小学三年「指導要録」記入文例
教員が児童に対して適切な指導を行うための基礎資料であるとともに、外部への証明となる公簿としても重要な役割をもつ「指導要録」。その小学三年の具体的な記入文例を 教科等観点別記入文例、「行動の記録」欄記入文例、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄記入文例 の順にたっぷり紹介します。
執筆/埼玉県所沢市立若松小学校校長 櫻井 誠(代表)
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 林 和子
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 佐藤祐太郎
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 馬場 平均
埼玉県所沢市立若松小学校教諭 篠﨑 修人
埼玉県所沢市立伸栄小学校教諭 越後 彩美
埼玉県狭山市立入間川東小学校教諭 津村 恭平
教科等観点別記入文例
国語科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 物語文の読み取りや積極的な読書を通して、語句の量を増やし、文章の中で適切に使い、語彙を増やすことができた。
- ローマ字のつづり方を理解し、日常使われている簡単な単語について、正しく読んだり書いたりすることができた。
- 国語辞典を使うことに苦手意識が見られたが、好きな言葉の意味を調べる活動を通して、楽しみながら辞書を引くことができるようになってきた。
観点:思考・判断・表現
- 物語文の学習では、叙述に即して読み取りをし、登場人物の気持ちの変化を想像することができた。
- 説明文の学習では、段落ごとの内容を整理する活動を通して、筆者の説明の工夫に気付くことができた。また、それを生かして説明する文章を書くことができた。
- 感想を書くことに自信のない様子が見られたため、書き出しのヒントを与えたり、聞き取ったことを文章にして例を示したりした。少しずつ自分の文章で表現できるようになった。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 物語文の学習の際には、進んで辞書を活用し、語句の意味を調べて読み取りに生かそうとしていた。
- 毎日、少しずつ新出漢字の練習に意欲的に取り組み、文章中でも積極的に用いようとする姿が見られた。
- 読み聞かせを聞くことを通して、本に興味をもち、読書に親しもうとする姿が見られるようになった。
社会科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 地図を見比べる活動を通して、地図記号や方位記号の有用性に気付くとともに、その意味を正しく理解することができた。
- 農家の見学を通して、お茶の生産には様々な工程があり、多くの人が携わって生産されていることを理解していた。
- これまでの学習で使用した写真などの資料を再度示すことで、生産の工程を理解することができた。
観点:思考・判断・表現
- スーパーマーケットが多く利用される理由について、お店の工夫の視点から予想を立てることができた。
- 人形作りについて調べる活動を通して、職人の思いや伝統を受け継いでいくことの大切さに気付いていた。
- これまでの資料の中から、特に興味をもったことに視点をしぼることで、分かったことや考えたことについて新聞に表現することができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 地域のスーパーマーケットを見学した際には、店内の様子を細かくメモしたり、お店の人に積極的にインタビューをしたりしていた。
- 学習に関連する本を図書室で探したり、家の人に聞いたりして、警察署の役割について進んで調べていた。
- 昔の道具を見たり実際に触れたりすることで、そのつくりに関心をもち、学習を進めようとする姿が見られるようになった。
算数科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- かけ算の学習では、2~3位数╳1位数の筆算の仕方を活用して、2~3位数のかけ算の筆算を計算することができた。
- 大きい数のしくみの学習では、1万の大きさは、1000が10個集まった大きさ、100の100倍の大きさといった多面的な見方ができることに気付いた。
- そろばんを使って計算することに苦手意識があったが、玉の動かし方を一緒に確認しながら計算することで繰り上がりや繰り下がりのある計算ができるようになった。
観点:思考・判断・表現
- □を使った式の学習では、数量の関係を図や式を使って簡潔に表したり、式と図を関連付けて読み取ったりすることができた。
- 時刻と時間の求め方の学習では、時刻や時間を、図や数直線を使って求められることを説明することができた。
- 正三角形や二等辺三角形の特徴を捉える学習では、調べ方に戸惑っていたが、与えられた紙を折ったり重ねたりすることで等しい辺があることに気付き、その特徴を理解した。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 「□をつかった式」の学習では、□を使うと問題の文章の流れ通りに立式できるよさに気付き、その他の問題でも使えるか試していた。
- 自分の考え方や計算方法について、根拠をもって、友達に進んで分かりやすく説明することができた。
- 長さについての学習では量感が身に付いていなかったが、実際に巻き尺を使って様々なものの長さを測ることで少しずつ身に付いてきた。
理科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 植物の育ち方の学習では、植物を実際に育て、触れたり、においを嗅いだり、大きさを測りながら調べ、分かりやすく記録することができた。
- 鏡ではね返した日光を集める実験では、ものに日光を当てると、ものの明るさや温かさが変わることに気付くことができた。
- 身の回りのものの重さを調べる実験の際に、はかりを正しく使うことができていなかったため、一緒に使い方を確認することで正しい実験結果を記録することができた。
観点:思考・判断・表現
- 昆虫の体のつくりについて、共通点と差異点について絵と言葉を使ってノートにまとめることができた。
- 日なたと日陰の地面の温度が違う理由が太陽の位置に関係していることに気付き、その考えを発表することができた。
- 実験結果から考察をすることが苦手な様子であったため、なぜそのような結果が出たかをていねいに尋ね確認することで、整理した考えがもてるようになってきた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 磁石の仕組みに関心をもち、進んで身の回りにある磁石を使ったものを調べることができた。
- 「なぜだろう」と考えたり、実験の結果が自分の予想と同じであることに喜んだり、準備や片付けを積極的に行ったりと、意欲的に学習に取り組むことができた。
- ノートに結果や考察を記録することが苦手な様子だったため、穴埋め形式のプリントを用意することで、少しずつ記録することができるようになってきた。
音楽科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 「明るい歌声をひびかせよう」の学習では、音程やリズムに気を付けながら曲の感じを味わって歌ったり、友達の歌を聴いたりすることができた。
- 「リコーダーとなかよしになろう」の学習では、指の押さえ方や息の入れ方に気を付けながら、美しい音色で演奏することができた。
- 歌うことや演奏することに自信がもてないことがあったが、友達の歌声や演奏の音に合わせて練習するよう声をかけ、歌うことや演奏することの楽しさに気付くことができた。
観点:思考・判断・表現
- 「せんりつのとくちょうをかんじとろう」の学習では、想像力豊かに聴いたり、思いや意思をもって表現の仕方を考えたりしながら、工夫して演奏することができた。
- 「日本の音楽に親しもう」の学習では、お囃子のリズムに、独特の雰囲気や特徴を感じ取りながら聴き、日本の曲のよさを味わうことができた。
- 「いろいろな音のひびきをかんじとろう」の学習では、音を合わせることが苦手であったため、楽器の音色や音量のバランスに気を付けながら演奏できるよう支援し、合奏に取り組んだ。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 歌を歌うことが大好きで、音楽の時間以外にも習った歌について質問したり、歌を口ずさんだりして、音楽に親しんでいる様子が見られた。
- 「日本の音楽に親しもう」の学習では、お囃子や太鼓のリズムに興味をもち、学習後にも地域に伝わるお囃子や太鼓のリズムを演奏し、楽しんでいた。
- リコーダーの音が思うように出せず苦労していたが、友達と一緒に練習を行えるよう支援し、きれいな音色を出せるように取り組んだ。
図画工作科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- 絵を描くことが好きで、自分の描きたいものを、想像力を膨らませて楽しんで描いていた。場面の雰囲気や感じに合った色や形を工夫することができた。
- 粘土に色をつけ、楽しいものを作る学習では、絵の具の量や触り心地を何度も試し、自分のイメージに合った作品を作ることができた。
- 絵の具を使っての学習では、思うように描けないという苦手意識があったが、筆の使い方や水の量などを助言することで思い描いていたものを表現できるようになってきた。
観点:思考・判断・表現
- 線が作る形や色などの感じから自分の思う世界を想像して絵を描く学習では、お話を思い浮かべながら表したい場面を想像し、色の塗り方や線の組み合わせを工夫していた。
- 光を通す素材で作る学習では、光を通したときの色の美しさを感じ、出来上がりのイメージをはっきりもって、形や組み合わせを工夫していた。
- 粘土での造形活動では、粘土に触る経験が少なかったため、ちぎったり丸めたりつなげたりするよう助言したところ、少しずつ作りたいもののイメージを広げることができた。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- 金づちの使い方が上手で、ビー玉がどのようなコースを転がると面白いかを考えながら、夢中になって釘を打ち、コース作りを楽しんでいた。
- 古着などの形や色の組み合わせを工夫して生き物などを立体に表す活動では、2つの手袋を組み合わせてクモを作ろうと楽しみながら意欲的に活動した。
- 鑑賞の学習には興味が向かないこともあったが、大きな絵を見ながらお話を考える活動では、友達の発表を聞きながら自分の考えを広げようとしていた。
体育科

観点:知識・技能
※青文字は観点別学習状況Cの子供への支援
- ティーボールの学習では、相手チームが打ったボールを正確にキャッチして味方に向かって素早く返球することができた。
- マット運動では、複数の技を組み合わせて、連続技に取り組むことができた。
- 跳び箱の開脚跳びができなかったため、マットを数枚重ねた上に跳び箱を1段置いて、手をつきやすくしたり、跳び越しやすくしたりすることで開脚跳びができるようになった。
観点:思考・判断・表現
- ポートボールの学習では、2人の相手の選手の間に入って守れば、パスをカットでき失点を少なくすることができると考えることができた。
- 幅跳びの学習では、タブレットを活用して自分の踏切りの仕方や空中姿勢を確認し、どのような姿勢で跳べば、より遠くまで跳べるかを考えて練習することができた。
- ラインサッカーの学習でポジショニングに戸惑っていたため、攻撃中は味方と自分の間に相手がいない位置に移動するように助言したところ、次第に自分でよいポジショニングができるようになった。
観点:主体的に学習に取り組む態度
- ボール運動が苦手な友達に進んでアドバイスをすることができていた。また、チームが負けているときにも明るく前向きな声かけをすることができた。
- 跳び箱運動では、基本的な技ができると、発展的な技に自分から挑戦することができていた。
- 跳び箱運動に恐怖心があり苦手意識があったため、マットを増やし安心感が増すよう場を工夫したり、補助をしたりすることで少しずつ自分から練習するようになった。
特別の教科 道徳

構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ
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