新しい評価の観点を踏まえた「指導要録」記入の要点と文例

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適切な指導を行うための基礎資料であるとともに、外部への証明となる公簿としても重要な役割をもつ「小学校児童指導要録」。学級担任が「指導要録」を作成するための要点と文例を具体的に紹介します。

監修・執筆/稲垣孝章(埼玉県東松山市教育委員会教育委員、城西国際大学兼任講師)

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[実例見本]小学校児童指導要録の記入例と注意事項

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指導要録の「法的根拠」を踏まえて!

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指導要録の法的根拠を踏まえておくことは重要です。指導要録の法的根拠としては、学校教育法施行規則第24条第1項「指導要録」に次のように示されています。

校長は、その学校に在学する児童等の指導要録(学校教育法施行令第31条に規定する児童等の学習及び健康の状況を記録した書類の原本をいう。)を作成しなければならない。

また同規則第28条第1項「備付表簿」も関連するので確認しておきます。

学校において備えなければならない表簿は、概ね次の通りとする。
四 指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する表簿

指導要録の目的については、文部科学省初等中等教育局長通知(平成3.3.20文初小124号)に、次のように示されています。

児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿

このような規定等から、指導要録は法令に基づく公簿としての役割を有しています。

学習評価の「主な改善点」を踏まえて!

(1)学習指導要領を踏まえた評価の観点

各教科等の目標及び内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の資質・能力の三つの柱で整理した学習指導要領の下での指導と評価の一体化を推進します。

観点別学習状況も、これらの資質・能力に関わる三つの観点に整理し、設置者においてこれに基づく適切な観点を設定することとされました。その際、「学びに向かう力、人間性等」については「主体的に学習に取り組む態度」として観点別学習状況の評価を通じて見取ることができる部分と、この評価にはなじまず、個人内評価等を通じて見取る部分があることに留意する必要があることが明確にされました。

【評価の観点】
○「知識・技能」  ○「思考・判断・表現」  ○「主体的に学習に取り組む態度」

(2)「主体的に学習に取り組む態度」の評価

「主体的に学習に取り組む態度」では、各教科等の観点の趣旨に照らし「知識及び技能」を獲得したり「思考力、判断力、表現力等」を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組の中で、「自らの学習を調整しよう」としているかどうかを含めて評価します。

(3)評価の結果の活用

評価の結果の活用では、各教科等の学習状況を観点別にとらえ、分析的に把握することが可能な観点別学習状況の評価と、学習状況を総括的にとらえ、教育課程全体における学習状況を把握することが可能な評定の双方の特徴を踏まえつつ、指導の改善等を図ることが重要であることを明確にしています。

学習評価の「適切な実施」を目指して!

(1)組織的かつ計画的な取組

教師の勤務負担軽減を図りながら学習評価の妥当性や信頼性が高められるよう学校全体としての組織的、計画的な取組を行うことが重視されています。その際、①評価規準や評価方法を教師同士で検討し、明確化して実践事例を蓄積し共有すること②評価結果の検討等を通じて評価に関する教師の力量の向上を図ること③教務主任等を中心として学年会や教科部会等の校内組織を活用することが大切です。

(2)指導の改善に生かす取組の重視 

学習評価については、日々の授業で児童生徒の学習状況を適宜把握して指導の改善に生かすことに重点を置きます。したがって観点別学習状況の評価については、単元や題材など時間のまとまりごとに把握するなど場面を精選する必要があります。

(3)個人内評価の対象となるもの

観点別学習状況の評価になじまず個人内評価の対象となるものについては、児童生徒が学習したことの意義や価値を実感できるよう、日々の教育活動の中で児童生徒に伝えることが重要です。特に「学びに向かう力、人間性等」のうち「感性や思いやり」など一人ひとりのよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価し児童生徒に伝えることが重要です。

(4)横断的な視点で育成を目指す資質・能力 

情報活用能力や問題発見能力など教科等横断的な視点で育成を目指す資質・能力は、各教科等における「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の評価に反映することとし、各教科等の学習の文脈の中で、これらの資質・能力が横断的に育成・発揮されることが重要です。

(5)児童生徒と学習評価の方針を共有する取組

学習評価の方針を事前に児童生徒と共有する場面を必要に応じて設けることは、学習評価の妥当性や信頼性を高めるとともに、児童生徒自身の学習の見通しをもたせる上で重要です。その際、児童生徒の発達の段階等を踏まえ、適切な工夫が求められます。

「信頼される評価」を目指して!

(1)信頼される評価にする三つの視点

「客観性」教師の個人的な価値観や判断によって偏見のない「客観的な評価」にします。

「妥当性」評価の手順や方法が、目標を的確にとらえるように「妥当性のある評価」にします。

「信頼性」誰が評価しても、評価の安定性や確定性に基づいた「信頼性のある評価」にします。

「時代の変化に対応した評価」を目指して!

(1)「電子化」に係る基本的な考え方

表簿を電子化する場合には、次の事項に留意する必要があります。

①内容の「真正性」の確保のため電子署名などを活用する手法、内容の「機密性」の確保のため表簿のデータへのパスワード設定や暗号化する手法、またはそれらを組み合わせる手法などの工夫をします。

②あらかじめ学校におけるセキュリティポリシーに必要な事項を定め、教職員間で共有しておきます。

(2)「感染症や災害発生等の非常時」に関する基本的な考え方

感染症(学校保健安全法第19条による出席停止、第20条による臨時休業の対象となる感染症の予防)・災害等(学校教育法施行規則第63条に規定する非常変災その他急迫の事情)の状況に応じて学校において必要な措置を講じます。

特に、一定期間児童がやむを得ず学校に登校できない場合等には、指導計画等を踏まえた教師による学習指導と学習状況の把握を行います。この場合には、指導要録上は「欠席日数」としては記録しません。

非常時にオンラインを活用して実施した特例の授業の記録は、次の事項を別記として記載します。

児童が登校できない事由

オンラインを活用した特例の授業

【1 実施日数;オンラインを活用した特例の授業の実施日数 2 参加日数; 特例の授業の参加日数 3 実施方法; 特例の実施方法等 4 その他の学習等;その他の特記事項】

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〔別紙1〕小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等に追加する事項

「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(平成31年3月29日30文科初第1845号初等中等教育局長通知)別紙1小学校及び特別支援学校小学部の指導要録に記載する事項等中「Ⅱ 指導に関する記録」に以下を加えます。

別記 非常時にオンラインを活用して実施した特例の授業等の記録以下の事項を記入します。

(1)児童が登校できない事由

感染症や災害の発生等の児童がやむを得ず学校に登校できなかった事由を記入します。

(2)オンラインを活用した特例の授業

非常時に臨時休業又は出席停止等によりやむを得ず学校に登校できない児童について、以下の方法によるオンラインを活用した学習の指導(オンラインを活用した特例の授業)を実施したと校長が認める場合には、【1】から【3】までの事項を記入します。
・同時双方向型のオンラインを活用した学習指導
・課題の配信・提出、教師による質疑応答及び児童同士の意見交換をオンラインを活用して実施する学習指導(オンデマンド動画を併用して行う学習指導等を含む)

【1】実施日数
オンラインを活用した特例の授業の実施日数を記入します。
【2】参加日数
オンラインを活用した特例の授業への参加日数を記入します。学校の臨時休業中のオンラインを活用した特例の授業を実施している日に、家庭の事情等により学校に登校して参加する児童についても、オンラインを活用した特例の授業への参加日数として記入します。
【3】実施方法等
オンラインを活用した特例の授業の実施方法等を簡潔に記入します。

(3)その他の学習等 

必要に応じて、オンラインを活用した特例の授業以外に、非常時に臨時休業または出席停止等によりやむを得ず学校に登校できなかった児童が行った学習その他の特記事項等について記入します。

指導要録の様式及び記載内容

(1)学籍に関する記録 

「学籍に関する記録」は、学齢簿の記載に基づいて、学年当初及び異同が生じたときに、その都度記載することが原則です。保存年限は、20年です。

①「児童」の欄

児童の氏名、性別、生年月日、現住所を記入します。

②「保護者」の欄

親権をもっている者(保護者)の氏名を記入し、住所が同じ場合は「児童の欄に同じ」と略記します。

③「入学前の経歴」の欄

小学校に入学するまでの略歴(在籍した幼稚園、保育所等の名称及び在籍期間等)を記入します。

④「入学・編入学等」の欄

第1学年に入学した年月日を記入します。第1学年の中途または第2学年以上の学年に、在外教育施設や外国の学校等から編入学した場合、または就学義務の猶予・免除の事由の消滅により就学義務が発生した場合について、その年月日、学年及び事由等を記入します。

⑤「転入学」の欄

他の小学校等から転入学した児童は、転入学年月日、転入学学年、前の在籍学校名、所在地及び転入学の事由等を記入します。その際、受け入れをした月日等を記載した通知を前の在籍校に送付し、前校での指導要録のコピーに原本証明をして送付してもらい、新たに作成した指導要録と一緒に保管します。

⑥「転学・退学等」の欄 

転学する場合には、転学先の学校が受け入れた日の前日に当たる年月日、転学先の学校名、所在地、転入学年及びその事由を記入、学校を去った年月日も併記します。特に、学校を去った日と転学した学校が受け入れた日との間が空くような旅行日として扱う場合や、この両日が同日になってしまう場合などは、両校でよく確認し合うことが大切です。なお、就学義務が猶予・免除される場合または児童の居場所が1年以上不明である場合は、在学しない者として認めた年月日及びその事由等を記入します。

⑦「卒業」の欄   

校長が卒業を認定した年月日(一般的には年度末の3月31日)を記入します。

⑧「進学先」の欄  

進学先の学校名及び所在地を記入します。

⑨「学校名及び所在地」の欄

分校の場合は、本校名及び所在地を記入するとともに、分校名、所在地及び在学した学年を併記します。

⑩「校長氏名印」「学級担任者氏名印」の欄

同一年度内に校長または学級担任が替わった場合には、その都度、後任者の氏名を併記することから、最初の氏名は欄の上部に記入しておくと処理しやすくなります。 学級担任の変更は、後任者の氏名を前任者の下に併記し、在籍期間を明記(例:4月1日~7月31日)します。また、同一年度に校長または学級担任が替った場合の認印の押印は、年度末に在籍している校長及び学級担任が行います。 

⑪ その他、記入に関する配慮事項

〔記入事項の変更〕
記入事項の変更は、訂正前の記載事項が見えるように2本線を引いて削除し新しい事項を記入します。その際、誤記での訂正ではないので、訂正印は押印しません。誤記のあった場合には、2本線を引いて訂正印を押印して訂正事項を記入します。前担任者の所見等に係る誤字脱字や評定等の誤記を発見し、訂正した場合は、実際の記入者である現担任が押印します。

(2)指導に関する記録

「指導に関する記録」は、各教科の学習の記録として、観点別学習状況及び評定について記載します。保存年限は、5年です。

①「各教科の学習の記録」の欄

〔観点別学習状況〕の欄
観点別学習状況は、学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、その実現状況を観点ごとに評価し、「十分満足できる A」「おおむね満足できる B」「努力を要する C」を区別して記号により記入します。

〔評定〕の欄
評定は、「目標に準拠した評価」で、第3学年以上の各教科の学習の状況を学習指導要領に示す各教科の目標に照らして、総括的に評価(絶対評価)し、「3・2・1」の3段階の数値で記載します。

②「特別の教科 道徳(道徳科)」の欄

道徳の評価は、学習活動での児童の学習状況や道徳性に係る成長の様子を文章で端的に記述します。

③「外国語活動の記録」の欄

3年生、4年生で評価する外国語活動の記録は、評価の観点に照らして児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入する等、児童にどのような力が身に付いたかを文章で端的に記述します。

④「総合的な学習の時間の記録」の欄

3年生以上で評価する総合的な学習の時間の記録は、この時間に行った「学習活動」及び「各学校が定めた評価の観点」を記入した上で、それらの観点のうち、児童の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を文章で端的に記述します。

⑤「特別活動の記録」の欄

特別活動の記録は、各学校が定めた評価の観点を記入した上で、各活動・学校行事ごとに観点に照らして、十分満足できる状況にあると判断される場合に○印を記入します。

⑥「行動の記録」の欄

行動の記録は、各教科、道徳科、外国語活動、総合的な学習の時間、特別活動やその他学校生活全体で認められる行動について、十分満足できる状況にあると判断される場合に、○印を記入します。

⑦「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄

総合所見及び指導上参考となる諸事項の欄の記入は、生きる力の育成を目指し、児童の優れている点や長所、進歩の状況などを総合的にとらえることが大切です。ただし、児童の努力を要する点などについても、その後の指導において特に配慮を要するものがあれば記入することになります。

⑧「出欠の記録」の欄 

〔授業日数〕
児童の属する学年について授業を実施した年間の総日数を記入します。その際、学校の全部または学年の全部が臨時に休業を行った日数は授業日数に含めません。

〔出席停止・忌引等の日数〕
出席停止の日数は、感染症等による個人としての出席停止、学級閉鎖としての出席停止等を確認しておきます。忌引は、児童に係る忌引の基準がないため、教職員の規定によることが多くみられます。

(例)「死亡者」父母(7日)祖父母(3日)兄弟姉妹(3日)伯叔父母(1日)

〔備考〕
出席停止・忌引等の日数に関する事由、欠席理由、遅刻、早退等の状況の特記事項を記入します。

学年別「指導要録」記入文例

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〈小一〉
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記入文例(2)行動の記録 
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構成/浅原孝子 イラスト/terumi

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