コロナ時代の「対話的な授業」様々なアイデアと工夫

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コロナ禍で3密を避けた授業づくりが求められていますが、それでは「対話的」な授業づくりが難しいという声も聞きます。そこでコロナ時代の対話的な授業づくりについて、今秋に授業提案を計画しているという、宮崎県のスーパーティーチャー、中西英教諭に話を伺いました。

執筆/宮崎県公立小学校指導教諭・中西英

コロナ時代の「対話的な授業」工夫いろいろ
イラストAC

「子供の思考をつないでいくことによる学び合いを対話と捉える」

4つの席が隣同士直角に向き合うように組んで対話

まず子供同士が対話のために話し合う方法について、中西教諭は次のように話します。

「コロナ感染防止のために3密を避けつつも、子供たちが『対話的な学習』を進めていくためには、いくつかの考え方があると思います。まず考えられるのが、シンプルに物理的な距離を保って、子供たちが対話を行っていく方法です。

例えば隣同士、ペアでの対話なら、それぞれが黒板の方向を見て、顔を向き合わせず、話をすれば、互いが唾液の飛沫を浴びる危険性を避けることができます。

グループでの対話は、この時期には行っていない学校が多いように思います。

例えば4人で机をつき合わせれば、どうしても近距離で向き合うため、話し合ったときに互いが飛沫を浴びせ合う危険性があるからです。

しかし、どうしてもグループでの対話があったほうが深まると考えるならば、机のつなぎ方一つを変えるだけでも子供たち同士の距離は大きく変わってきます。

具体的に言えば、四つの席が隣同士直角に向き合うように組むわけです(図参照)。それだけで互いの距離を少し長くとることができますし、子供たち同士が互いに向き合うのを避けることができます」

子供同士が正対せず、互いの距離も少し長くなる。

音声言語での話だけが対話ではない

その他にも、話し合うための工夫は考えれば可能だろうとしつつも、対話とは何かについて根本的に見直していくことが大切ではないかと、中西教諭は話します。

「決して音声言語で話をするだけが対話ではありません。むしろ話し合うべき対話の焦点が子供の中で明確になっていないまま話をさせると、対話ではなく単なる会話になってしまう場合もあるのです。

そうではなく、対話とは何かを根本的に見直すことが必要です。ちなみに私は互いの思考を交流していくものこそが、対話と呼ばれるべきではないかと思います。子供同士、子供と先生などが思考をつなぎ、ときに対立点も明確にしながら互いの思考を深め合っていくことが対話ではないかと思うのです。

そう考えると、対話にはいろんな方法があることが見えてくるのではないでしょうか。

例えば私がこれまでもよく行っていたのは、子供たちが算数の問題の解決方法を考えた後、ある子供が発表をするときに、まず式だけを読ませるのです。そこで、発表した子供以外の子たちに『この子はどう考えたから、その式になったのかな?』と問うわけです。

式に限らず、図や表を描かせて式を考えさせるとか、考え方を発表させて式を考えさせるといった方法もあります。あるいは途中まで発表させて続きを予想させるといった方法を使うこともあります。

そのように思考をつないでいくことによる学び合いを対話と捉えると、今までの授業実践の中に、多様な対話の手法があったことに気付くのではないでしょうか。そして、それは思考という点に重きを置くことで、結果として3密を避けているものになるのです」

インスタグラムがヒントの子供同士の思考交流方法

さらに中西教諭は、スーパーティーチャーとして校外に出かけるとき、支援に入っている再任用の非常勤講師・河野桐子先生が取り入れた手法も大きなヒントになると話します。

「河野先生は、SNSのインスタグラムにヒントを得た子供同士の思考交流方法を考えて、実践してくださっています(写真参照)。

インスタグラムがヒントの子供同士の思考交流方法
インスタグラムがヒントの子供同士の思考交流方法
タイトルのR・SNSとは「廊下でSNS」の意味。インターネット・リテラシーの育成も意図していると言う。 (クリックすると別ウィンドウで開きます)

それは端的に言えば、インスタグラムの紙版で、小学校の名前を入れた”ホンスタグラム”というものです。その取り組みは例えば、総合的な学習の時間に、子供たちが宮崎の特産品について調べたら、それを絵や文章を使ってコンパクトにまとめて表現させ、廊下の壁面などに貼るものです。それによって交流を図ったら、子供たちの思考力や表現力が高まるのではないかと考えて行われたものなのです。

これは現時点では総合的な学習の時間に限って行っておられるものですが、他教科でも例えば、長い単元を通して考えていくことについて、互いの考えを掲示し、それを見合って、次の学習につなげることも可能でしょう。

そうすることで互いの考えを熟考する時間をとることができますし、より質の高い対話を行うことができるように思います。

いずれにしても、対話を単なる音声言語の交流と捉えず、思考の交流として考えていくことで、過去の実践の中からよい手法を見付け出したり、新たな手法を考え出したりすることが可能になるような気がします」

取材・文/ 矢ノ浦勝之

『教育技術 小三小四』2020年10月号より

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