通級指導教室の凸凹な日々。♯31 「うっすら困っている子」を、どう支援するか

元通級指導教室担当・高田保則先生が、困っている子どもたちに寄り添う視点から、現在の教育の様々な課題について発信する連載。一度学校現場の外に出たからこそ見えてくる、現場にとって有益なヒントがいっぱいです。今回は、いわゆる「普通の子」も含めた「多様性の包摂」について考えます。
執筆/「学び方相談室」代表(元・北海道公立小学校通級指導教室担当)・高田保則
目次
はじめに
北海道オホーツク地方の小学校で、通級指導教室を担当していた高田保則(たかだやすのり)です。日々、子どもたちと向き合う中で感じたことや考えたことを綴っています。ここに記す事例は、これまでに出会った子どもたちのエピソードを組み合わせて作った架空のお話ですが、実際に過ごした時間の空気感を込めています。
教員を退職し、学習アドバイス事業の「学び方相談室」を開業して、3か月が経ちました。相談依頼が少しずつ届くようになってきました。今回は、先日ご相談をお受けした事例を紹介しながら、学習アドバイス事業の意味を考えてみたいと思います。
1.「普通の子」からの相談
先日、私が運営している「学び方相談室」で、小学4年生のYさんとオンラインで面談をしました。
画面に現れたYさんに、私はいきなり勉強の話をしたわけではありません。
「夏休み、何が楽しかった?」
そんな話から始めました。
Yさんは、祖父母の家へ遊びに行ったことを話してくれました。特に印象に残っていたのは、海に行ったことだったそうです。
学校や放課後のことも聞いてみました。
Yさんは塾に通っています。週に1回、4人ほどの小グループで算数の授業を受けています。そこには仲のよい友達がいて、分からないところを教え合うこともあるそうです。授業のない日にも、自分から塾の自習室へ行って宿題をすることがあります。
工作も好きです。図書館の工作教室に参加して、弁当箱を作ったことも話してくれました。
学校に通っている。友達もいる。塾にも通っている。好きなこともある。
おそらく学校でYさんを見ていたら、私も「特に心配のない子」と見ていたかもしれません。
でも、お母さんには、少し気になっていることがありました。
4年生になってから、単元テストの点数が以前より下がってきたこと。そして家庭で勉強していると、集中できるのは5分くらいだということです。
大きな問題が起きているわけではありません。でも、毎日そばで見ているお母さんには、何か引っ掛かるものがずっとありました。それで、学び方相談室に相談を申し込むことにしたそうです。
