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通級指導教室の凸凹な日々。♯29 中学受験生への「伴走」はどうあるべきか?

連載
通級指導教室の凸凹な日々。 presented by 高田保則先生
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元・北海道公立小学校教諭

高田保則
連載「通級指導教室の凸凹な日々。」バナー

元通級指導教室担当・高田保則先生が、困っている子どもたちに寄り添う視点から、現在の教育の様々な課題について発信する連載。学校現場の外に出たからこそ見えてくる、現場にとって有益なヒントがいっぱいです。

執筆/「学び方相談室」代表(元北海道公立小学校通級指導教室担当)・高田保則

はじめに

北海道オホーツク地方の小学校で、通級指導教室を担当していた高田保則(たかだやすのり)です。日々、子どもたちと向き合う中で感じたことや考えたことを綴っています。ここに記す事例は、これまでに出会った子どもたちのエピソードを組み合わせて作った架空のお話ですが、実際に過ごした時間の空気感を込めています。

学習支援のオンラインサービス「学び方相談室」を始めてから、子育て中の保護者の方々が集まるXを巡回するようになりました。保護者の投稿を読んでいると、「中受」という言葉が頻繁に使われていることに気付きました。中学受験の略語です。

首都圏では、小学6年生のおよそ5人に1人が中学受験に挑戦しています。北海道の地方で教員生活を送ってきた私にとって、それは、私がこれまでほとんど触れることのなかった教育の世界でした。

「中受」の受験生の保護者の方は、「自走」とか、「伴走」という言葉を頻繁に使って、投稿やリプライ(返信)を通して情報交換をしています。「自走」とは、子どもが自ら受験勉強を進められる状態を指して使われています。「伴走」とは、保護者が子どもの学習を支え、見守ることを指して使われています。

今回は中学受験というテーマで、感じたことや考えたことを綴っていきたいと思います。中学受験とは無縁な田舎暮らしの退職教員だからこそ、見えてくる景色があると思うのです。

なお、紹介する事例は、いくつかの投稿を組み合わせた架空のものです

1.Xから見えてきた中受の世界

我が子が中学受験を控える保護者は、Xに様々なつぶやきを投稿しています。何人かの架空の事例を紹介します。

事例1:限界ワーママの投稿

【アカウントの概要】

6年(男子)& 3歳(女子)の母 / フルタイム勤務(時短なし)/ ワンオペ傾向
【投稿テキスト】

もう無理、体がひとつじゃ足りない。

今日の流れ:
18:30 限界で退勤
19:00 下の子保育園お迎え(ギャン泣き)
19:30 爆速で夕飯準備、上の子に塾の丸付けと解き直しを指示
20:30 下の子をお風呂に入れて寝かしつけ(一緒に落ちかける)
21:30 復帰して上の子の過去問採点&スケジューリング

算数の間違い多すぎて解説動画一緒に見たいのに、下の子が「ママ絵本読んで!」ってぐずる。

上の子には「ちょっと待って!」って怒鳴っちゃうし、仕事のメールは鳴りやまないし、部屋には洗濯物の山。

正直、子の受験伴走のために自分の仕事のキャリアを諦めるべきなのか、でも世帯収入減らせないし……ってグルグル考えて泣けてきた。

丁寧に伴走できてる専業ママさんのアカウント見ると、眩しすぎて目から汗が出る。
明日も5時起き。もう酒飲んで寝る。

#2027年組 #中学受験 #ワーママの限界 #ワンオペ育児 #キャパオーバー

限界ワーママさんは、仕事と家事と育児と中受の伴走で、身体が限界にきて、悲鳴を上げています。
私は、限界ワーママさんの投稿にリプライ(返信)をしました。

◆限界ワーママさんへのリプ

「本当にお疲れ様です……! 読んでいて胸がキュッとなりました。
仕事、下の子のケア、上の子の伴走……どれか一つだけでも大変なのに、全部を一人で回しているなんて凄すぎます😭
今夜はもう丸付けも家事も放り投げて、体を休めてくださいね。あなたはもう十分すぎるくらい頑張ってます!」

事例2.課題の山に埋もれる伴走ママの投稿

【アカウントの概要】

5年(男子)の母 / パート勤務 / 伴走重視・学習管理担当
【投稿テキスト】

もう深夜1時。リビングの机、塾のテキストと学校のドリルで足の踏み場もない。

塾からは「この復習テストで満点取れないと上のクラス落ちます」って脅され(=毎週の宿題量がバグってる)、学校からは「自主学習ノート毎日2ページ」とかいう謎の宿題。

正直、学校の漢字ドリルやってる時間あったら、塾の算数の解き直しさせたい……でも提出しないと内申点(通知表)に響く。

昨日の夜も「なんでこんな簡単な計算でミスするの!」「学校の宿題いつやるつもりだったの!」って子供を追い詰めちゃった。
子どもは涙目で「今からやる…」って半泣きで漢字書いてて、その横で私、自己嫌悪で吐きそうになりながら塾のプリントのカットと整理。

なんで我が家はこんなに回らないんだろう。

塾の課題、みんな本当に全部こなせてるの?

「間引き(捨てる問題の選別)」をしなきゃいけないのは分かってるけど、どれを捨てていいのか判断する余裕すらなくて、結局全部やらせようとして親子でパンクしてる。

もう何のために受験させるのか分からなくなってきたな……。

#2028年組 #中学受験 #5年生 #宿題が終わらない #伴走の限界 #親のキャパオーバー

伴走ママさん親子は、学校と塾の課題の山に溺れそうになっています。
私は、限界ワーママさんの投稿にリプライ(返信)をしました。

◆伴走ママさんへのリプ

「本当にお疲れ様です……。真夜中に足の踏み場もない机を見つめていると、本当に気が遠くなりますよね😭

お母さんがそこまで真剣に向き合っているからこそ、お子さんも泣きながらでも机に向かっているんだと思います。

『全部やらせなきゃ』って思うのは親として当然の愛情ですし、自分を責めないでくださいね。今夜はまず温かい飲み物でも飲んで、体を休めてください💦」

事例3.塾のテストの結果に一喜一憂するブレブレ母さんの投稿

組み分けテストの結果が出て、メンタル完全に崩壊中……。

前回過去最高偏差値を叩き出して「この調子!」って家族で喜んでたのに、今回は急降下してマイナス8。

算数が大爆死。得意だったはずの国語まで記述全滅ってどういうこと??
正直、成績が良い時は「うちの子天才かも!」「このまま目指せ難関校!」ってウキウキで美味しいもの食べに行って、結果が悪いと一気にドン底に落ちて子どもに冷たい態度取っちゃうの、本当に最低な親だと思う。

偏差値の数値一つで私の感情が乱高下して、家庭内の雰囲気が最悪になる。

「数字に振り回されちゃダメ」「一喜一憂しない」って本やネットで100回読んだのに、いざマイナス数字突きつけられると動悸が止まらない。
当の本人は「あーあ、下がったな〜」ってYouTube見てて、その温度差にもイライラ。

偏差値の波に酔って、もう胃が痛いです……。

#2028年組 #中学受験 #組み分けテスト #偏差値乱高下 #メンタル崩壊 #一喜一憂

ブレブレ母さんは、塾の成績が気になって、心が乱れているようです。
私は、ブレブレ母さんの投稿にリプライ(返信)をしました。

◆ブレブレ母さんへのリプ

「私は、元教員です。投稿を拝見して、声をかけたくなりました。

数字に心が乱高下してしまうのは、それだけお母さんが我が子の伴走に本気で心を注いでいるからこそですよね。

お子さんがケロッとYouTubeを見ているのも、実はお母さんのショックや怒りを察して、これ以上場が重くならないように必死で自分を守っている(防衛本能の)姿だったりします。子どもなりに必死でバランスを取ろうとしているかもしれないですよね。」

2.降りられないジェットコースター

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