11月の学級通信:「荒れの11月」を「実りの11月」にする教師の目

連載
学級通信でつむぐ教室の物語|中学年

愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

学級が荒れやすいと言われる11月に突入しました。ですが、この時期は4月から積み上げてきた成果が実る頃でもあります。それは、子供たちの日記からも感じ取ることができます。学級通信ではそうした子供たちの「実り」を見逃さずにしっかり記録し、保護者の方々の記憶となって残るよう、大切にしていきたいと思っています。

執筆/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

11月の学級通信:「魔の11月」が「実りの11月」になる子供たちの成長ぶり、のイメージ画像
写真AC

子供たちの成長が実を結ぶ「実りの11月」

肌寒さを感じるようになった11月。2学期も残すところあと2か月となりました。この11月は、日本では新嘗祭(にいなめさい)、アメリカでは感謝祭と、古くより実りの秋を祝う行事が執り行われる季節ですが、不思議なことに学級でも少しずつ4月から取り組んできたことの「実り」を感じることが増えてくるタイミングのように感じています。

学級経営が難しくなる時期だからこそ、この実りに目を向け、価値付けていくことを大切にしたいと思っています。

▼学級通信「つながりNo.111」

【子供の日記】
今日は理科と体育のじゅ業がありました。私がコーンのあとかたづけをしているときに、○○君が「おれがもつよ」と言ってくれたのがうれしかったです。そのあとに△△さんが私の理科のノートをさがして持ってきてくれたのがうれしかったです。やさしい友達が身近にいるのが幸せです。【Aさん】

今日3年2組のみんなで王様ドッジをしました。さいしょのたたかいはせきをたてにわけていました。それをやってみたらぼくのチームがかちました。2回せん目もやりました。次のチームはよこでわけました。2回せん目をやっていたらチャイムがなってしまい、次のじゅ業が習字だったのでみんなあわてて教室にもどっていきました。(後略)【Bくん】

【教師のコメント】
男子は男子と、女子は女子としか仲良くしないのであれば、出会いの半分を台無しにしてしまいます。男子も女子も関係なく、協力したり、仲良くしたりできることみんなのことをすてきだなと思いました。

11月9日 学級通信「つながり」No.111

学級内に、男女分け隔てない関わりが増えてきたことを強調するために書いた一枚です。3年生も後半に差し掛かると、異性のことを気にし始め、男子は男子と、女子は女子とというように分かれて遊ぶ姿が見られるようになります。

しかし、多くの子供たちは異性と遊ぶのが本当にイヤになっているわけではなく、周囲からの目を気にしてしまっているようです。「○○が好きなの?」「男子とばっかり遊んでいるよね」など周りから囃し立てられるような声があると、みるみるうちに男女の間に壁ができあがってしまいます。

そうした声に負けないためにも、男女分け隔てなく関わることの良さを教師が伝えていきます。その価値をきちんと伝えることで、分け隔てない関わりの後ろ盾をつくっていくのです。

特に、一つ目の日記の「おれがもつよ」と言った場面は、一つ間違えたらからかいの対象になってしまう可能性があります。そこで、この通信を配付する時に「こういう言葉をからかってしまうクラスでは、優しい行動がなくなっていきます。逆に、こうやって素直に認め合えるクラスでは、どんどん増えていきますね。」と全員に補足説明をしました。

また11月28日の通信では子供たちが書いた詩を紹介しました。

▼学級通信「つながりNo.128」

【子供の詩】
「なぜ」
なぜ花は花といいきれるのか  花  花
なぜ豆は豆といいきれるのか  豆  豆
なぜ金は金といいきれるのか  金  金

どうしてだろうか
なぜふしぎと思うのか?
なぜ?

「詩の声」

ザーザー   海だって
ビュービュー 風だって
詩に書けば
音だって
風だって
聞こえてくる


【教師のコメント】
国語の授業で作った詩がとてもすてきだったので、しょうかいしました。本当にみんなとても上手。いろんなものやいろんなことと、つながることができるようになってきたんですね。

11月28日 学級通信「つながり」No.128

日記に取り組んできたことの「実り」を著した一枚です。毎日毎日、いろんな物事に丁寧に目を向けてきた成果だと思います。

1人目の日記を書いた子供は、毎日日記に取り組むなかで、自分の心情や気付きを客観的に見つめる視点を手に入れたようです。最後には不思議に思う自分の気持ちにすら疑問を向けています。また、2人目の子は、日記を書くなかで、言葉の中に風景や映像が詰まっていることに気が付いたのでしょう。見たものや感じたものを言葉に変えていく毎日がこのような感覚をもたらしたのだと思います。

どちらもとても3年生とは思えない、とても豊かな気付きです。こうした内面世界が言葉に表せるようになってくると、子供たちは喜んで文章を書くようになってきます。それと同時に日記や学級通信がぐんぐんと深まっていきます。

決して大きな成果が出ていなくても、目をこらして見ていくと、4月から取り組んできたことが少しずつ結実していることが見えてきます。荒れやすいと言われる11月が、実りの11月になるように。こうした子供たちの成長を少しでも多く見つけていきたいと思います。

佐橋慶彦先生プロフィール画像
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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