通級指導教室の凸凹な日々。♯33 学校に集約された情報を、どうつなぎ、どう分析するか?

元通級指導教室担当・高田保則先生が、困っている子どもたちに寄り添う視点から、現在の教育の様々な課題について発信する連載。一度学校現場の外に出たからこそ見えてくる、現場にとって有益なヒントがいっぱいです。今回は学校に大量に蓄積されている様々なデータの分析・活用についての課題を提起します。
執筆/「学び方相談室」代表(元・北海道公立小学校通級指導教室担当)・高田保則
目次
はじめに
北海道オホーツク地方の小学校で、通級指導教室を担当していた高田保則(たかだやすのり)です。日々、子どもたちと向き合う中で感じたことや考えたことを綴っています。ここに記す事例は、これまでに出会った子どもたちのエピソードを組み合わせて作った架空のお話ですが、実際に過ごした時間の空気感を込めています。
先日、とある小学校の学校便りを拝見する機会がありました。そこには、「主体的・対話的な学びができる子どもを育てるために授業改善に力を入れている」という趣旨のことが書かれていました。
一方で、全国学力・学習状況調査の結果も紹介され、漢字や計算の家庭学習が勧められていました。漢字や計算を練習すること自体が悪いとは思いません。基礎的な技能を身につけることは大切です。
でも、私は少し引っ掛かりました。主体的・対話的な学びと漢字や計算の練習が結びつかなかったのです。
「この学校の子どもたちに、今必要なのは、どんな学びなのだろう?」
全国学力・学習状況調査をはじめ、学校には子どもたちを理解するためのデータがたくさんあります。学校によっては、業者の学力テストや、Q-Uなど学級での子どもの状態を把握するツールも活用されています。
ところが私は現職の頃から、ずっと歯がゆさを感じていました。
学校に、子どものデータはたくさんあります。でも、それらをつないで「どうしてだろう?」と考えるところまで、十分にできていただろうかと思うのです。
今回は、以前担当した一人の子どもの姿から、このことを考えてみたいと思います。
1.「学校に行きたくない」の中身
私の通級指導教室に通っていた小学3年のRさんに、登校を渋る様子が見られるようになりました。欠席や遅刻が少しずつ目立つようになり、朝になると「学校に行きたくない」と訴えることもありました。
「どうしたら学校に来られるだろう」
登校渋りを見ると、私たちはつい、登校するための手立てを考えます。朝の声かけをどうするか。保護者にどう協力してもらうか。別室なら来られるか。
でも私は、Rさんの様子を見て、その前段が気になりました。
「Rさんは、どうして学校に行きたくなくなったんだろう?」
