「学習評価」のための評価規準はどのように設定すればよい?【田村学流 単元づくり・授業づくり#13】

連載
田村学流「単元づくり・授業づくり」

國學院大學人間開発学部教授

田村学
「学習評価」のための評価規準はどのように設定すればよい?【田村学流 単元づくり・授業づくり#13】

この企画では、元文部科学省視学官であり、現行学習指導要領の策定にも尽力された、國學院大學・田村学教授に、「単元づくり・授業づくり」をテーマとした連載をしていただきます。

「学習評価」を行うための「評価規準」

前回、「学習評価」を行うことは、「単元づくり・授業づくり」をより豊かなものにしてくれるというお話をしました。今回はその「学習評価」を行うために、どのように評価規準を設定するのかについて、お話をしていくことにしましょう。

三つの資質・能力と三つの評価の観点が整合性をもつように整理

現行の学習指導要領では、入り口としての資質・能力の3本柱と、出口としての評価の観点の三つが整いました。これが「学習評価」を行ううえで、とても重要なポイントだと思います。

これまでの学習指導要領は、入り口も教科によって構造が異なっていましたし、出口の評価の観点も一応整えられているようには見えても、やはり教科によって異なっていました。それが現行学習指導要領では、入り口と出口が三つの柱で整えられたことと、教科によって観点に違いがあったものが3観点で整えられたという、二つの整った状況があることが、非常に重要なポイントです。そのため、評価を行う方法やシステムが、これまでに比べて全体的に整理され、統一的に進められる状況になっていると思います。

その大きな改善点を踏まえ、実際にどのように評価規準を設定していくのか、国立教育政策研究所が示している方法に沿ってご説明していきましょう。

現行学習指導要領に示された教科の目標の三つの柱は、評価の3観点の趣旨と1対1対応するように整理されています。そのため、「知識・技能」や「思考・判断・表現」については、それぞれ、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」の教科目標の文末を「~している」と書き換えれば、それぞれ、その教科の評価の観点の趣旨となるようになっています。さらに教科の内容の文末を「~している」と書き換えれば、単元の評価規準となるように整理をされています。「主体的に学習に取り組む態度」については、「学びに向かう力、人間性等」の文末を「~ようとしている」とすればよいのです(資質・能力の性質上、単元レベルの記述がない教科が多いことに注意)。

例えば小学校の国語ならば、〔第1学年及び第2学年〕の目標の⑴は、「知識及び技能」に関するもので、「日常生活に必要な国語の知識や技能を身に付けるとともに、我が国の言語文化に親しんだり理解したりすることができるようにする」となっています。この文末の部分を、「~親しんだり理解したりしている」とすれば、評価の観点としての「知識・技能」の趣旨となります。これは⑵「思考力、判断力、表現力等」を「思考・判断・表現」の趣旨に変える場合も、⑶「学びに向かう力、人間性等」を「主体的に学習に取り組む態度」の趣旨に変えていく場合も、ほぼ同様となります。

これは各単元の評価規準についても同様です。先の例と同じく、小学校の国語〔第1学年及び第2学年〕の内容、C読むことの⑴イは、「場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉えること」となっていますが、この文末を「内容の大体を捉えている」とすれば、物語文の学習をする単元での評価規準となります。

冒頭で説明をしたように、学習指導要領が育成をめざす三つの資質・能力と、三つの評価の観点が整合性をもつように整理されたため、このように非常に分かりやすくなっているのです。

内容のまとまりごとの評価規準作成のポイント(国立政策研究所資料より)

オリジナリティのある単元や授業にふさわしい評価規準を、より適切に言語化

ただし先の国立教育政策研究所が示している方法は、一般化された単元における評価規準です。そのため、学校独自の、あるいは授業をする先生独自の単元に当てはめようとすると、十分には機能しない水準の評価規準になるかもしれません。先生が自分の学校の地域や子供たちの実態に合わせ、適切な教材を使い、単元を構成した場合には、その個性あふれた、オリジナリティのある単元や授業にふさわしい評価規準が必要になるでしょう。当然、それをより適切に言語化するにはどうしたらよいかというのが現場のニーズだと思います。

それについては、国立教育政策研究所は具体的には示していませんが、学校種や学年、教科を超えて、「資質・能力」と「評価の観点」が三つに統一されたことにより、その方法論を具体的に示せるチャンスがきていると私は考えています。

その方法論については二つのポイントがあると思います。それはフォーマットと言語サンプルです。この二つのポイントが獲得できれば、先生は自らの単元にフィットする評価規準を設定することができるだろうと思います。フォーマットというのは、評価規準をつくるための文章様式で、それが手に入ったうえで、そこに入れるための言語サンプルが一定程度イメージできれば、多くの先生は評価規準を形にできることでしょう。

柔軟性をもってフレキシブルに単元や授業を進めていくことが大切

このように、ゴールの姿(や評価規準など)を描くことによって精度の高い授業になるわけですが、絶対に避けなければならないことがあります。それは、事前に描いたものが絶対的な唯一の解であると思い込むことです。これが非常に重要なポイントで、柔軟性をもってフレキシブルに単元や授業を進めていくことが大切なのです。

次に独自の評価規準作成のためのフォーマットと言語サンプルについて、具体的に詳しくご説明をしていきたいのですが、少し長くなってきましたので、それについては次回以降、お話をしていくことにしましょう。

【田村学流「単元づくり・授業づくり」】次回は7月15日公開予定です。

執筆/教育ジャーナリスト・矢ノ浦勝之

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