「LGBT」から「LGBTQ+」へー広がる「じぶんらしさ」のカタチー【教室から始める性教育~“いのち”と“多様性”を育てる授業】#12
小学校や中学校で性教育の指導に長年携わったスペシャリストである、帝京平成大学教授・郡吉範先生による連載「教室から始める性教育~“いのち”と“多様性”を育てる授業」の第12回です。この連載では、安心して実践できる基礎的・基本的なことがらやすぐに使えるヒント、ちょっと背中を押す言葉などをお届けします。今回のテーマは「『LGBT』から『LGBTQ+』へー広がる『じぶんらしさ』のカタチー」。今回は、「Q」や「+」の意味についての話です。「LGBTQ+」という言葉には見守るまなざしが込められています。学校という場所が、子供たちにとって「どんな自分でも、ここにいていい」と思える場所であるために自分らしさの余白を大人が大切にするところから始めましょう。具体例は、郡先生の経験や現場での実践に基づくものですので、現場でのヒントにしてください。
執筆/帝京平成大学人文社会学部教授・郡 吉範

目次
「Q」や「+」は、どんな意味?
これまで、この連載では「LGBT」という言葉を中心に話をしてきました。でも最近、「LGBTQ」や「LGBTQ+」という表現を目にする機会が増えてきたと感じている方も多いのではないでしょうか。
実際、最新の冊子や公的な文書では、「Q」や「+」を含めた表記が、少しずつ主流になりつつあります。では、あらためて聞かれると少し迷ってしまうこの「Q」や「+」は、一体どんな意味があるのでしょうか。

「Q」の意味
Qには、実は2つの意味があります。
まず1つ目は、クエスチョニング(Questioning)です。これは、「自分の性自認や性的指向について、まだ決めていない」「あえて決めたくない」というスタンスを指す言葉です。思春期の子供たちの中には、「自分って男なの? 女なの?」「どんな人が好きなんだろう?」といった問いを、心の中でゆっくり考えている子がたくさんいます。その「揺れ」を、無理に答えにしなくていいし、決めつけなくてもいい。そうした姿勢を大切にする考え方が、クエスチョニングです。
もう1つの意味は、クィア(Queer)です。もともとは「変わり者」といったネガティブな意味で使われてきた言葉ですが、今では「私は私。どんな型にもはまらない」というアイデンティティとして使われることも増えてきました。ただ、学校教育の場では、「クィア」という言葉よりも、「クエスチョニング」として説明するほうが、子供たちの実感に近いかもしれません。「自分って、何者なんだろう」と悩む時期にいる子供たちの姿を思い浮かべると、この「Q」という概念は、教育現場でこそ大切にしていきたい視点だと感じます。この点については、また別の回で、改めて考えていきましょう。
