「優太印」のオリジナルアプリ開発シリーズ⑧ 爆笑必至!の物語づくりで「書く力」を伸ばす!書く前に話すアプリ「おはなしコロリン」

画面に表示されたスロットを回して楽しく遊んでいるうちに、思わず爆笑してしまう荒唐無稽な物語ができあがる――。今回ご紹介するアプリは、「書く前に話す」という発想により子どもたちの「書く力」を爆笑とともに伸ばす優れモノです。有料パートまでお読みいただければ、そのまま使えるURLをプレゼント。
執筆/鈴木優太(宮城県公立小学校教諭)
目次
1 「おはなしコロリン」とは?
作文が苦手……。
けれど、子どもたちが苦手なのは、本当に「書くこと」なのでしょうか。
休み時間の子どもたちの姿を思い浮かべてみてください。とんでもなくおもしろい話を、友達に夢中で語っているではありませんか。
そんな子どもたちには、物語を転がしはじめる「最初のひと押し」が足りないだけなのです。
だからこそ、私は作りました。
「おはなしコロリン」
この独自開発アプリの初期画面で表示されるスロットを回せば。ありえない大ボラ話の、始まり、始まり。
例えば、こんな具合です。
「月が二つ出た夜、砂場の穴の中で、ピザのはいたつ員が、犬になった」
そこで次のスロットを回すと、今度は「すると」という接続詞が表示されます。
するとたちまち、子どもたちの口が動き出します。

画面に次々と登場する接続語は、なんと250種類。
「けれども」「それどころか」のような教科書に載っている言葉から、「大どんでん返しで」「話が急展開して」のような、思わず身を乗り出してしまう言葉まで。それらを浴びるように繰り返し使う経験が、そのまま子どもたちの豊かな言葉の力になっていきます。
接続語は、子どもに教えれば覚えてくれる、というものではありません。
まずは話し言葉の中で使って、笑いながらその効果を体で知るものです。話す中で「ところが」を100回使った子は、作文を書く際にも自然に「ところが」を置くようになります。
書く前に、まずは話す。それもアプリの力を借りながらアドリブでお話をつないでいくだけ。思いも寄らぬシュールな展開の連続に大爆笑必至の、「即興お話づくりアプリ」が、今回紹介する「おはなしコロリン」です。
この記事を有料パートまでお読みくださった先生には、そのままお試しいただけるこのアプリのURLをプレゼントします。
2 4つのスロットで、お話が始まる
「次へ」を押します。「いつ」のスロットがガラガラと回って、ピタリと止まります。表示された言葉は、
「無重力の朝」
もう一度「次へ」を押します。スロットが回り、今度は「どこで」(物語が始まる場所)が表示されます。
「れいぞうこの中」
続けて「だれが」「なにをした」のスロットも回していきます。
「ペンギンが、なわとびをした」
一文としてつなげると、次のようになります。
「無重力の朝、れいぞうこの中で、ペンギンが、なわとびをした」
児童A:えっ、れいぞうこの中でなわとび? ありえない!
児童B:ペンギンは寒いところが好きだから、れいぞうこなんだよ、きっと。
児童C:しかも無重力だよ。一回跳んだら、もう降りてこられないじゃん。
児童D:待って。飛べないペンギンの空を飛ぶ夢が叶うお話にもできるよね?

このたった一行のお題が、教室の子どもたちの「話したい」という心に火をつけてくれます。
「寒いところが好きだから、れいぞうこ」。「飛べないペンギンが、空を飛ぶ」。偶然並んだ言葉と言葉の間に、自分たちでペンギンの行動の理由を見つけ、つないでいます。実はこれこそが物語を生み出す力の正体なのです。スロットが回ると、子どもたちの頭も一緒にフル回転しはじめます。偶然を、なんとか必然に変えようとして――。
「いつ」「どこで」「だれが」「なにをした」の4つのカテゴリには,それぞれ250以上の項目を用意しました。学校の日常的な場面はもちろん、「1億年前」「未来の世界」という突拍子も無い設定まで。日常と非日常が偶然出会うところに,物語の種は生まれます。
一つ一つのお題は、短く具体的なものにしました。「うれしいできごと」のような抽象的なお題では、子どもたちの頭に絵がパッと浮かびません。一方、「れいぞうこの中」なら、一瞬で絵が浮かびます。浮かんだ絵の上でしか、物語は動き始めません。
表示されるすべての漢字にはルビを振りました。このアプリに表示された文字は1年生でも自分で読めて、自分の口で話せます。どの学年の担任であっても、そのままお使いいただけます。
3 接続語が、物語を転がす
ここからが、このアプリの真の実力です。
続いて「お話をつなげる!」を押すと、より大きなスロットが回り、「接続語」が表示されます。
「ところが」「まさか」「じつは」「案の定」「よく見ると」「気がつけば」「大どんでん返しで」等々……。

なぜ、ここで接続語なのか。
子どもたちのお話づくりを聞いていると、「そして」「そして」「そして」……といった具合に、同じ接続語を安易に繰り返し、場面や行動を延々つないでしまう場合が少なからずあります。そうなると出来事の羅列だけになってしまい、物語が動き始めません。
児童A:「夜になると」……冷凍庫の電気が消え、重力が復活したのです。
児童B:「謎の影が横切って」……寒いのが大好きなペンギンなのに、ゾクッと寒気を感じました。
児童C:「最高なことに」……その影の正体は、なわとび好きのシロクマだったのです。
児童D:「流れ星が落ちてきて」……再び無重力になってしまったのです。
場面が変わる。事件が起きる。仲間が現れる。謎が生まれる……。接続語は、物語を動かすハンドルです。子どもたちは次々に表示される接続語に背中を押され、展開を考えざるを得なくなります。
250の接続語の中には、厳密には接続語とは言い難い「流れ星が落ちてきて」「どっかーん!と」のような表現もあえて混ぜました。楽しみながらお話を転がしてほしいからです。
4 「オチまであと〇回」が、物語を引き締める
即興でお話をつくる際の一番の難所は、物語を終わらせることです。放っておくと、子どもたちの話は際限なく伸びていきます。そこで画面下の大きなカウンターによって、この問題を解決します。
「オチまであと 8 回」
接続詞のスロットを回すたびにこのカウントダウンの数字が一つずつ減ります。
終わりが可視化されることで、子どもたちは逆算して話をつくり始めます。

児童A:「あやしい光が光って」分かった!光で無重力になる冷蔵庫という設定にしよう!話の続きは……。
児童B:あと3回か。そろそろ、シロクマの話もまとめないと。
児童C:まだ終わりたくない! オチまで、あと2回増やさない?
児童D:だめだめ。最後の1回でビシッと決めるんだから。
ゴールが見えることで、即興が構成へと変わるのです。
残り回数は1回から30回まで、カウンターの左右にある「↓」「↑」アイコンを使っていつでも変えられます。低学年なら少なめに、高学年なら多めに設定します。
ペアやグループで操作するときは、子どもたち自身が授業の残り時間を見ながら回数を調整できます。
「増やす? 増やさない?」の相談まで含め、子どもたちに委ねてしまいましょう。
残り0になると、以下に示した画面のようにカウンターが赤く光り、ボタンが「ふりかえる」に変わります。

最後の「オチ」は、もちろん子どもたちが考えます。
児童D:「夏のおわり」……れいぞうこが開いて、ペンギンとシロクマは、南極と北極へふわ~っとなわとびで跳んでいってしまいましたとさ。おしまい!
全員:(拍手)
始まりの「無重力」と「なわとび」に、きちんと着地できました。見事なオチです。
5 ふりかえりによって、遊びを学びに変える
「ふりかえる」を押すと、下の画像のような1枚のシートが現れます。
上半分には「お話のはじまり」、下半分に「つかった接続語」を表示。
物語に登場した順に整理され、番号付きで並びます。

教師:この中でお話が一番大きく変わったのは、どこだった?
児童A:5番の「あやしい光が光って」。あそこから、冷蔵庫が無重力になっている謎が明かされていった感じだよね。
児童B:わかるわかる。7番の「どっかーん!と」で、流れ星が爆発したところは盛り上がった!
児童C:6番の「案の定」もよかった。3番で出てきたシロクマとも、ちゃんとつながったから。
教師:前に出てきたことが、後でつながってくる。これを「伏線」と言います。
児童D:伏線! かっこいい!
自分たちが何を使って、どこで話を曲げたのかを目で見て確かめる。
「おもしろかった」を「なぜおもしろかったのか」に変える時間です。「伏線」「場面の転換」「どんでん返し」。アプリを活用した遊びを通して、それらをたっぷりと体感できます。
その体験をしていれば、後に物語文を読む学習において「山場」や「伏線」に出会ったとき、すっと腑に落ちます。「書くこと」の学習と「読むこと」の学習の架け橋になると言っても過言ではありません。
そして、このシートはそのまま作文の「構成メモ」になります。お話の始まりと、使った接続語を目で追いながら、話したお話を原稿用紙に書いてみる。
多くの子どもたちがぶつかる作文の壁は、このアプリを使って話すことによって、既に越えてしまっています。あとは思い出しながら書くだけです。
6 1日のいろいろな場面で活用できます
国語科の作文や創作単元の学習で活用する際には、子どもたちが原稿用紙に向かう前に、以下のような流れで指導することを提案します。
【書く前に、話す 授業の流れ】
①グループで「おはなしコロリン」を1ラウンド遊ぶ
②ふりかえり画面で、お話の始まりと接続語を確かめる
③つくったお話を、一人一人が自分の言葉で原稿用紙に書く
「お話をつくるって、こういうことか」と体で理解してから書き出すと、鉛筆の動きはまるで違ってきます。
また、毎日の朝の会でも以下のように実践できます。日直の進行で1ラウンド。3分あれば楽しめます。
日直:おはなしコロリン、いきます!
全員:(せーの)コロリン!
日直:いつ……「髪が爆発した朝」!
日直:どこで……「校長室」!
日直:だれが……「ハムスター」!
日直:なにをした……「100点をとった」!
全員:(爆笑)
子どもたち自身の手で、活動が回っていきます。笑いながら前のめりで1日が始まります。
ペア活動と組み合わせることもおすすめです。スロットが回って接続詞が表示されるたびに、ペアで交互に続きをつくって語るのです。そうすることによって、全員が語り手になることが可能になります。
学級レクやお楽しみ会の出し物としても使えます。始まりも接続語も、全ての班で同じものに揃えて取り組みましよう。班ごとに物語の続きを考え、最後に全体で聞き合います。同じ入口、同じ道しるべから、物語がまったく違う出口にたどり着く――。その不思議さに、教室は温かな笑い声で包まれます。
全員:もう一回やりたい!
この一言が出たら、しめたものです。
このように生成AIに頼めば、お話が数秒ででき上がる時代になりました。だからこそ荒唐無稽な設定を基に、自分の頭と自分の口で動かしながら物語をつくる経験に価値があるのです。偶然出会った言葉と言葉をつなぎ、展開の理由を見つけ、できた物語を読んで仲間と笑い合う……。この営みだけは、生成AIに代わってもらうことはできません。
お話を動かす即興力は、一朝一夕では身に付きません。必要なのはほんの少しずつ、お話を転がす回路を回し続けること。そのためにすぐに始められる仕組みが、この「おはなしコロリン」なのです。

「下校時間、ミニチュアの町で、火星人が、プリンを食べた」
さて、先生の教室の子どもたちは、この続きをどう転がすでしょうか。
書く前に、まず話す。1回3分しかかからない。URLを開いて,「次へ」を押すだけ。
明日の朝から、教室が楽しい物語によって転がりはじめます。
↓↓↓ 続きの有料パートまでお読みいただけた方には、このアプリ「おはなしコロリン」がそのまま使えるURLを配布します。
参照:
鈴木優太『教室ギア55』(東洋館出版社)
鈴木優太『教室ギア56』(東洋館出版社)
鈴木優太『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)
鈴木優太『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房)
鈴木優太編『学級づくり&授業づくりスキル レク&アイスブレイク (ロケットスタートシリーズ) 』(明治図書出版)
鈴木優太編『小学6年の学級づくり&授業づくり 12か月の仕事術(ロケットスタートシリーズ) 』(明治図書出版)
鈴木優太編『どの学年でも通用する学級づくりのワザだけ集めました。 』(明治図書出版)
鈴木優太(すずき・ゆうた)先生プロフィール
宮城県公立小学校教諭。1985年生まれ。2013年より教育サークル縁太会を主宰し、アイデアに富む教育実践と学びの場づくりに定評がある。最近著に『クラス全員が「聞ける」「話せる」!ペア活動図鑑100』(学陽書房・3月31日発売予定)があり、『教室ギア55』(東洋館出版社)、『「日常アレンジ」大全』(明治図書出版)はベストセラーを記録。みんなの教育技術では5年にわたり連載を担当、現在は『「個」も「集団」も育つ 学級経営&授業アイデア』を連載中。
AI活用大特集ほか、お役立ち記事満載のムック、好評発売中です!

↓大反響!「生成AIフル活用シリーズ」、魅惑のラインアップはこちら!
⑤=AI活用 「個別コメント・システム」の作り方)
⑥「◯◯の資料どこ?」と聞くだけで、AIが秒で答えてくれる!
⑦学級開きで子どもたちの心を鷲づかみ!AI活用「オンリーワン絵本」の作り方
⑧ボタン一つで学年全員のカレンダーに予定表が届く! GAS × Googleカレンダーで「自動予定共有システム」を実現しよう
⑨AIがスピーチの腕を磨いてくれる!Gem「自己紹介お師匠」と「自己紹介応援団長」をプレゼント!
⑩NotebookLM✕Gemini活用 学習指導要領に基づく「ルーブリック」を作る方法
⑪「優太印」のオリジナルアプリ開発シリーズ① 作り直しも超簡単! 「円盤型当番表」楽々作成アプリをブレゼント!
⑫子ども同士の対話のテーマを自動出力してくれる!~独自開発アプリ「ペアトークテーマメーカー」をブレゼント
