ICTを活用してデータからグラフを作成してみよう!【理科の壺】

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理科の壺/進め!理科道~理科エキスパートが教える、小学校理科の指導法とヒント~
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國學院大學人間開発学部教授

寺本貴啓

一人一台端末があれば、様々なソフトを使うことができます。その一つに表計算ソフトがあります。表計算ソフトは、計算を簡単にするだけではなく、グラフに変換してデータを見やすくすることもできます。これまでは、端末自体がなかったために、子どもたちが表計算ソフトを使うことはありませんでしたが、今では教えれば使うことができます。理科の授業でも使える場面がありますので、有効に使ってみましょう。
今回は4年生の「天気と気温の変化」の学習場面を例に表計算ソフトを使ってグラフを描く方法をご紹介します。優秀な先生たちの、ツボをおさえた指導法や指導アイデア。今回はどのような “ツボ” が見られるでしょうか?

執筆/北海道公立小学校教諭・加藤久貴
連載監修/國學院大學人間開発学部教授・寺本貴啓

ICT時代の

第4学年の天気と気温の変化の学習では、天気による気温の変化について気付くために測定した気温をグラフに表します。この時期の4年生は、まだ折れ線グラフについて学習していないことから<グラフのかき方の指導の時間に時間がかかってしまいます。
そこで、ICTの出番です。ICTを活用してグラフを作成することで、天気による気温の変化について気付くことはもちろん、情報活用能力も身に付けることができます。一見難しいように思えるグラフの作成も実際作成してみると意外と簡単に作成することができます。
それでは、どのような手順で作成していくとよいか、実際に見ていきましょう。
※ここでは、Googleスプレッドシートを活用して作成します。

観察で行うことは、

調べる場所を決め、約1時間ごとに気温を計る。
その時の天気をカメラやタブレットで撮影しておく。
(今回の事例は、9時から15時まで1時間ごと記録)

の2点です。これまでの活動と大きく変わりませんが、天気の様子を撮影しておくと天気と気温との関係がより気付きやすくなります。なお、観察の際は、役割分担をしながら、全員が役割を経験できるようにしましょう。

また、前の学年で学習した内容をどの程度理解しているのかを見取ることもできます。例えば、4年生の電気の学習を行う際に、マインドマップを導入時に作成する場合、3年生で学習した「回路」についての理解がマインドマップに表現されているかを見取ることができます。

⑴ 表計算ソフトに気温データを入力する

まず、観察を行った後、気温を下のようにスプレッドシートに入力していきます。

⑵ 表に入力した気温データを折れ線グラフにする

次に、この表をグラフにします。
グラフを作成するには、ツールバーの「挿入」を選択し、グラフをクリックします。

クリックすると下のようなグラフが出てきます。

⑶ 気温の折れ線グラフと天気の様子の写真を紐づけて見やすくする

最後に撮影した天気の画像をグラフの中に挿入します。ツールバーの挿入を選択し、「画像」「セル上に画像を挿入」をクリックし、撮影した画像を選択します。
最後に標題の部分をダブルクリックして標題を変えて完成です。

これで、グラフの完成です。このようにわずかなステップでグラフを完成させることができます。自分たちが撮影した写真をグラフに挿入することで、オリジナルのグラフとなります。

なお、完成したグラフは、授業支援ソフト(ロイロノートなど)に提出することで、子ども同士で完成させたグラフを見合うことができます。

これがICTのよさです。タブレットには学級の子どもたちのグラフが提出されているので、瞬時に比較、検討することができます。教師は交流する視点を明確にしておくことで、子どもたちは天気による気温の変化について意見を交流し合い、晴れの日は気温の変化が大きいこと、曇りや雨の日は気温の変化が1日を通してあまりないことなどを捉えることができるでしょう。

この単元以外にもグラフを作成することが効果的な単元があります。第4学年では、水を熱したときや冷やしたときの温度の変わり方を調べる活動や、植物や動物の様子と気温との関係を調べる時にも同じように表計算ソフトを活用することができます。
みなさんもICTを効果的に活用し、充実した観察活動につなげてみてはいかがでしょう。

イラスト/難波孝

「このようなテーマで書いてほしい!」「こんなことに困っている。どうしたらいいの?」といった皆さんが書いてほしいテーマやお悩みを大募集。先生が楽しめる理科授業を一緒に作っていきましょう!!
※採用された方には、薄謝を進呈いたします。

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<執筆者プロフィール>
加藤久貴●かとう・ひさき 北海道公立学校教諭/北海道教育委員会の学力向上推進事業による授業改善推進チームとして、市内の全小学校を訪問し、ICT端末を活用した授業づくりを推進している。
共著に「板書でみる全単元・全時間の授業のすべて理科5年」(東洋館出版社)、「これからはじめる“GIGA”全学年・全単元×1人1台端末×活用事例 小学校理科3・4年」(日本標準)等


<著者プロフィール>
寺本貴啓●てらもと・たかひろ 國學院大學人間開発学部 教授 博士(教育学)。小学校、中学校教諭を経て、広島大学大学院で学び現職。小学校理科の全国学力・学習状況調査問題作成・分析委員、学習指導要領実施状況調査問題作成委員、教科書の編集委員、NHK理科番組委員などを経験し、小学校理科の教師の指導法と子どもの学習理解、学習評価、ICT端末を活用した指導など、授業者に寄与できるような研究を中心に進めている。


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