ベテラン教師直伝!夏の研修会200%活用術

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教師の夏休み特集:研修活用・自己研鑽・過ごし方のヒント

夏休み期間は、各地で「研修会」が目白押し。どの研修会に行き、どのように学び、どう活用すればよいのか、そのハウツーをご紹介します。お話を聞いたのは、経験豊富なベテラン教師、前千葉県公立小学校教頭 瀧澤真先生と新潟県私立小学校教諭 畠山明大先生のお二人です。

夏の研修会の予定を考える
イラスト/宇和島太郎

研修会の選び方&スケジュールの立て方

気になる研修会はまずは参加してみる

研修会名や研修内容を見て、「気になる!」「おもしろそう!」と思ったら、直感を信じて参加してみてはいかがでしょうか。迷ったら同僚や知人からおすすめの研修会を聞いたり、著名な実践家の研修会などを探したりするのもよいでしょう。(畠山先生)

若い先生にはすぐに役立つ研修会がおすすめ

若い先生は、「すぐに役立つ」実践的な研修会に参加するとよいでしょう。実際に授業を行い、そのポイントを解説してくれるもの、または模擬授業を取り入れているような研修会がおすすめです。人気の研修はすぐに満席になるので、参加・不参加の判断は早めにしましょう。また、キャンセルは運営側に迷惑をかけます。日程に無理がないか確認してから申し込みましょう。(瀧澤先生)

プライベートの楽しみとセットで計画する

例えば、東京で開催される研修会の場合は、夜においしいレストランの予約をしたり、有名なラーメン屋を食べ歩いたりするなど、プライベートの楽しみとセットで申し込みます。遠方での研修会なら、宿泊して翌日は観光にするのもよいでしょう。楽しい行事を設定すれば、その前に仕事を終わらせようというモチベーションにもつながります。(瀧澤先生)

研修会当日と振り返りのポイント

前の席に座り、素直に生徒になりきって受ける

研修会では、できるだけ前の席で受けるようにしましょう。講師のエネルギーを感じることができますし、研修に集中することができます。研修中は、内容を全て吸収するくらいの意気込みで、自分が生徒になったつもりで素直な気持ちで参加しましょう。研修の最中に批判的な気持ちが出ると学びになりません。

また、「授業公開するような学校の子どもだから優秀であり、自分の学級ではできない」といったマイナス観点で見るのもやめましょう。「どうすればこのような学級になるのか」「自分の学級との違いは何か」を考えながら参観するようにします。授業が楽しいと感じたら、なぜ楽しく感じるのか振り返ります。研修会のメモは、1冊専用のノートを決めて書き込んでいきます。講師からのアドバイスや受講内容は左ページに書き込み、右ページには研修を受けながら自分で気が付いたことや、後日に振り返って気付いたことを書き込むとよいでしょう。(瀧澤先生)

子どもと講師との会話や授業者の発言は必ずメモ

発問と子どもの発言は必ずチェック
イラスト/宇和島太郎

授業中の教師と子どもの発話は可能な限り、全てメモします。そうすることで、その授業でねらいが達成されたのかを確認できます。授業後の協議会でも、詳細なメモが役に立ち、学び多き研修会になるはずです。協議会やシェアリングタイムの前に、必ず授業を参観した際の疑問点をメモしておきます。協議会では、他の参会者や授業者の発言の中でも、自分にはなかった視点、意見を重点的にメモします。(畠山先生)

懇親会は新たな情報源 名刺を作っておくと便利

懇親会があれば、積極的に参加することをおすすめします。研修会では聞きにくいことや、個人的に質問したいことがあれば、懇親会の場で聞いてみましょう。他の参加者と交流することで、新たな研修会の情報を得たり、研修仲間ができたりするため、世界が広がっていきます。事前に名刺を作っておくとよいでしょう。(瀧澤先生)

研修会をより有効活用するために

研修を実践で生かすため授業計画を立てる

資料は教科ごとにファイリング スマホに取り込むのも◎
イラスト/宇和島太郎

研修内容は、夏休み明けにすぐに授業で使えるような形でまとめておきましょう。研修会の学びを振り返り、実際の授業で何をどう実践するか計画を立てることが重要です。例えば、「話合い」についての研修を受けたら、授業のどの場面で使うのか、簡単な授業計画を立てておきます。1回だけでなく、何度も実践できるように計画しておきましょう。資料は教科ごとにファイリングしておくようにします。資料をスキャナーで取り込み、スマホでも参照できるようにしておくと便利です。(瀧澤先生)

学びは繰り返し実践 他の先生に教えるのも有効

先日❍❍小で公開研究会に参加したのでレポートにまとめてみました いいですね!詳しく教えていただけますか?
イラスト/宇和島太郎

研修会に出ただけで満足していては意味がありません。どんなによい研修を受けても、実践しないとすぐに忘れてしまうものです。実践して手応えを感じたら、その指導が自分のものになるまで(自然とできるようになるまで)、繰り返し取り組みましょう。また学んだことを分かりやすくレポートにまとめ、人に伝える(教える)のも効果的です。(瀧澤先生)

模倣するだけではなく講師の教育観・哲学を学び生かす

参観した授業や研修会で得たネタ的なモノを自分の学級で実践すると、そのときだけは子どもたちが熱中してくれるため、「研修会に参加してよかった」と思うかもしれません。しかし、本当に重要なことは、研修会で学んだことを普段の授業に生かしていくことです。つまり、研修会の授業者や講師のベースにある教育観や、教師としての哲学のようなものを感じ取れているかどうかが重要なのです。表面的なモノを模倣するのではなく、本来は深層部分が大切なのです。

また、参観した学級と自分の学級を比較して、もしも「差」を感じ、「あのクラスの子どもたちのようにしたい」と思うことがあるならば、その差を埋めるための手立てやアプローチをたくさん考えましょう。目の前の子どもたちを大切に、自分の学級に合った方法で研修会での学びを生かし、一人ひとりの成長を求めていくことを心がけましょう。(畠山先生)

取材・文/出浦文絵

『教育技術 小三小四』2019年7/8月号より

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