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水泳学習を始める前に確認したい、水の事故が起こる最大の原因とは? ~実技が苦手な先生こそ! アタマで分かる体育指導③~

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実技が苦手な先生こそ! アタマで分かる体育指導
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国立学園小学校教諭

河田侃也


執筆/国立学園小学校教諭・河田侃也


水遊びや水泳運動の授業をすすめる際には、何より「安全に」ということが大切です。今回は、この「安全」であることを、過去の事故事例などを参考にしながら一層深掘りしていきたいと思います。具体的にどのような事故が起きているかご存じでしょうか。このような事故が起きぬよう、これまでの事例からも確認していきましょう。

(前回までの記事はこちら)
水泳の指導で、最優先なのは「もぐる」こと??~水泳運動の考え方①~
水泳学習を始める前に確認したい「水遊びや水泳運動の心得」とは?

特に気をつけたいノーパニック症候群

プールでの過去の重大事例を振り返ると、以下のような命に関わる痛ましい事故が発生しています。

  • 1,循環口への吸い込み事故
  • 2,浮島(大型ビート板)使用時の事故
  • 3,水泳指導中に急変した事故(※ノーパニック症候群)

1は、平成11年、公立小学校の夏季休業中の水泳指導において、5年生の女子児童が循環口にでん部を吸い込まれ、自力で外すことができずに溺死した、という事故です。

2は、平成12年、公立小学校において水泳授業の自由遊びの中、1年生の女子児童が、浮島と呼ばれる遊具の下で浮上することができなくなり、意識不明となった後、入院先で死亡した事故です。

1と2は、環境的・外的な要因で起こった事例ですが、3は、児童の身体の中で起こる異変によって引き起こされる事故ですので、慎重に慎重を重ねて注意しておきましょう。
最も多い原因はノーパニック症候群で、水泳で長時間息を止めるために、過呼吸をすることで引き起こされます。
潜水時間を延ばす目的や緊張から深呼吸を繰り返すと、血液中の二酸化炭素が低下します。この状態になると、血液が高度な酸素不足に陥っていても息苦しさを感じず、脳が危険を察知できないまま突然意識を失ってしまうのです。
この他にも、 急激な温度変化によって、自律神経が強く刺激され、反射的に心停止してしまう場合や、不整脈や脳血管障害など、もともと持っていた健康的リスクが心肺停止を引き起こす場合もあります。

恐ろしいのは、子どもがもがくことなく静かに水底へ沈んでしまうため、発見と対処が遅れる可能性が高いことです。

またプールには、日常的に以下のようなけがのリスクが潜んでいます。

  • プールサイドで転倒し、歯を破折・脱臼した。
  • プールに飛び込んだ際、水深が足りず底に頭部を強打した。

このような事故を未然に防ぐためには、単なる注意喚起に留まらず、学校組織全体での事前の準備と体制構築が必要です。私は日頃の指導において、特に以下の4つの柱を意識しています。

安全な水泳指導を支える4つの柱

① 救急体制の確立

万が一の事態に備え、生命を学校体制(教職員の連携)で守るシミュレーションを行う。

② 緊急時用設備・用具の把握と迅速な行動

AEDや救命用具の「何が」「どこにあるか」を全員が把握し、直ちに動かせる状態にする。

③ 水泳カードなどの確実な活用

当日の児童の健康状態、睡眠時間、爪の長さなどを確実に把握する。

④ 指導前の施設・設備・環境の徹底的な確認

安全に指導ができるよう、プール内や周辺の安全点検を行う。特に「環境の確認」においては、補助員として働いてくれている方とも連携し、プール内の清掃や異物除去を徹底して依頼することで、水の中での不意のけがを大きく減らすことができます。なお、管理責任は授業者(教員)にあるため、ヘアピンなどの小さな落下物の有無や、循環口の蓋のボルトが緩んでいないかなどの最終チェックは必ず教員自身の目で確認することが鉄則です。


執筆
河田侃也(かわた なおや)

・国立学園小学校教諭
・令和4年度東京教師道場部員
・令和6年度第14期NPO健康・体育活性化センター小学校体育研究員
・令和7年度東京都小学校生活科・総合的な学習の時間教育研究会研究員

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