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【高橋純教授が解説】子どもの思考はどこまで深まっているか? 思考力を見取る「思考深度フレームワーク」[後編]

連載
「デジタル×深い学び」の授業デザインReport

[前編]では、子どもの思考の深まりを見取る「思考深度フレームワーク」について、「第2形態」までを解説しました。今回は「第3形態」の具体像と、各形態間の関係性について解説します。

この記事は、「デジタルを活用したこれからの学び」の授業づくりを支える理論を、識者がわかりやすく解説するシリーズ第6回目です。記事一覧はこちら

東京学芸大学教授
高橋 純

東京学芸大学教育学部教授、日本教育工学協会会長、東京都教育委員。教育工学、教育方法学、教育の情報化などが専門。著書に『学び続ける力と問題解決―シンキング・レンズ,シンキング・サイクル,そして探究へ』(東洋館出版社)などがある。

第3形態:考えと考えを束ねて、自分の考えをつくっているか

第3形態は、高学年以降に多く見られます。「この考えと、この考えと、この考えは同じじゃん。だから私は……と考えた」というように、複数の見方・考え方を総合的に働かせ、知識を構造化・抽象化・一般化・概念化していく状態です。第2形態が「事実と事実をつなぐ」なら、第3形態は「考えと考えを束ねる」と言ってもよいでしょう。

出川小学校の6年生の発表を例に挙げます。歴史の学習の最後に、源平の争い、日清戦争、日露戦争、満州事変、第二次世界大戦と、戦争や争いを並べ、「多くの命が奪われた」「笑顔や幸せが減る」「復興や平和が大切」とまとめました。さらに「身分や差別の問題は、いじめとつながっている」と、2000年以上争い続けてきた歴史と、自分の身近にある差別とを結びつけたのです。ごくシンプルですが、考えと考えをつなげて、新しい考えをつくり出しているという意味で、第3形態的なプレゼンテーションと言えます。

藤山台小学校の社会科の板書も、第1から第3形態への流れがよくわかる例です。「いつ」「どこ」「なに」で事実をしっかり集める(第1形態)。「なぜ?」「つまり」と、比べたり理由を考えたりしてまとめる(第2形態)。そして最後に、「東京オリンピックは日本にとって〇〇だった」「つまり、意見が言える国にしたかった」と、より抽象度の高い言葉で概念化していく(第3形態)。6年生の最後に、こうした取り組みが行われていました。

藤山台小学校6年社会科の板書。事実の収集(第1形態)、なぜ・つまりによる分析(第2形態)、概念化(第3形態)が1枚の板書に表れている。

形態の間は「不連続」、形態の中は「連続」

ここで、「形態」という言葉にこだわっている理由を説明します。思考力は、努力に比例して直線的に伸びていくものではありません。ずっと活動を続けているうちに、ある日突然できるようになる。自転車の練習で、ある瞬間からふっと乗れるようになり、以後はずっと乗れるようになるのと似ています。言葉で説明しても伝わらないけれど、一度第3形態で書けるようになった子は、その後も大体書けるようになることが多いです。まるで突然変異のような、質的で不連続な「転換」です。

一方、それぞれの形態の中には、量的で連続的な熟達度があります。そこで、形態の数字と、S・A・B・Cを組み合わせて表すことをおすすめしています。例えば先ほどの6年生の発表なら、「第3形態だけれど、BかCくらいかな」といった具合に、「3B」「3C」と表す。すると子どもも「次は3Sをめざそう」と考えられます。

「概念化」「構造化」といった言葉は、人によってイメージが違いすぎます。子どもと共有するなら、「事実」「考え」「考え×考え」くらいのシンプルな言葉のほうがよいでしょう。

  中学生のレポートを事例に検討

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