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「先生、みんなに話したい」――性的マイノリティの子供からカミングアウトを相談されたら【教室から始める性教育~“いのち”と“多様性”を育てる授業】#14

連載
教室から始める性教育~“いのち”と“多様性”を育てる授業

今回のテーマは「『先生、みんなに話したい』――性的マイノリティの子供からカミングアウトを相談されたら」です。性的指向やジェンダーアイデンティティ(性自認)など、自分の性のあり方を学級のみんなにカミングアウトしたい――子供からそう相談されたとき、教師は何と答えればよいのでしょうか。小学校や中学校で性教育の指導に長年携わったスペシャリストである、帝京平成大学教授・郡吉範先生による連載「教室から始める性教育~“いのち”と“多様性”を育てる授業」の第14回です。この連載では、安心して実践できる基礎的・基本的なことがらやすぐに使えるヒント、ちょっと背中を押す言葉などをお届けします。具体例は、郡先生の経験や現場での実践に基づくものですので、現場でのヒントにしてください。

執筆/帝京平成大学人文社会学部教授・郡 吉範

「先生、学級のみんなに話そうと思っている」

例えば、こんな場面を考えてみましょう。特定の児童や学校の事例ではありません。
放課後、教室に残った子供が、周りを確かめてから小さな声で言いました。
「先生、学級のみんなに、自分の性のことを話そうと思っている」
教師の頭には、いくつもの言葉が浮かびます。「話してくれてありがとう」。これは言えそうです。では、その次はどうしましょう。「それはいいね。自分らしく生きよう」と背中を押すのか。それとも、「少し待ったほうがいい」と止めるのか。どちらも、急いで口にするには少々荷が重い言葉です

性に関する相談では、教師の最初の役割は結論を出すことではありません。まず、子供の気持ちを否定せずに受け止めること。そして、行動については本人と一緒に考えること。この2つを分けると、相談対応はずいぶん整理しやすくなります。

教室から始める性教育14回イラスト

受け止めるのは「気持ち」、一緒に考えるのは「行動」

ここでいう「受け止める」とは、子供が語った性のあり方や気持ちを、教師が採点しないことです。「本当にそうなの?」「思い込みではない?」と確かめようとすると、子供には、自分の性のあり方そのものを疑われたように聞こえることがあります。相談の入口で必要なのは、診断でも判定でもありません

一方で、気持ちを受け止めることと、カミングアウトという行動を直ちに勧めることは別です。一度伝わった情報は、思いどおりの範囲にとどまるとは限りません。だからこそ、教師が「よい」「だめ」を即決するのではなく、子供が自分で選べるように見通しを一緒につくります
最初の返答は、例えば、次のようになります。
「話してくれてありがとう。みんなに伝えたいと思っているんだね。すぐに答えを出さなくて大丈夫だよ。どう伝えると安心できるか、一緒に整理してみようか」
これは賛成でも反対でもありません。子供の思いを受け止めたうえで、判断の主導権を本人に返す言葉です

最初に整理したいのは「誰に・何を・どこまで」

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