低学年の子供が本に親しむためのアイデア

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学習以外にもすすんで本を読み、自ら心を豊かにしていくことのできる子供になってもらうための、低学年の読書指導のアイデアを紹介します。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・阿部美弥

低学年の子供が本に親しむためのアイデア

学級でできる本に親しむ工夫

パペットなどを使って、興味を引く

一年生ではスタートカリキュラムで、読み聞かせやエプロンシアターなどを用いて幼稚園・保育園とのつながりを意識しながら読書活動を始めた学校も多いと思います。引き続き、登場人物のパペットなどを用いて興味を引き、読み聞かせに入るなどの集中できる工夫をしましょう。読み聞かせは5分程度でもよいので、「お話が面白かった」と本の世界に没頭できる経験を積み重ねたいものです。

パペットなどを使って、興味を引く

読み聞かせを日常的に

朝読書などの時間が全校で設けられている学校もあるでしょう。また、学級で決まった時間や、学習の合間などのちょっとしたすきまの時間に、絵本の読み聞かせをしてみるのもよいです。保護者や地域の方による読書ボランティアさんの読み聞かせも、子供たちが読書に親しむきっかけとなるでしょう。

学習に関連した本コーナーを設ける

国語で学習した単元の教材と同じ作者の読み物を集め、教室の廊下などに「○○さんの本コーナー」などを設ける工夫もあります。「休み時間に自由に見てもよい」などの約束を学年で決めておくとよいでしょう。

また、生活科の学習で扱っている題材に関連した本を置くのも、興味・関心を高めるよい方法です。課題解決のためのヒントとしても、本を活用できるきっかけになります。

本を通して子供同士が関わりをもつ工夫

係活動を活用して

10月から係活動を再編成して、またがんばろうという学級も多いでしょう。その際、「本係」など、読書に関する係を発足させれば、その係の活動を生かして読書を推進していくこともできるでしょう。

<本に関する係活動の例>
係名「スマイルブック係」
係のめあて みんなが本を読んで、もっとスマイルになってもらう。

係の活動内容の例

スマイルブックチャレンジ

本をたくさん読んだ人に、手作りのメダルや賞状をプレゼントする。

読み聞かせ 

朝の会などを使って、本の係の子供が友達に読み聞かせをする。

おすすめ本の紹介

本の係の子供が読んだ本の中で、おすすめしたい本を友達に紹介する。

学級文庫コーナーを楽しくする

学校図書館から学級で借りた本や学級に割り当てられた本があれば、学級の一部に「学級文庫コーナー」を設け、自由に読めるようにしましょう。その際、本の係と連携して学級文庫コーナーを楽しく盛り上げることも考えられます。

  1. 学級文庫の「貸し出しカード」を作る。
  2. 学級文庫のおすすめなどをポスターにする。
  3. 本に帯やポップを付ける。
  4. 学級文庫コーナーを飾り付けする。など

壁新聞にまとめる

「本の係新聞」などと題して、本の係のおすすめや学級の友達に好きな本のアンケートをとり、それを集計して載せたり、友達にインタビューして載せたりした壁新聞を作ることも楽しいです。

自分の記事が載ることで、さらにわくわくしながら本を読むことでしょう。


このように、本の活動を通して、係活動を豊かにすることが考えられます。子供同士が自分たちから関わり合っていくことができるとよいですね。

学校図書館との連携を図る

本に親しむには、学校図書館との連携が重要です。子供たちの学習や発達段階に応じた本がたくさんあるので、司書教諭や委員会担当教諭の協力を得ながら、本に関わっていきたいものです。

図書館のしかけを活用する

司書教諭や学校図書館の担当の教諭と連携して、図書館のさまざまなしかけを子供たちと楽しんでみてはいかがでしょうか。

〈例〉読書の木

読んだ本の感想を書く。

読書の木

委員会活動も生かして

学校図書館で、図書委員会の子供が本の貸し出しや整備を行っている学校も多いと思います。委員会活動の中で「全校が楽しめる読書の秋」などと活動を考え、実施してみるのはどうでしょうか。ブックスタンプラリーや、本を○冊以上借りた人に賞状を贈るなど、高学年のアイデアを生かした工夫が考えられます。

家庭との連携を図る

学校で読書のきっかけづくりをしたあとは、家庭でも好きな本を見付けて読んだり読み聞かせをしてもらったりして、本と関われるよう連携を図るとより効果的です。

読書カード

読書カード

音読カード

音読を家庭学習として出している学校も多いでしょう。その他にも、読書カード・国語の音読の発展として活用することもできます。

イラスト/佐藤雅枝

『教育技術 小一小二』2020年10月号より

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