学校の組織図、見たことある? 校務分掌・職員会議~シリーズ「実践教育法規」~

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田中博之

教育に関する法令や制度に詳しい早稲田大学教職大学院・田中博之教授監修のもと、教育にまつわる法律や制度を分かりやすく解説していく本連載。第11回は「校務分掌・職員会議」について。「職員会議」が法規で規定されていること、知っていましたか?

職員会議のイラスト

執筆/蛯谷 みさ(大阪体育大学教育学部教授)
監修/田中 博之(早稲田大学教職大学院教授)

【連載】実践教育法規#11

校務分掌

校務とは、学校教育を実施する上で必要となるすべての業務を指します。学校の教育活動に関する事項はもとより、施設設備の管理や人的管理を含む事務、外部関係機関との連絡調整など広範囲に及びます。これらの校務を分担する体制を校務分掌といいます。

「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」(学校教育法第37条第4項)ということから、法令上校務掌理権は校長にあり、所属教職員が校務分掌による活動を校長に代わって行うものとなっています。校長の職務を補助し執行するために校務を構造化し、個々の業務内容を示したものが校務分掌組織図です。

文部科学省「学校における働き方改革特別部会(第6回)配布資料 資料5-2」(2017年10月20日)に、学校の組織図の例が示されています。

また、学校教育法施行規則第43条に「小学校においては、調和のとれた学校運営が行われるためにふさわしい校務分掌の仕組みを整えるものとする」とあります。これは、中学校、特別支援学校等についても同様です(学校教育法施行規則第79条、135条)。したがって校務分掌は、学校の現状に応じて改善が求められます。最近では、新たにGIGA担当や特別支援のためのサポートルーム担当等の必要性が高まっているといえるでしょう。

さらに、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第21条には、教育委員会が職務権限として管理し、及び執行するものの5号に「教育委員会の所管に属する学校の組織編制、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること」とあります。そのため、校長は校務分掌組織を教育委員会に報告する義務があります。

校務分掌の適切な整備

学校教育目標の達成に向けて、学校の教育活動が円滑かつ効果的に行われるためには、校務分掌の適切な整備が重要です。校務分掌組織の決定については、次の点に配慮を要します。

①学校の課題や教育目標、教職員の構成、児童生徒の実態等に応じて、絶えず改善を図っていく。

②組織的で効率的な学校運営が行われるよう、校務分掌組織はスクラップ・アンド・ビルドの考え方で整理・合理化し、会議のスリム化や校務の情報化を図る。

③校務分掌組織はその内部の部署間の緊密な関連をもたせ、機能的に配置し、各部署の役割分担と責任を明確にする。

④校務分掌は、全教職員について総合的に計画し、適材適所の配置を工夫する。

⑤同一分掌の期間についても配慮し、熟練者と経験不足者をペアにするなどの工夫をし、転勤等による組織の弱体化を防ぐ。

⑥地域、保護者との連携の推進や情報公開、情報発信の重要性の高まりを踏まえ、渉外業務の明確な位置づけにも留意する。

職員会議は校長の補助機関

職員会議は、教職員が協力して学校の教育活動を展開するため、学校運営に関する校長の方針やさまざまな教育課題への対応策についての意見交換、及び学校外の組織からの指導・通達・依頼等に関する連絡調整、学習指導・生活指導等について、担当する学年・学級・教科を超えて協議する等、教職員間の意思疎通を図る上で重要な意義を有するものです。

2000年の学校教育法施行規則の改正により、職員会議は、学校の管理運営に関する校長の権限と責任を前提として校長が主宰し、その職務の円滑な執行を補助する機関として位置づけられました。

職員会議の規定

2014年文部科学省通知「校内人事の決定及び職員会議に係る学校内の規程等の状況について」では、職員会議において校長の権限を実質的に制約したり、本来校長が自らの権限と責任において決定すべき事項について教職員が挙手や投票等の方法により決定したり、校長以外の職員を議長とし当該議長が職員会議を主宰したりすることは、法令等の趣旨に反し不適切であるという見解が示されました。

『実践教育法規 2023年度版』に加筆・修正

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