みんなが楽しく参加できるゴール型のゲームってないの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #97】

サッカーやバスケットボール、ハンドボールなど、ゴール型ゲームはたくさんあります。学年が進むと、ゴール型ゲームでは、得意な子どもばかりが活躍し、苦手な子どもがプレーから離れてしまうこともあります。
今回は、多くの子が初めて取り組む「技能差」の小さい教材として、「ディスクパスゲーム」を紹介します。この教材は,ボールの投捕技能やゴールへのシュートの技能に大きく左右されず、4年生以上のどの学年でも取り組めます。
執筆/千葉県公立小学校教諭・黒川節子
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川譲
目次
1 楽しくゲームに参加できない3つの原因
みんなが楽しくゲームに参加できない大きな原因として、次のことが考えられます。
① ゲームの中で、どう動いたらよいのかわからない。
② 1対1になってしまうと、思うように動けない。
③ 社会体育が盛んになってきたことで、以前より技能差が大きくなった。
そこで、①を克服できる教材として、#37では、動き方がわかりやすく、楽しさを実感できるゴール型ゲームの入門期の教材として「コーンボール」を紹介しました。
また、①と②を克服できる教材として、#88ではシュートゲーム、#89では3on1のゲーム、#90では4on2のゲームを紹介しました。
今回は、③に着目し、ディスクゲームを取り上げます。
ディスクパスゲームは、「ディスクを持って歩かない」「ディスクを手渡ししない」「ディスクを持っている人と接触しない」というルールで進めます。ボールを使ったゴール型ゲームは、自分でドリブルをして進むことができるものが多いのですが、ここでは、ディスクをパスしながらゴールをめざします。まず、ディスクを投げて、落とさないようにディスクを捕れるように、ディスクと仲よくなりましょう。
2 ディスクの基本的な投げ方
ディスクは、硬い素材ではなく、写真のようなドッヂビーを使います。

ディスクパスでは、「ディスクを落とさない!」が基本です。そのためには、「相手に確実に渡すパス」「相手が捕りやすいパス」「遠くの相手に投げるパス」ができれば、どのように投げても構いません。
基本的な投げ方を紹介します。初めての人でも、回転をかけながらまっすぐ投げやすいのはバックスローです。なかなか回転がかけられず、うまく投げられない子どもがいた場合、近い距離でのパスに限られますが、ディスクを縦にして投げるアンダースローも認めてあげると、下位の子どもでも安心してパスできるようになります。
上手に投げるために共通しているのは、ディスクをたくさん回転させることです。それ以外は、人によって違いがあるので、方向、高さ、手の出し方などについて、いろいろ試しながら、ディスクと仲よくなり、よりよいパスが出せるようにしていきましょう。
<バックスロー>
手首を返す動きが理解できない子どもがいた場合は、「ディスクを持った手で、ディスクを抱えるようにする」→「投げたい方向にまっすぐ腕を出す」と指示すると、ディスクがまっすぐ飛ぶようになっていきます。

<上手に投げられない児童へのアドバイス>
⚫︎ディスクを離す前に、手首をきゅっと返して、ディスクをくるくる回転させよう
⚫︎地面と平行にディスクが向くように意識しよう
⚫︎ディスクが体の近くを通るように投げよう
⚫︎構えの高さやディスクを投げ出す向きを変えてみよう
3 ディスクの基本的な捕り方
落とさなければ、片手でも構いませんが、両手で挟み込んだ方が、確実に捕ることができます。
<サンドイッチキャッチ>

4 どんどんパス ~ディスクパスに慣れよう~
ディスクに触れれば触れるほど、パスが上手になっていきます。そこで、ペアでどんどん投げて捕るゲームをします。他の単元と組み合わせて、ディスクパスの技能を高めておきましょう。技能を高めるための「ドリル」と考えず、パスの回数をペアで伸ばすためのメインゲームとして行うと、楽しく取り組むことができます。
⑴ 場の設定

⑵ やり方・ルール
① ペアを作る(私は、ペアで取り組む運動は、いつも体育班のペアを基本にしています)。
② 向かい合う2人の間隔を指示する(5mくらいから始める)。
*体育館の床のラインを利用すると簡単。
③ ディスクを回転させながらまっすぐ投げられるように練習する。ある程度投げられるようになったら、「5回以上続くようにしましょう」と、回数のめあてを提示する。
④ パスの連続回数を「1・2・3……」と声を出しながら数える。
・落としたら、また、1から数える。
⑤ 2~3分したら、終了の合図をする。
⑥ 何回できたか発表する。
・初めは、5回くらいをめあてにする。「5回以上(めあての回数)できた人」と聞き、めあてが達成できたかを確認し、その場で称賛する。
・授業回数を重ねるとパスの回数が増えていくので、めあてにする回数も変えていく。
・最高記録を言わせて、回数が多いペアを称賛したり、前回よりも伸びたペアを称賛したりするとよい。
5 パスパスリレー ~パスをつないでたくさん得点をとろう~
パスパスリレーは、守備がいない状態でチームでパスをつなげてゴールをめざします。
1対1のパスから少しレベルアップをして、チームでパスを回します。パスパスリレーをしながら、個人技能を高めることと、チーム内で動きを確認しながらアドバイスできるようにすることをねらいます。
コートは「ゴールエリア」を設定せず、「ゴールライン」を越えてパスを受ければ得点として、コートの準備を簡単にしてもいいでしょう。
⑴ 場の設定(私は10mが14歩です)
⚫︎縦20m程度(スタートラインからゴールラインの間隔)。
⚫︎得点板は、4~5m先に置く(ゴールエリアが4~5mになるように)。
⚫︎ラインが引ける場所なら引く。引けなければ、マーカー4つ、得点板1つあればよい。

⑵ やり方・ルール

① 体育班の4人みんなで、スタートラインに並ぶ。
② ゴールラインに向かって、4人でパスをつなぎながら進む。
・全員が必ずディスクに触る。
・全員がディスクに触れなかった場合、次のスタートは、触っていない人から始める。
③ 途中でディスクを地面に落とした場合は、スタートラインに戻ってやり直す。
④ ゴールラインを越えた場所(上のイラストのゴールエリア)に誰かが走り、パスを捕ったら1点とする。
⑤ 得点が入ったら、スタートラインに戻り、同じことを繰り返す。
⑥ 5分したら、終了の合図をする。
*8チームで得点を競って、チャンピオンを決めてもよいのですが、2チームの対抗戦にして、隣のチームと得点を競い合わせます。入れ替え戦にすると、さらに盛り上がります。
6 さいごに
パスをつなぎながらゴールをめざす、一方通行のゲーム「パスパスリレー」のイメージはできましたか?
ディスクは、ボールよりも軽くて移動速度が遅いので、ボールよりも扱いやすく、あまり苦手意識をもたずに、投げたり捕ったりすることができます。ディスクパスゲームの単元を始めようと思う少し前に、短時間でいいので、どんどんパスやパスパスリレーを扱っておきましょう。これにより、ディスク操作の個人技能が向上し、自信をもってチーム内でパスができるようになり、積極的にゲームに参加できるようになっていきます。たくさんディスクを触って、ディスクと仲よしになっておきましょう。
イラスト/佐藤雅枝
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執筆
黒川節子
千葉県公立小学校教諭
東京都江戸川区生まれ。「『できた』が生まれる、おもしろくて力がつく体育の授業」を目指し、「しかけづくり」を中心に日々研鑽中。子どもたちが体育の授業が待ち遠しくなるように、若い先生方が自信をもって体育ができるように、勤務校を中心とした体育授業の充実を図っている。『「資質・能力」を育成する体育科授業モデル』(共著)(学事出版)

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
