1月の学級通信:日記掲載型の通信から気付くこと

連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

明けましておめでとうございます。年が明けて3学期がスタートしました。それと同時に今の学級で過ごす日々も残り3か月。慣れ親しんだ仲間と過ごす時間もあとわずかです。今月は日記掲載型の通信を通して気付いた「共有体験」についてお話しします。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

1月の学級通信:日記掲載型の通信から気付くこと、のイメージ画像
写真AC

友達の日記を読んで心のつながりを実感

1年近く、日記に取り組んでいると、時々面白いことが起こります。書いている内容が偶然一致することがあるのです。もちろん、運動会や作品展などがあった時には皆そのことを記していますが、そういった特別な出来事がない時にも、偶然の一致が起こることがあるのです。

▼学級通信「つながりNo.150」

ぐうぜん?

【子供の日記】
今日は漢字テストが、かえされました。そうしたら、みんなが良い点だったみたいでうれしかったです。みんなが練習をしたので、いい結果がでて、みんながよろこべたと思います。【Aくん】

今日は、先生が6時間目にしゅっちょうに行っていました。だけどみんないつもよりもがんばっているようにみえました。【Bさん】


ぼくは、今日「つながり」に書かれていたCくんの日記を見て、「Cくんは詩を書いているのかな?」と思いました。Cくん本人に聞いてみます。【Dくん】

【教師のコメント】
漢字テストについてが7人、先生が出張だった6時間目にみんなが頑張っていたことについてが6人、前号のCくんの「つながり」についてが4人でした。みんなが同じことを思うことがあるんですね。もちろん日記に書いていないけれど、そう思ったという人もいるかもしれません。毎日一緒にすごしていると、こんなこともおきるんですね。

12月13日 学級通信「つながり」No.150

「漢字テストでみんなが練習を頑張った」
「先生がいない時間もみんなが頑張っていた」
「前号のCくんの日記が面白かった」
といった気持ちを、同時に何人もの子供たちが持っていたことが分かります。

臨床心理士で学術博士の近藤卓氏(*)は著書の中で、体験をともにして、同じような感情を共有する「共有体験」には、基本的な自尊感情を高める効果があることを明らかにしています。一緒に時間を過ごし、同じものを見たり、同じように感じたりすることで、子供たちは自分の感じ方は間違っていない、自分はこのままでいいんだと確認することができるというわけです。

この共有体験を促すことは、日記掲載型の学級通信の大きなねらいの一つです。見方を変えれば、学校生活には体験を共有する機会がたくさんあります。きっとその時に、同じようなことを感じたり、考えたりすることもあることでしょう。しかし、多くの場合その思いを共有することはありません。

しかし、毎日仲間の日記を読んでいれば「自分もそう思う」「なるほど、たしかに」と感情を共有することができるのです。そんな心のつながりが持てるようなきっかけになってくれたら――そんな願いを持ちながら、この日記を掲載する形式の学級通信に取り組んでいます。

*近藤卓『自尊感情と共有体験の心理学―理論・測定・実践』(2010) 金子書房

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました