雨の日に見つけた小さなレンズ|都市編⑨【地域と生活の科学~見つけよう!探究学習の種】

いまや私たちは毎日のようにスマートフォンを持ち歩き、頻繁に写真を撮っています。しかし、ときには撮影した瞬間には気づかなかったものが、あとから写真を見返して初めて見つかることがあります。「どうしてこんなふうに写ったのだろう」
そんな小さな疑問の中には、理科で学ぶ現象が隠れていることがあります。今回は、ある一枚の写真をきっかけに、身近な「レンズ」のはたらきについて考えてみたいと思います。
目次
ある雨の夜に撮れた、不思議な一枚
ある小雨の降る夜、スマートフォンで何気なく夜の街並みを撮影しました(図1)。写真を確認してみると、信号機は普通に写っていましたが、そのすぐ近くに、もう一つ小さな歩行者用信号が映り込んでいました。しかも、その像は上下が逆さまになっています。

撮影したときには全く気づきませんでしたが、あとから写真を見返して初めて発見した現象でした。撮影時の状況から考えると、おそらくスマートフォンのレンズに付着した小さな雨粒が原因だったのでしょう(*)。
一見すると偶然写っただけのようにも見えますが、この一枚には理科で学ぶ「レンズ」の性質が隠れています。
* カメラでは、強い光源を撮影した際に、レンズ内部で光が反射して像が写り込む「レンズ内反射(ゴースト)」が生じることもあります。しかし今回は、像が歩行者用信号付近だけに見られることや、水滴の輪郭のようにも見える部分が確認できることなどから、レンズ表面に付着した小さな雨粒がレンズとしてはたらいた可能性が高いものとして考えてみます。
小さな水滴もレンズになる
雨粒などの水滴は、表面張力によって丸くふくらんだ形になります。このような形は、理科で学ぶ凸レンズとよく似ています。
雨の日に車の窓や葉についた水滴越しに景色を見ると、向こうの景色が大きく見えたり、小さく見えたりすることがあります。これも、水滴の形によって光が屈折し、見え方が変わるためです。
今回の写真でも、小さな雨粒がレンズのような役割を果たし、歩行者用信号から出た光が屈折して小さな倒立像を結んだため、このような像が写ったと考えられます。
