小3理科「太陽の光をしらべよう」指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

執筆/福岡県公立小学校教諭・木村 七帆子
 福岡県公立小学校教諭・茨木 康佑
監修/文部科学省教科調査官・有本 淳
 福岡県公立小学校校長・田邉 伸三
 福岡県公立小学校教頭・小松 正則

単元の目標

光を当てたときの明るさや暖かさに着目して、光の強さを変えたときの現象の違いを比較しながら、光の性質を調べる活動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などに関する技能を身に付けるとともに、主に差異点や共通点を基に、問題を見いだす力や主体的に問題を解決しようとする態度を育成することがねらいとなります。

学習指導要領では、次のことを理解するようにすることが示されています。

ア(ア)日光は直進し、集めたり反射させたりできること。

ア(イ)物に日光を当てると、物の明るさや暖かさが変わること。

子どもが問題解決の活動を通して、上のア(ア)イ(イ)を理解するように指導しましょう。また、その過程において、思考力、判断力、表現力等や学びに向かう力、人間性等を育成しましょう。

単元展開

総時数 7時間


「エネルギー」を柱とする領域である本単元は、主として量的・関係的な視点で捉えることが特徴的な視点となっています。3、4時間目の「鏡の枚数を増やした時の明るさと温度を調べる」場面などで、「量的・関係的」な見方を働かせることができるように促しましょう。

第1次 日光の進み方

安全指導①

鏡は割れやすいので落とさないように注意します。また、けがをするので割れた鏡にはさわらないようにしましょう。鏡で反射させた日光を人の顔に当てないよう事前指導をしておきましょう。

 はね返した日光で的当て(ミッションゲーム)


はじめに、子ども一人一人が鏡を持ち、太陽の光(日光)をはね返す体験活動を十分に行うことで、光の性質についての興味・関心を高めます。その後、体験活動での気付きや疑問を基にして自分たちで解決したい問題をつくり、実験によって確かめていくようにすることで、光の性質についての理解を深めましょう。

 日光の進み方

第2次 集めた日光

安全指導②

やけどをしたりこげたりするので、決められたもの以外には日光を集めないようにしましょう。また、目を傷めるので、絶対に虫眼鏡で太陽を見ないよう指導しましょう。

 鏡で光を集めると
 虫メガネで光を集めると
 たしかめ

授業の詳細

第2次 集めた日光

3・4 鏡で日光を集めると明るく暖かくなるのか調べる。

①問題を見いだす【自然事象との出合い】
導入で行った的当てを想起する。


導入で行った的当てで記録したカードを準備しましょう。体験活動で、光を重ねると光が当たっているところが明るくなったり、暖かくなったりすることに子供たちは気付いています。特に、暖かさについては、子供が手で感じている暖かさの違いを基に、「暖かくなることをはっきりさせたい」という思いを取り上げることで、温度計を使った実験へと追究がつながります。なんとなく感じていた暖かさの違い(定性)を温度計で確かめることで、温度の違い(定量)としてはっきりと認識するとともに数値化するよさも確認しておきましょう。

みんなで日光を集めたところを後から手で触ったら少し暖かかったよ。どうしてだろう?

鏡ではね返した光が一人分の時とグループみんなで集めた時とでは何か違いがあると思いますか。


かがみで光を集めると、明るさとあたたかさはどのように変わるのだろう。

②予想する

みんなで光を集めたら眩しくなったから明るくなるよ。

鏡1枚のときと比べて明るくはなるけど、暖かくはならないと思う。

みんなで光を集めた後、手で触ったら暖かかったから、きっと暖かくなるんじゃないかな。

③解決方法を考える


前単元「日なたと日かげの地面の温度」の学習を生かすことで、解決方法を立案することができるようにしましょう。


鏡を1枚、2枚、3枚と使って、はね返した光を的に集めて明るさと温度を調べる。


実験は、的をダンボールで作り、そのダンボールの溝に温度計を差し込むと、温度の上昇が速いので実験しやすいです。また、放射温度計を使えば温度計を的に差し込むことはなく表面温度を測ることができます。

④観察・実験をする


鏡の枚数を増やした時の温度と明るさを調べます。暖かさを確かめるために温度計を使うという判断で定量的な見方を働かせることができます。また、子どもは温度計の温度だけに集中してしまいがちになります。鏡1枚、2枚、3枚を使ってはね返した光が的に集まっているときの明るさも比較して観察するように声かけをすると意識づけられます。また、光を当てたあとでダンボール板を触ることで温度の違いを体感できるようにすることも大切です。

⑤結果の処理

グループで実験から分かったことを話し合いながら、鏡の枚数を変えて光を集めた時の明るさや記録していた温度を下の図のようなワークシートにまとめる。


調べたことを左図のようなワークシートにまとめましょう。温度を数字だけで表すよりも、温度計に色を塗ることで、温度の上昇や暖かさを光のエネルギー量として視覚的に捉えやすくなります。

グループでまとめた結果を出し合う。

⑥結果を基に考察する


考察は「~と予想していたが、~だった。」と自分の予想と結果を照らし合わせて考えることができるようにしましょう。グループの結果を黒板で一覧掲示することで、子供が鏡の枚数と温度を「比較して」考察できるようにしましょう。

温度は変わらないと予想をしていたけど、1枚より2枚、3枚のたくさんの鏡で光を集めると明るいし温度も高くなることが分かったよ。

鏡で光を集めるほど、明るくなり温度が上がって暖かくなるんだね。予想と同じだったよ。

⑦結論を出す


かがみでたくさん光を集めるほど、明るくあたたかくなる。

クラス全員分の鏡で日光を集めるとどうなるのか確かめてみたいです。

もっともっとたくさんの鏡で日光を集めると、水をお湯にすることもできるのではないか。やってみたいです。

ぼくの下敷きも反射して教室の天井を光らせたことがあるから、鏡以外のものでも日光を集めることができるのかやってみたいです。

その他のポイント

子供たちは日頃、日光を意識することはあまりありません。そこで、子供たち一人一人が鏡を持ち、自分の持っている鏡に日光を反射させて光を動かす体験活動が十分にできるようにするため、下のような「ミッションカード」を作成しました。「ミッションカード」には、どの子供にも体験させたい内容(日光は反射させることができること、反射した日光を重ねることができること、日光は直進すること)を取り上げ、ゲーム感覚で体験活動ができるように工夫しています。また、グループでミッションに取り組む中で、友達と話し合ったり、気付いたりしたことをワークシートに書きこんでいきます。この活動で得た自分たちの気付きや疑問から問題を見いだします。こうすることで設定された問題は、子どもにとって解決していきたくなるようにすることができると思います。

イラスト/難波孝

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