小学四年「指導要録」記入文例
教員が児童に対して適切な指導を行うための基礎資料であるとともに、外部への証明となる公簿としても重要な役割をもつ「指導要録」。その小学四年の具体的な記入文例を 教科等観点別記入文例、「行動の記録」欄記入文例、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄記入文例 の順にたっぷり紹介します。
収録教科:国語科/社会科/算数科/理科/音楽科/図画工作科/体育科/特別の教科 道徳/外国語活動/総合的な学習の時間/特別活動
執筆/埼玉県所沢市立若松小学校校長 櫻井 誠(代表)
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 林 和子
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 佐藤祐太郎
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 馬場 平均
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 篠﨑 修人
埼玉県所沢市立伸栄小学校教諭 越後 彩美
埼玉県狭山市立入間川東小学校教諭 津村 恭平
教科等観点別記入文例
国語科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 言葉の使い方を調べたり、言葉の違いを比べたり、同じ意味の言葉を探したりする際に、辞書や辞典を活用することができた。
- 毛筆の学習では、へんとつくりの大きさの違いや、筆圧のかけ方に気を付けて、形を整えて文字を書くことができた。
- 身近で簡単な言葉を辞典で調べ、その意味を確認する活動を繰り返し行うなかで、自ら辞典で調べることができるようになった。
観点:思考・判断・表現
- 話合いの学習で、司会の担当になった際には、班の友達の意見の共通点を探しながらスムーズな進行をし、考えをまとめることができた。
- 様子や気持ちを表す言葉を効果的に使いながら、組み立てを工夫し、読み手を引き付ける物語を書くことができた。
- 相手に何を伝えたいかを明確にすることを繰り返し行うことで、少しずつ相手を意識して分かりやすい発表ができるようになってきた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 説明する文章を書く学習では、必要な情報について進んで本で調べ、分かりやすい文章にしようとしていた。
- 相手の立場を考え、話の中心を意識し、筋道立てて話すことで、相手に分かりやすく話をしようとしていた。
- 新出漢字の学習では、なぞり書きをていねいに扱い、字形や筆順に気を付けて繰り返し練習した結果、多くの漢字を覚えて文章中でも使用しようとしていた。
社会科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 県の地図を見たりインターネットを活用したりして、地形や交通網を含む特色ある地形に合わせた暮らし方について調べ、県の特徴を理解することができた。
- 郷土の発展に尽くした先人について、調べた当時の人々が行ったことを年表にまとめることで時間の経過とその順序を整理することができた。
- 暮らしの中の水の学習では、友達との話合いを通し、水がきれいになる仕組みについて、新たな気付きと理解へとつなげることができた。
観点:思考・判断・表現
- 浄水場の見学を通して、自分たちが使う水をきれいにするために働く人がいることに気付き、浄水場の方の苦労や思いについて考えることができた。
- 昔の道具と今の道具を比べ、昔の人の苦労や現代の便利さに気付くとともに、生活を発展させてきた人々の思いについて、考えをまとめることができた。
- 生産の仕事の学習では、実際に自動車工場の見学に行き、どのような順番で自動車ができるのかにポイントを絞って見学することで、その順番を新聞にまとめることができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 県の様子について、友達と地図や写真、パンフレットなどの資料を見ながら気付いたことを話し合う中で、より詳しく調べる課題を立て、主体的に調べることができた。
- 社会科見学に行って確かめたいという自分なりの課題をもって、実際に古くからの町並みが残されている地域を主体的に訪れていた。
- ゴミの学習では、実際にゴミを集め、目の前のゴミの処理の仕方を考える活動を行うことで、問題意識をもつようになった。
算数科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 億や兆のように大きな単位になっても、これまでの単位と同じように一、十、百、千の繰り返しであることに気付き、4桁ずつ区切って大きな数を読むことができた。
- 平行四辺形、台形、ひし形の辺の特徴について理解し、三角定規を使って正確な形を作図することができた。
- 四捨五入の仕方に戸惑っていたため、数直線や位取り表に数を入れるよう助言したところ、分からなくなった際には数直線をかいて四捨五入ができるようになった。
観点:思考・判断・表現
- 複合図形の面積の求め方について、タブレットを使ってスライドにまとめた解き方を複数の友達と共有し、それぞれの考えの共通点や相違点をノートにまとめることができた。
- これまでに学習した整数の仕組みを生かして、1と0.1、0.01、0.001の関係を考え、位取り表を活用しながら友達に説明することができた。
- 立体図形の学習では、向かい合った面や辺の関係を捉えることが難しかったため、実際の箱に触れながら面や辺を調べ、その関係をまとめることができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 何十、何百 ÷1位数の計算では、10や100のまとまりがいくつあると置き換えて考え、既習の除法を使えば計算できるというよさに気付くことができた。
- 身の回りにある立方体や直方体のものを探し、タブレットを使って撮った写真を友達と共有してノートにまとめ、その数の多さに改めて驚いていた。
- 四角形の仲間分けに戸惑っていたため、辺や角の関係に着目することを助言したところ、身の回りにある四角形を主体的に仲間分けする姿が見られた。
理科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 簡易検流計を正しく用いて実験し、得られた結果から乾電池のつなぎ方と電流の流れる向きや大きさとの関係を理解することができた。
- 温度計を正しく使って、天気や1日の気温の変化を調べ、折れ線グラフに分かりやすくまとめることができた。
- 星の観察に不安があったため、方位磁針や星座早見の使い方を確認し、シミュレーションソフトを用いて星の位置や色を示してから観察させたところ、スムーズに観察することができた。
観点:思考・判断・表現
- 「水のすがた」の学習では、水の温度や様子を表やグラフを使って表し、温度による水のすがたの変化についての考察を、自分の言葉でまとめることができた。
- 「地面を流れる水のゆくえ」の学習では、校庭にできた水たまりの水のゆくえについて調べる方法を、校庭の地面の様子と自分の生活経験から考え出し、実験していた。
- 金属の温まり方の予想を考えられなかったため、金属棒のイラストに温まる方向を矢印で記入させることで、熱源から順に温まるという予想を立てることができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 冬の星に関する数々の神話から星座に関心をもち、本当にそれらの星座が見られるのか確かめようと積極的に観察に取り組んだ。
- 昆虫採集や植物を観察するなど自ら進んで自然と関わり、昆虫や植物の夏の様子が春の様子と違うのかを意欲的に調べていた。
- ヒトと動物との体のつくりの違いに関する学習意欲が消極的だったため、ヒトや動物のレントゲン写真や骨格標本を提示したところ、積極的に調べ活動を行った。
音楽科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 『エーデルワイス』をリコーダーで演奏する活動では、3拍子の拍の流れにのり、友達の歌声をよく聴きながら旋律の特徴にふさわしい演奏をすることができた。
- 曲から受ける感じがリズムの変化によって変わることに気付き、その変化に合わせて明るい声で歌うことができた。
- 体全体で旋律を感じている児童を手本にすることで、楽しみながら歌おうとする態度を養うことができた。
観点:思考・判断・表現
- 音をつくったり歌に合わせて表現したりする学習では、既製の楽器や身近なもので作った楽器の音を利用し、もったイメージに合わせて奏法を工夫することができた。
- 『陽気な船長』では、スタッカートやレガートに気を付けながら、軽快なリズムでリコーダーを演奏することができた。
- 発声や発音に気を付けず、歌詞に合った歌い方をしていなかったため、歌詞の意味を確認するとともに、範唱を行うことで歌詞に合った歌い方を工夫できるようになった。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 『まきばの朝』の歌唱では、歌詞の内容と旋律、フレーズとの関わりが生み出すよさを表現しようと、呼吸や発音の仕方に気を付けて歌っていた。
- 「歌げき『魔笛』から」の鑑賞では、いろいろな歌声とオーケストラによって演奏される歌劇の魅力を感じ取りながら曲を聴くことができた。
- 『もみじ』の歌唱では、相手のパートの声を集中して聴きながら歌うように助言したところ、旋律が重なる部分をきれいに響き合う声で歌うことができた。
図画工作科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 身近なものを使って絵の具遊びを楽しむ活動では、モダンアートテクニックのコラージュやスパッタリング、スタンピングなどの技法を使って、楽しい作品を作ることができた。
- 木工作では、のこぎりやきり、金づち、釘を上手に使いながら、角材と薄い板を工夫してつなぎ、面白い動きをする作品を作り上げた。
- 誤って自分の手を金づちで打ってしまう怖さから思うように釘が打てなかったため、金づちを短く持つことを助言したところ自信をもって釘をしっかり打つことができた。
観点:思考・判断・表現
- 自然の場所を生かして楽しい遊び場をつくる活動では、雑木林の中の場所の特徴を生かし、作りたいもののイメージを友達と話し合いながら協力して楽しんで活動できた。
- 想像を豊かに広げ、自分が創り出した「へんてこ山」を舞台としたお話の絵を描く学習では、お話の内容を表現するために、描く材料や形や色などを工夫して作品を描き上げた。
- 表現したい事柄がもてなかったために、過去の作品の例をいくつか提示することで、表現方法のよさを見付け、自分の表したいイメージを少しずつもてるようになった。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 友達の作品を鑑賞する活動において、その作品のよさを見付け出すととともに、どのような技法で表現したのか質問をし、自分の表現方法に取り入れようとしていた。
- 「木々を見つめて」の学習では、実際にある木を観察したり触ったりした経験から、色づくりや混色、筆遣いなどを試しながら、イメージした木を楽しんで描くことができた。
- 「つけて、のばして、生まれる形」では、作りたい作品のイメージがわかなかったが、握る、ねじるなどの操作で作った部品から形作ることにより、進んで取り組むことができた。
体育科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 高跳びの学習では、3歩の助走のリズムを何度も練習を重ねることでコツをつかめるようになり、力強く踏み切って高く跳ぶことができた。
- 思春期に表れる体の変化について調べ、体の発達の仕方や時期には個人差があることを発表することができた。
- 跳び箱運動では、強く踏み切ることに課題があったため、サーキットトレーニングに踏切りの要素を含んだ動きを取り入れたことで、勢いよく跳ぶことができるようになった。
観点:思考・判断・表現
- ロックやサンバのリズムの特徴をつかみ、チームの仲間と様々な動きを取り入れたダンスを発表することができた。
- 小型ハードルを使った運動では、異なったインターバルのコースを使って自分に合ったインターバルを見付け、調子よくハードルを跳ぶことができた。
- 鉄棒運動で、自分の動きと逆上がりができる友達の動きを動画で比較させたところ、腕を鉄棒に引き付けるというポイントを見付け出すことができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- サッカーでは、キャプテンに立候補してチームをまとめるとともに、チームの仲間が簡単にシュートを決められるようなやさしいパスを出していた。
- 大縄大会では、縄跳びが苦手で引っかかってしまった友達に対して前向きな声かけをするとともに、他の友達を鼓舞していた。
- 勝敗にこだわりすぎてよい態度がとれなかった際、プレーのよさを認めてもらうためにも相手に尊敬の念をもつよう助言したところ、気持ちの切り替えができるようになった。
特別の教科 道徳

構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ
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