研究授業の事務作業を圧倒的に効率化させるコツ

特集
研究授業特集ー指導案の書き方、モチベーションの保ち方ー

神奈川県教育委員会 神奈川県立総合教育センター 主幹兼指導主事

鈴木夏來

研究授業は、授業そのものよりも、事務作業のほうが大変だと思うことはありませんか? それはもしかしたら、指導案をはじめから細かく書きこんだり、専門用語をいちいち打鍵したり、研修報告書に余計なことを書いているせいかもしれません。長年、研究授業で苦しむ若手教師を見てきた鈴木夏來先生が、注意点を教えてくれました。

執筆/神奈川県教育委員会 神奈川県立総合教育センター 主幹兼指導主事・鈴木夏來

パソコンと校務
Unsplash

指導案は学校研究のテーマやねらいに沿って簡潔に書く

指導案の単元観や指導観は、何遍も書き直される可能性が高いものです。したがって、研究の大きな方向性が決まるまで、多くを書かないのがポイントです。指導案には、自分の主義主張を入れないようにします。また、細かく書く前に、管理職や研究推進委員長に随時見せましょう。

指導案は上書きしない。日付やナンバリングを入れて新規保存する

指導案を添削する人の思いや考えは様々。いろいろな人の思いや考えが指導案上に交錯します。それらを調整しているうちに、指導案に書いていた文言はコロコロ変わるものです。1周回って最初の形に落ち着いた、なんてことはざらです。その際、指導案を毎回上書きしていると、それまでの文言が消えてしまいます。過去の指導案の言葉が使えるということは、多々あります。タイトルに日付やナンバリングを入れるなどして、消さずに取っておくようにしましょう。

例えば、こんな感じです。

指導案のタイトル例

  • 20201107現在 指導案⑬
  • 20201108現在 指導案⑭

また、ちゃぶ台返しの可能性の高い「本時の展開(細案)」は、極力少なめに書きます。いわゆる「上の人」の方向性が決まるまで、メモや箇条書き程度にとどめるのです。はじめから詳しく書かないのが得策です。

頻出語句は辞書登録を

研究授業は、授業そのものよりも、事務作業のほうがたいへんだと思っていませんか? 実は、事務作業はICTを駆使すれば、大幅に削減できます。

おすすめなのが「辞書登録」です。

辞書登録とは、頻出語句などをパソコン上に登録しておくことを言います。

例えば、私が使用しているMicrosoft IMEの場合だと、Ctrl+F7(コントロール・キー + ファンクションキーのF7と表記されたキーを同時に押す、あるいは辞書ソフトを右クリックで辞書登録が可能です。(Windows10バージョン1909まで有効です。20H1以降では使えません。IMEツールバーで「単語の追加」を選んで行います)

右クリックをして…
「単語の登録」(Windows 10バージョン20H1以降では「単語の追加」)で同じことができる。

たとえば、校内研究のテーマが、「コミュニケーション能力の育成を目指して ~対話的学びの可能性を探る~」だったとしましょう。

これを毎回、キーボードで打鍵するのはたいへんです。

この場合、この校内研究テーマ「コミュニケーション能力の育成を目指して ~対話的学びの可能性を探る~」を範囲指定して、Ctrl+F7をします(下図参照)。

単語登録のやり方
※Microsoft IMEの例

テーマの「て」や、「てーま」、もっと短ければ「t」を、読み方(よみ)として辞書登録しておけば、次回からは「よみ」で登録した言葉を打つだけで表示させることができるようになります。

辞書登録は新学習指導要領の電子媒体を使うべし

新学習指導要領及びその解説には、次のような語句があふれかえっています。

「主体的・対話的で深い学び」
「中央教育審議会答申」
「カリキュラム・マネジメント」
「思考力,判断力,表現力等」……

これらの頻出語句をいちいち打鍵するのは、時間の無駄です。

打鍵していると、「点は、中黒(・)か読点(、)か、カンマ(,)か?」といったことで迷ったりミスしたりします。これらはチェックするのも、直すのも大変ですよね。

しかし、いったん辞書登録しておけば、少ない打鍵数で、ミスなく入力できます。

辞書登録は、紙媒体の冊子からではなく、電子媒体をコピー・アンド・ペーストして行いましょう。文科省ホームページから電子媒体を手に入れることができます。そして、頻出語句を範囲指定して、辞書登録を進めていきます。

学校要覧や研究集録の電子媒体から重要語句を辞書登録

同じく、学校要覧や研究集録の重要語句について、辞書登録を進めましょう。学校のサーバ等に電子媒体があるはずです。これを用いて、辞書登録をしましょう。

・学校の教育目標
・学校の住所、郵便番号、電話番号 等
・今年度の校内研究のテーマ
・昨年度の校内研究のテーマ

これらは、何度も使用するはずです。長文であるほどミスも多くなります。こんなところでミスをしたり、それを直したりするのは本当に時間の無駄です。いちいち打鍵せず、辞書登録をするのです。

報告書や指導案は「書類」としての価値に重きが置かれる

初任研や○年経験者研修でも、研究授業をすることがあるかと思います。こちらも、個人研究を熱く披露する場ではありません。自分で研究テーマを設定し、研究授業を行う場合であっても同様。学校の教育目標や校内研究テーマに即して行いましょう。

【関連記事】研究授業でモヤモヤしている先生は、鈴木夏來先生のこちらの記事も必読! →若手教師よ、研究授業で戦うな

報告書や指導案を書く場合には、経験者研修を直近で行った、先輩の報告書や指導案を参考にするのがいちばんです。

研修報告書や指導案は、「書類」としての価値が強く、内容よりも誤字脱字や体裁等に重きが置かれるケースがあることも知っておきましょう。

不平不満等は、たとえあったとしてもここには書きません。叱られ、直され、二度手間となるだけです。それよりも、誤字脱字がないか、ワープロソフトの校閲機能等を活用してチェックしましょう。日時・曜日の確認は入念に。

また、多くを書く必要はありません。多く書くほど、チェックの手間が増え、修正箇所も多くなります。ここは、わりきってしまいましょう!

鈴木夏來先生

神奈川県立総合教育センター主幹兼指導主事・ 鈴木夏來(すずき・なつる)
1974 年生まれ。公立小学校教諭、三浦市教育委員会教育研究所指導主事、学校教育課主幹(指導主事)を経て、現職。モジュール学習やカード・カルタによる自主学習、ICT教育、ユニバーサルデザインなどを得意分野とする。趣味はオリジナル教材の開発。著書に『安心と安全を創る 教室インフラ』(中村堂)、『子どもの表現力を引き出す「想像画」指導のコツ』(ナツメ社) がある。

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