10月の学級通信:発信することが教師自身の気付きにつながる

連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

“子供の日記2編+教師のコメント”という形式で、ムリなく発行を継続している学級通信。今年度も後半となり多忙な時期ですが、教師にとって通信を書くことは、日々の様子を家庭へ発信するだけでなく、その日を振り返り子供たちへ伝えきれなかったことを省みる貴重な機会でもあるそうです。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

10月の学級通信:発信することで教師自身の気付きにつながる、のイメージ画像
写真AC

学級通信を書くことで思考が整理され、新たな気付きがある

10月に入り、1年間の学級生活も折り返し。仲間と力を合わせて行う、自治的な活動も少しずつ増やしていきたいところです。実際に、3年生を担任したこの年も、仲間の話に耳を傾けることができるようになってきたように感じたので、この10月から学級での話合いを始めることにしていました。

▼学級通信「つながりNo.88」

【子供の日記】
「学級会を終えて」
今日4時間目に学級会をしました。今日のおだいは4時間目にあったお楽しみ会についてでした。じゅんばんに発表してさいごに、わたしが大声キャンペーンのことについて言うと、Bくんがわたしの意見につなげて発表してくれました。わたしは「Bくんは人の意見をちゃんときいていてすごいなあ。わたしの意見に対して答えてくれたのもすごいなあと思いました。わたしも人の意見につなげて発言できるといいです。【Aさん】

ぼくは今日の4時間目に体育館でお楽しみ会をやりました。大声キャンペーンをずっと前からきかくしていたのでお楽しみ会のときにやりました。話し合いでもそのキャンペーンのことを言ってくれて嬉しかったです。【Bさん】

【教師のコメント】
ただ思いついたことを口にすると「言い合い」になってしまいますが、仲間の考えを聞いて、それにつなげて話せば「話し合い」になるかもしれません。

10月6日 学級通信「つながり」No.88

学級通信のよさは、文章を書きながら、その日の活動の振り返りができるところです。この日の話合いはどうだったかな、子供たちはどんなことを思っていたのかな、と通信を書きながら授業の様子や子供の反応を整理していくことができます。

例えば、この88号では、書いているうちに「意見をつなげていくこと」の大切さに気が付くことができました。学級でせっかく話合いをしても、子供たちが、思ったことをそれぞれ伝え合っているだけでは、意見のぶつけ合いになってしまいます。それでは話合いが深まっていくことはなく、中には自分の意見が無視された、否定されたと思ってしまう子供もいるかもしれません。

しかし、この日記に書かれているように自分の意見に対し誰かが反応してくれると、意見を出す意味を感じることができます。「なるほど」「そういう見方もできるのか」と考えが深まっていくかもしれません。話合いを聞きながら私が感じていた「なんだかよい話合いにならないな」というモヤモヤの正体が、はっきりとした気がしました。

昨年から学級通信の発行を始めている同僚が先日、「学級通信は、自分のためになっている部分も大きいですね」と話してくれたことがありました。私もその意見に大きく賛同しています。学級通信を書きながら、一日のことを振り返っていると、その場ではよく分からなかったことや上手に子供たちに伝えられなかったことが段々と整理されてきます。

「あの子のあの言葉にはこんな意味があったのかもしれない」「この行動には、こういうよさもあったのか」そんな気付きや発見がたくさんあるのです。学級通信は、子供たちに何かを伝える発信の場だけでなく、教師自身の省察の場でもあるのだと思います。
一年の学級生活の折り返し地点にあたるこの時期はとくに、それを感じると思います。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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