2月の学級通信:日記を通して友達の体験を共有

連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

この学級通信の連載も今回を含め残り2回となりました。今月は深まりを見せる子供たちの日記とともに、年度末に子供たちへ伝えたいメッセージについて考えていきたいと思います。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

2月の学級通信:日記を通して友達の体験を共有、のイメージ画像
写真AC

学級の終わりが近いこの時期だから、今が大切であることを伝える

2月に入り、長かった1年も終わりが近づいてきました。この時期になると、毎日続けてきた日記もより一層内容が濃くなってきます。

▼学級通信「つながりNo.162」

「うつろい」

【子供の日記】
今日いつも育てている花がさきました。オレンジ色の花がとってもきれいでした。でも何日もさいていて、いつかかれると思うとすこしさみしいです。今を大切にしたいです。【Aさん】

今日は後ろ二重とびが7回できて、1回多くできたので、とてもうれしかったです。次は、後ろはやぶさを練習して1回でも多くとべるようにしたいです。前二重とびは100回を目指して練習をしたいです。【Bさん】


【教師のコメント】
どんなものごとも、かわりつづけていつかかならず終わります。だからこそ、今が大切なんですね。3-2もあと6週間ほど。今日を、今を大切にしましょう。

2月12日 学級通信「つながり」No.162

なかなか小難しいコメントをしているなと、読み返しながら反省しました。きっと子供たちの文章の深まりに触発されていたのでしょう。

ここで大切にしたかったのは「学級の終わりが近づいていること」を伝えることです。せっかく縁あって出会った仲間、学級ですから、淡々と1年を終えるのではなく、いろいろな思いを感じながら次の年に向かってほしいところです。

確かに、もう同じメンバーで過ごすことはないかもしれません。しかし、ここで少しでも「このクラスで良かったな」「なんだか少しバラバラになるのが寂しいな」など、学級や仲間に対する愛着を感じることができれば、きっと新しい学級に進んだ時にも、良い関わりを築こうとしてくれるはずです。そんな思いから、2月の段階に学級全体で終わりに向かっていくことを大切にしています。

もう1号、紹介したいと思います。

▼学級通信「つながりNo.175」

「どうしたら」

【子供の日記】
今日体育でこの前と同じし合をしました。この前のし合でたたかった相手ではなく、まだたたかったことのないチームと対決しました。どのチームも強かったですが、その中でCくんのチームがとても強かったです。取りに行くと、「ひょいっ」と、ボールを持っているのに、持っていないようによけられました。どうしたら取れるか、何回も考えてもすぐによけられてしまい、点を入れられてしまいます。でも先生が取るやり方を教えてくれたので、次の体育の時間、もう1回対決したいです。 【Dくん】

【教師のコメント】
うまくいかないことがあった時、人がとる行動にはいくつかパターンがあると思います。人のせいにする、みとめない、考えないようにする、ぼう言をはく、言いわけをつくる、そして、自分にできること、かえられることを考える。Dくんがどんどん成長していく理由が、少し分かった気がします。

2月27日 学級通信「つながり」No.175

日記型の通信の強みは、こうして他者の体験を、文章を通して追体験できることです。子供たちは、日記を読みながら、そこで起こった出来事とともに、その出来事をどう捉え、どんなことを考え、どんな行動に移したのかを知ることができます。

こうした、捉え方や考え方、行動への移し方を知ることができる機会というのはなかなかありません。国語や道徳の教科書に載っている「大人が想像した子ども」の、心の動きくらいしかないのではないかと思います。

仲間の日記には同級生の心の動きがありありと描かれています。それも、自分も同じ空間にいたわけですから、よりイメージがしやすいはずです。こうして日記型の通信を毎日読み、追体験を繰り返していくと「あの場面をこんなふうに見るのか」「こんなことを考えていたのか」と、他者に触れる機会にたくさん恵まれます。

きっとその積み重ねは、一人一人の見方や捉え方、考え方を大きく広げていってくれるはずです。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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