もっとあるよ!入れ替え戦。班対抗のやり方は? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #22】
対戦相手を変えながら、飽きずに運動の基礎感覚を高めていくことに適している入れ替え戦。今回は、折り返しの運動や、鉄棒運動に取り入れる方法を紹介します。
これまで紹介しましたかけっこ入れ替え戦や、ハードル走の入れ替え戦では個人が入れ替わるパターンでした。
今回紹介する入れ替え戦は、体育の学習班を活用して行い、班ごと入れ替えて対戦相手を変えて、飽きずにゲームに取り組むことができるようにしています。また、ここで紹介する教材はジャンケンでの勝負になるため、技能差にかかわらず、どの班にも勝つチャンスがあります。
執筆/筑波大学附属小学校教諭・山崎和人
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
Ⅰ 関所ジャンケン
折り返しの運動のアレンジとして行うことができます。
<行い方>
① 体育の班の1列目の子が、関所役として折り返す地点に行きます。
② 1列目の子(関所役)は左右を入れ替え、相手の班の子たちと正対するようにして座ります。
③ 決められた運動(手足走りやうさぎ跳びなど)で関所の所まで行き、ジャンケンをします。
④ ジャンケンに勝ったらそのまま折り返し、ジャンケンに負けたら決められた運動(カエルの足打ちや、マットをおいての前転や後転)をして戻ります。
⑤ 前の子が戻ってきたら、タッチして次の子がスタートします。
⑥ 先に全員が終わった班の勝ちになります。
⑦ 関所の子を交代して①〜⑥を行います。
⑧ 全ての子が関所役を行ったら、勝った回数の多い班を1回戦目の勝者として班ごと入れ替えをして2回戦目を行います。
※⑥の後に、1回戦の勝敗で入れ替える方法もあります。
このようにすることで対戦相手を替えながら、繰り返し運動に取り組むことができます。また、③の関所まで行く運動を変えたり、関所に小マット(「ブラッシュアップ体育授業」#8参照)を用意すると、④のジャンケンで負けてしまった時の運動として、前転や後転などを取り入れることもできます。
Ⅱ ふとん干しジャンケン
鉄棒運動でも、入れ替え戦を取り入れることで、楽しみながら感覚を高めていくことができます。ここでは、ふとん干しジャンケンの入れ替え戦を紹介します。
<行い方>
① 鉄棒1欄※で、2人が同時にふとん干しをします。1列目全員がふとん干しをしたら、教師の合図で、左右の子2人でジャンケンをします。
② 教師が合図をするまでの時間(10秒~15秒程度)に勝った回数を、見ている子が数えておきます。
③ 終わりの合図で、鉄棒を握って前回り下りで下ります。そして、勝った回数の多いほうを勝者とします。
④ ①〜③を繰り返し行い、全員が終わったら、勝者の多い班を勝ちとして入れ替えを行います。
※欄は鉄棒を数える単位です。
Ⅲ 班対抗入れ替え戦のポイント
かけっこ入れ替え戦やハードル走の入れ替え戦と基本的には同じですが、はじめはルールの理解に時間がかかります。そこで、以下のポイントを踏まえて行うことで、ルールの理解がスムーズになります。
<対戦相手はどっち?>
鉄棒では、図2のように1欄で2班が行うので、対戦相手が明確になりますが、関所ジャンケンは、対戦の場の区切りがないため、混乱することがあります。そこで、図1のようにコーンで区切ることや、関所の前に置く小マット(「ブラッシュアップ体育授業」#8参照)を2枚ごとに色を変えるといった工夫をすることで、対戦相手が明確になります。
<どっちの班が何回勝ったの?>
対戦に夢中になってくると、どちらの班が何回勝ったのか忘れてしまうことがあります。そこで、対戦前に全員赤白帽子を赤帽子にしておき、勝った子は帽子を裏返して白帽子にします。こうすることで、全ての対戦が終わった後に白帽子の数を数えれば、勝った回数が一目瞭然となります。
<班の人数が違う時は?>
体育の学習班の人数が違うときには、多いほうの班に合わせて対戦を行います。4人班と3人班で対戦を行うと、3人班のほうは、2回やる子が出てきます。勝った回数がわかりにくくなるため、対戦のたびに確認させましょう。
今回紹介した運動は、繰り返し行うことで子どもの感覚を高めていくことができるものです。感覚づくりの運動をただ行うだけでもよいのですが、ゲーム化することで、どの子も飽きずに楽しく運動することができます。ぜひ明日の体育授業に取り入れてみてください。
【参考文献】
体育授業実践の会/編(2018)『すぐ使える!体育教材30選』学事出版
※連載「ブラッシュアップ体育授業」について、メッセージを募集しております。記事に関するご感想やご質問、テーマとして取り上げてほしいことなどがありましたら、下の赤いボタンよりお寄せください(アンケートフォームに移ります)。
執筆
山崎 和人
筑波大学附属小学校 教諭
筑波学校体育研究会 理事
1993年埼玉県川越市生まれ。簡単・手軽に「動ける体づくり」ができる体育授業を目指して、実践・研究を重ねる。子どもの「できた」が増えるように基礎感覚を重視した授業を展開し、日々研鑽中。『すぐ使える!体育教材30選』シリーズ(共著)(学事出版)等、共著多数。
監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。
イラスト/佐藤道子