日の宿泊学習)に参加することになってしまった。「林間があるよ」って最初に聞いた時は、「さすがに行けないかな…」とも思ったけど、なんだか行きたくなってしまった。行ってみたら最初から周囲のみんなが受け入れてくれた。
4年生の冬だったから、まだ一人だけで外泊したことがなくて、夜は全然眠れなかった。だから、ハヤトカゲ(林 隼人校長)に「一緒に寝て」と頼んで、同じベッドで寝てもらった。でも俺、寝相が悪すぎたらしくて、起きてみたらハヤトカゲが俺のベッドで寝ていた(笑)。

次の日は(スタッフの)ソウタの布団に行ったり、その次の林間では(同じくスタッフの)アキと一緒に寝たりしていた。アキが「眠れないなら、星を見に行くか」と言ってくれて、一緒に星を見に行ったのを覚えている。そこで、アキから、サッカーで海外に行った話とか、いろんな話を聞いた。

最初は全然話せなかったけど、だんだん声を出せるようになっていった。体育の時間とかに体を動かしているうちに、少しずつ花メンのみんなに馴染んでいった感じがする。↓

「スマホのために行こう」と思って来た。(Sくん・中2)

最初に花メンに来た理由は、スマホが欲しかったから。親との面談で、「吉祥寺に通うなら、スマホ必要だよね」みたいな話になって、「花メンに行ったら買ってあげる」と言われた。それで、「じゃあスマホのために行こう」と思って来た。

でも、実際に来てみたら、本当に楽しかった。後からハヤトカゲ(校長)に聞いた話だと、最初の頃は「大人なんか信用しません」みたいな印象を与えたらしい。目つきも悪くてツンツンしていたんだって。

でも、夏の林間学校で変わった気がする。それまでは、自分のことしか考えていないように見えていたと思うけど、林間の間、誰かのために動いたりするのが、楽しかった。いろんな子に声をかけたり、眠れない子の背中をトントンしたりもしていた。いろんな人と関わっていくうちに、少しずつ素直になっていったんだと思う。今振り返ると、自分でも「人格って変わるんだな」と思う。

「学校以外の場所がある」と知った

花メンでの学びの一場面。一人一人がエネルギー全開だ。

ある日学校から消えた友達から、「花メンに通っている」と教えてもらった。(MIさん・中1)

花メンを知ったきっかけは、小学校の時の友達だった。2年生の頃に仲良くなったYさんが、3年生になった頃、突然学校に来なくなった。「どこに行ったの?」とLINEしたら、「花メン」って返信がきて。その時、初めて「学校以外の場所があるんだ」と、知った。

その友達・Yは、「面白いよ、楽しいよ」と、花メンの話をしてくれていた。その頃、自分も学校の人間関係に悩んで心を閉ざすようになっていたから、花メンのことが少しずつ気になり始めていった。

それで親に、「花メンに行きたい」と相談してみた。「Yがいるなら行けるかもしれない」と思ったし、最初に面談を担当してくれた先生が、すごく受け入れてくれたから、「花メン全体も、こういう場所なんだろうな」と思えたのを覚えている。

親も、「無理して学校に戻らなくていいよ。フリースクールの方が楽なら、そっちに行こう」と言ってくれた。当時は定員の関係で入学を受け入れていないタイミングだったらしいけど、お父さんが何回も足を運んで、校長宛に手紙まで書いてくれた。今思うと、周りの大人たちが、「学校に戻す」じゃなくて、「自分に合う場所を探そう」と動いてくれていたんだと思う。

「やっと来られた!」って思っていた。(MKさん・中2)

私は、最初から結構ワクワクしていたかもしれない。小2くらいから「花まる学習会」の別の塾に通っていたので、花メンの面談に来た時も、「やっと来られた!」みたいな感じで、かなり楽しみにしていた。

でも、その頃は家の中が大変だった。不登校の時期は、「行ける」「行けない」「行こうと思っても朝起きられない」を繰り返していて、家にいる時間も長かったから、母とぶつかることも増えていた。花メンの面談の日の朝も「起きたくない」とケンカになって、母は怒って携帯を投げつけ、画面が全部バキバキに割れてしまった。

私は最初から「花メン楽しみ!」って感じだったんだけど、母はかなり追い詰められていたと思う。
「あんたのためにやってるんだから、もっと自分事として考えなさい」って言われて、さらにケンカがヒートアップしていた。

でも、自分としては、花メンは最初から「苦しい場所」ではなかった。花メンに入れたのが嬉しくて、最初からテンションは高めだったし、緊張もあまりしていなかったと思う。

行き渋った初日は、1年後の笑い話になる

じつは、「初日」には花メンの考え方が色濃く出ます。

そう語るのは、花まるエレメンタリースクールのハヤトカゲこと林 隼人校長です。

1 保護者は「理想の初日」をイメージしがちである

ハヤトカゲ 「花メンの空気に触れたら、すぐさま別人のようになって笑顔で毎日通えるようになる」。そんな「理想の初日」をイメージしている保護者は多いものです。そして、初日が思うような一日でないと感じたり、その後も登校渋りが続いたりすると、保護者の心が折れそうになることはよくあります。その時、「ここでわが子に無理強いしたら、また状態が悪くなるのではないか?」と考える保護者は少なくありません。無理をして学校に行かせたことで、子供の状態や親子関係が悪化した経験があるからこそ、慎重になるのは当たり前のことだと思っています。

2 花メンは「ゲームチェンジ」

ハヤトカゲ でも、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

花メンは、一緒にいる仲間、授業のあり方、関わる大人、全てが今までの学校とは違います。

ハヤトカゲ つまり、同じ「学校に行く」という行為だったとしても、中身はまったく別物です。僕たちは、これを「ゲームチェンジ」と表現しています。
「今までの環境の延長線上にいるのだったら、確かに子どもが変わることはないかもしれない。でも、花メンは全く違う環境です。ゲームチェンジしたと思って下さい」と、保護者には伝えています。

ここで保護者が気持ちをスッパリと切り替えられないと、子どもへの関わりが以前と同じになってしまいます。「行きたくない」と言われた瞬間に、怯み、前と同じ空気を生んでしまう。大人側の切り替えができていないと、子どもは「前と同じ」に戻ってしまうことがよくあります。

3 「行きたくない」と言われてからが勝負である

ハヤトカゲ 僕たちは、「初日、渋ったかどうか」は気にしていません。むしろ、これまで不登校だったのだから、「渋るに決まっている」とすら思っています。保護者の心配をよそに、初日からスムーズにいくかもしれない。やっぱり渋るかもしれない。初日に何が起こるかは、実際に蓋を開けてみないことには、誰にもわかりません。

大事なのは、「初日からスムーズにいくこと」ではなく、その後にどんな経験を積み重ねていくかです。

ハヤトカゲ 「子どもが行きたくないと言ったから、もう終わり」なのではなく、そこからが勝負です。つまり「行きたくない」の後に、その子が、どんな経験を積むことができるのか。

たとえば、渋っていながらも駅までは来ることができた。授業を1時間だけ見学できた。体育の1試合だけ参加した…。そんなふうに、不登校という経験を少しずつ書き換えていくこと自体が、その子の成長なのだと思っています。

4 行き渋った初日は、1年後の「笑い話」になる

ハヤトカゲ 花メンでは、ありとあらゆる初日の子どもたちを見てきました。正直なところ、今は「新しいパターンの初日」に出会う方が難しい。(最後に「これは新しいな!」と感じたのは2年半前です)。

多くの学校では、「行きたくない」と言われてしまったら、ゲームオーバー。
でも、花メンでは、「なるほど、そのパターンね、じゃあ、こう関わってみようか」と、子どもの状態を見ながら打てる「次の一手」を星の数ほど持っています。だからこそ、思うのです。

初日に行き渋ったとしても、それは失敗ではない。

「私、初日は行き渋って大変だったんだ」。そんなふうに、1年後、みんなと笑って話しているエピソードを作っているにすぎないんです。

書籍 『不登校だから、輝ける!  花まるエレメンタリースクールの挑戦』より抜粋

そうは言っても、チーム花メンは一丸となって「初日」を入念に設計します。その様子をハヤトカゲは書籍の中で、こう表現します。

花メンは、「入学式」ではなく、「入学初日」という言葉を使います。年度途中でも新入生を受け入れることがあるという理由もありますが、それ以上に、入学初日の本質は「式」ではなく、「出会い方」にあると考えているからです。僕たちは、その出会いを偶然に任せず、子どもが感じる最初の一瞬を入念に設計します

『不登校だから、輝ける! 花まるエレメンタリースクールの挑戦』より抜粋

「初日」に向けて花メンでは何をしているのか? 単行本 『不登校だから、輝ける!  花まるエレメンタリースクールの挑戦』(6月30日発売予定)の中では、多くのページを割いて具体的な実践をまとめています。
学校現場に蔓延する息苦しさを変える本質的な改革のヒントに満ちた一冊です。よろしければぜひご予約の上、ご購読ください。

単行本『不登校だから、輝ける! 花まるエレメンタリースクールの挑戦』好評発売中!

花メン校長+チーム花メンによるオンライン講座、参加者募集中です!

撮影/チーム花メン 写真セレクト/トモカ(女性スタッフ)

花まるエレメンタリースクール 「メシが食える大人に育てる」花まる学習会が運営するフリースクール。これからの時代に必要な力を「体験」を通して「五感」を使って身につける。不登校の子、不登校でなくても才能を伸ばす新たな学びの場を探している子が通っている。HPは、コチラ。インスタグラムは、コチラ

取材・文 / 楢戸ひかる(ならと・ひかる)
ライター。「ギフテッド」や「学校に行かない選択をした子どもたちのためのフリースクール」取材を通じて、教育に選択肢を作ることを探究している。自身のサイト「主婦er」内に「ギフテッド関連記事のリンク集」と「不登校関連記事のリンク集」がある。

この記事をシェアしよう!

フッターです。