• 勉強マーク小学館ロゴ
  • facebookアイコン
  • twitterアイコン

学習指導案のその表記、ちょっと待って……

2019/4/23

学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、教育現場で見て気になったことについて、ズバリと切り込みます。

文・稲垣孝章(元・埼玉県東松山市立公立小学校校長)

イラスト/熊アート

学習指導案で「~させる」は使役的な意味に捉えられる

かつて、指導担当学校訪問で多くの授業を参観していました。

その際、各校から事前に提出された学習指導案を拝見しますが、ある地域のA校とB校とで、学習指導案上の表記にちょっとした違いがみられることに気づきました。

しかし、このちょっとした違いは、とても重要な視点の差を含んでいたのです。

それは、「指導上の留意点」の項目欄に記載される文章表記でした。

A校は「大きな声で発表させる」、B校は「大きな声で発表できるように、事前に自分の考えをまとめておくようにする」という表記です。

A校のような「~させる」という表記は、教師による使役的な意味合いが強く、具体的にどのような指導の手立てを講じるかが見えにくくなりがちです。

一方、B校のような「~できるように…する」という表記にすると、子どもを支える視点に立つとともに、どのように具体的な指導の手立てを講じるかということが、構想しやすくなるのです。

評価の表記で「~について理解できたか」は評価となりえない

ある5年次教員研修会で拝見した学習指導案の「指導上の留意点」の欄に、「評価」と表記されていました。また、その具体的な評価の記述欄には、「~ について理解できたか」と記されていました。この学習指導案の評価欄を見た時、ここには次の二つの課題があるように思われました。

1.「評価」という標題は、評価の何を記載する項目として取り上げたのかが明確ではありません。例えば、評価規準(質的判断)、評価基準(量的判断)、評価の観点(見取りの視点)、評価の方法(見取りの手立て)等について明確な標題にすると、次のように具体的な評価の記述もしやすくなります。

2.「~について理解できたか」という表記では、何をどの程度理解できればよいのかという指導を見取るための評価とはなり得ません。またこの記載では、できたかどうかを判断するための評価基準(量的判断)も必要となります。例えば、評価規準【評価の観点:評価方法】との標題にすると、次のような表記となります。「~が理解できる」【知識・理解:練習問題のプリント】としたり、「~について考えている」【思考・判断・表現:教師の“観察】としたりする 表記となり、具体的な評価についての記述となります。

教育指導に「仮説」は必要?

各学校の研究のまとめとして作成する研究紀要や、研究協議会等でのレポートの中に、「研究仮説」という項立てがなされているものをよく見かけます。

自然科学系の論文・レポートであれば、仮説を立てて実験考察するというプロセスは常識ですが、教育の場でこの項立てに違和感を感じる人もいるようです。

そこで問題です。

(問)
あなたは、「研究仮説」の表記は、必要と考えますか。不要と考えますか。また、それはなぜですか。

学校における研究の「仮説」という表記に違和感を感じるのは、「仮説」という言葉には、科学で扱う「実験」や「検証」という言葉が伴い、「定説」を導くといった意味合いがあるからでしょう。研究の対象が子どもである以上、「~であれば~であろう」と言った「仮説」としての表現ではなく、例えば研究の「視点(ポイント)」や「手立て」等の表題とし「~の力の育成を目指したい」等とする方が自然なのだと思います。


『小一~小六教育技術』2014年4月号~2016年2/3月号連載「正襟危座--伝えたい--耳に痛いかもしれないけれど、教室で大切な基礎基本」より

関連する記事

授業記事一覧

【構造的板書】 国語「古文を声に出して読んでみよう」 「日常を十七音で」

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は、小五の国語の「古文を声に出して読んでみよう」「日常を十七音で」を…

ゲーム要素を取り入れた九九アイディア指導【前編】

二学期から九九の単元が始まります。全員が九九をすらすら言えるようにするには、子供たちの「九九を覚えたい」という気持ちを引き出すのが近道です。ゲーム要素を取りいれ…

2019/9/19

【先生のための学校】「音読」でクラスをつくる

今回は、 14回も二年生を担任し一年生で難儀になったクラスの立て直しを何度も実現された、「先生のための学校」に所属される、ある講師の先生のお話を紹介しましょう…

【指導計画】6年理科 土地のつくりと変化①

地面の下の様子を想像して絵や言葉で表現したり、ボーリング資料や崖の写真を見るなどして気づいたことを話し合ったり調べたりする活動を通して、土地のつくりや変化につい…

2019/9/17

子どもたちを変える!魔法の音読指導

日々の音読がいつの間にか惰性化し、易きに流れていませんか? 身体を使って音読する「あいうえ音読」などの実践で知られる佐藤隆史先生の音読指導を手本にすれば、子ども…

【指導計画】1年算数 「3つの かずの けいさん」

数量の関係に着目し、挿絵と半具体物などを関連付けて考える活動を通して、3つの数の加法の式の意味を理解し、その計算をすることができるようにします。

2019/9/15

【教育技術小五小六10月号特典】「外国語の授業レポート」動画(本誌連動企画)

『教育技術 小五小六』10月号本誌に掲載されている「外国語の授業レポート」特集と合わせて視聴するための授業動画です。本誌記事中に掲載されているパスワードを入力し…

【指導計画】5年国語 日本の文化を考えよう

【教材名】「古典」を楽しむ(教育出版 五年下)の授業アイディアです。本単元では、「好きな古典作品を読んで感想をまとめる」言語活動を行います。感想には、「あらすじ…

2019/9/14

【教科調査官に聞く】国語科の新学習指導要領-改訂ポイントと授業改善の視点

小学校学習指導要領の改訂にあたり、国語科における授業改善の重要な点を、文部科学省・菊池英慈教科調査官にうかがいました。

【小六道徳】「ここを走れば」授業展開と板書

「考え、議論する道徳」を実践するために、板書に力を入れているのが愛知県西尾市立横須賀小学校。この小学校で行われた小六の道徳「ここを走れば」の授業展開と板書の工夫…

もっと見る