教材研究のノートのつくりかた

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教材研究、あなたはどのようにしていますか?「ノートに書きながら試行錯誤している行為こそが教材研究」と考え、「書くことは考えること」と子供にも教えているという谷口大樹先生が、実際に書いた教材研究ノートを例に書き方を教えてくれました。必要なのはペンとノートだけ! ぜひ参考にしてみてください。

執筆/東京都公立小学校教教諭・谷口大樹

ノートにメモをとるところ
写真AC

1、学習内容を分類する

まず、私の場合は、教材を見て内容をおおまかにつかみます。
国語の教科書の場合、大まかに5つに分類されています。

  1. 物語文
  2. 説明文
  3. 書く
  4. 話す・聞く
  5. 言語事項

これから学習する単元がどの分類に入るのか分かれば、授業の方針と見通しをもつことができます。下の写真の教材研究は4年生の国語「白いぼうし」なので、物語文に分類します。

 【資料写真1】国語「白いぼうし」の教材研究ノート
【資料写真1】国語「白いぼうし」の教材研究ノート
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2、思いつくままに指導の流れを書き出す

教材文を読んだ後、思いつくままに指導の流れを書き出します。発問・指示・学習活動などいろいろ出てくると思いますが、順番や分類など気にしなくて大丈夫です。ここでの目的は「知っていることを書き出す」ことだからです。私の場合、物語文の指導は以下の流れをとることが多いです。

音読 → 設定の確認(時、場、人)→ 場面毎のあらすじ → クライマックス → 主題

こういったことをまず書き出します。

若い先生は経験が少ないので、このような流れを思いつかないこともあると思います。私も当初はそうでしたし、今もスムーズに思い浮かばないこともあります。その時は教科書を参考にするといいです。教材文の後のページにはたいてい学習のための「手引き」が書かれています(出版社によって名前は違います)。これを参考にして書き出してみてください。

3、先行実践の発問・指導を「視写」する

定番の教材であれば、たくさんの先行実践の情報があると思います。私の場合、書籍、教育雑誌、インターネット、参加したセミナー資料などを参考にしています。ここでの注意はコピーしたり、印刷したりするだけで満足しないことです。これは情報として持っているだけで教材研究にはなりません。自分で咀嚼するプロセスが必要になります。

具体的には、発問・指導を「視写」すると良いです。

先行実践を見て、「面白いな」「これは盛り上がりそうだな」と思ったことをノートに書き写します。例えば、白いぼうしの実践で言えば、私はインターネットで調べていて「出てくる色を書きなさい」という指示が面白いと思ったので書き写しました。

経験値の少ない教師にとって、先行の実践家の発問は珠玉の研究材料です。しかし、集めすぎると無限に時間がかかり途方に暮れてしまいます。研究授業なら徹底的に調べることもあると思いますが、「情報の集め過ぎ」は禁物です。

4、自分のアイデアを書く

2や3でノートに書いているうちに、いろいろなアイデアが浮かぶことがあります。発問、学習活動、板書計画、ノートの計画などです。思いついたことはすべて書いておきます。

資料写真1のノートを見ると「黒板に貼るといいかな」と思いついた掲示(白いぼうしともんしろちょう)をノートに落書きしています。

ノートに端がき

またノートに意見を書かせる活動を考えているうちに、「子供に書き方を教えないと難しいだろうな」と思い、意見文の型を書き出しています。手を動かして頭を働かせているからこそいいアイデアが浮かんできます。

5、使うものと使わないものを整理する

発問や学習活動の中で使うもの、使わないものを整理します。

基準は「単元の指導事項に合っているか?」です。

これは教材文の後ろの「手引き」を見るとわかります。

例えば、【資料写真1】のノートを見ると「松井さんはどんな人柄か?」という発問が書かれています。これは採用することにしました。「手引き」を見ると「登場人物についてどのように感じたか」を書く活動があったからです。つまり、「松井さんはどんな人柄か?」という発問は単元の指導事項に合っていると判断できます。

次に、ノートの右上の方に「どこで不思議な世界に入ったのか?」という発問にバツ印をつけています。この発問は思いついたものの、結局「使わない」と判断しました。教科書の「手引き」を見て、指導事項に合っていないと考えたからです。

6、赤ペンで順序を付けてwordでデータ化

ノートに考えを書き出し、整理をしました。しかし、このままでは何がどこに書いてあるかがわかりにくいので番号をつけます。下の資料写真2のノートでは赤ペンで数字を書いています。この後、もう一度ノートに書き直してもよいのですが、私の場合ワードなどで打ち込むことが多いです。その理由は以下です。

  • データ化することで自分の財産にするため。
  • 印刷したものを同僚に渡しやすいため。
  • 単元の全体像がわかり、見通しを持って授業をしやすくなるため。

研究授業であれば、指示・発問・説明などの細案を書きますが、通常の授業ではそこまでしません。どの発問・学習活動を何時間目にやるのかがわかれば十分だと思っています。

【資料写真2】社会「わたしたちの暮らしと水」の教材研究ノート
【資料写真2】社会「わたしたちの暮らしと水」の教材研究ノート
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使う道具について

B5サイズのノート
私が使っているのは、B5サイズのノートです。A4は大きくて使いやすいのですが、携帯性を重視してB5にしています。また、B5の方がA4よりも早くノートが終わるので達成感もでます。

消せるボールペン
消せるボールペンを使っています。色はブルーブラックです。寒色だと集中しやすく考える活動に向いています。太さはしっかり書ける0.7mmがオススメです。誤字脱字が多いとノートが汚くなり、きれいに書くモチベーションも落ちます。よって消せるボールペンがいいのです。

鉛筆はあまりオススメしません。下敷きがないと裏写りして汚くなってしまうからです。また、同じ太さの字で書き続けることができないからです。ペンはクリップでノートに挟んでおくとしおり代わりになり、思いついた時にすぐ書き始められます。

教材研究のノート
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見開き2ページ単位で書く
見開き2ページで1テーマが基本です。ひと目で全体像がわかるといろいろとアイデアが浮かびやすいですし、見返しやすいです。何を書いたページかわかるように、日付とテーマは必ず書いておきます。

教材研究専用ノートを作る
私は教材研究用のノートを作っています。このノートにはすべての教科の教材研究を書いています。教科毎に分けることもありますが、常に何冊も持ち歩くのが大変なので基本的にまとめています。

仕事用のノートと教材研究ノートを一緒にすることもあったのですが、今は分けています。ノートの途中で校務のことが書かれていたり、タスクのことが書かれたりしていると、どちらの内容も分散されてしまい、わかりづらくなってしまうことがあったので、やめました。

参考書籍

「仕事の成果を何倍にも高める教師のノート術」
黎明書房 著者:大前暁政
著名な実践家である大前先生が書いた本なので非常に具体的で参考になります。私はこのノート術を基盤にしています。

「情報は1冊のノートにまとめなさい」
ダイヤモンド社  著者: 奥野 宣之
忙しい中で多様な情報を扱う教師は何をどこのノートに書くかを考えている暇はありません。余計な判断に頭を使うことも避けたいです。また分散するとどこに書いたか忘れるリスクもあります。よって、「1冊のノートにまとめる」という方法に基本的に賛成です。

しかし、前述の通り、教師の仕事柄「すべてを一冊にまとめる」のはやはり無理があり、多少用途によってノートを使い分ける必要はあると考えています。


いかがでしたか?
ノート術に関する本は世の中にたくさんありますが、教師向け、自分向けにアレンジして、ベストな形にブラッシュアップして行きたいですね!

谷口大樹(たにぐち・だいき)●N T Tコミュニケーションズに9年勤務後、転職し、現在教職6年目。前職で学んだ思考術や仕事術を生かした教師の働き方、「わかる、できる」ということにこだわった授業づくりなどを、ツイッター@Tamagoyaki_1324などで発信している。

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