【小5・国語「言葉でスケッチ」】生成AIを使って表現を磨く〈デジタル×深い学び〉
2026年3月、台東区立上野小学校5年2組の国語では、教科書の「書く」の単元「言葉でスケッチ」に取り組んでいました(菊地恭平教諭)。ねらいは見たままを説明するだけでなく、読む人にその場の様子や自分が感じたことまで伝わるように、言葉を選んで書くこと。授業では生成AIも活用し、写真から読み取ったことをどこまで具体的に言葉で表せるかを確かめながら、より伝わる描写を考えていきました。

この記事は、連続企画『「デジタル×深い学び」の授業デザインReport』の48回目です。記事一覧はこちら

東京都台東区立上野小学校
「Team 上野小」を合言葉に、全教職員が力を合わせて学校教育を進めています。子どもたちの幸せと、よりよい社会づくりをめざし、自立に向けた本物志向・未来志向の学びを大切にしています。一人ひとりの可能性を伸ばし、挑戦する力と豊かな心を育てる学校です。
目次
[授業のはじめ]
生成AIを使って、
見本と同じ画像を作ってみる
授業の初め、菊地先生は子供たちに教科書を開かせたあと、生成AIを立ちあげるように声をかけました。そして、1枚の写真を示しながら、「これと同じ画像を作ってみよう」と投げかけます。
ところが、「猫」「白い猫」といった言葉だけでは見本と同じ画像にはなりません。向きや体勢、色、周囲の様子などが少しずつ異なる画像が生成され、子供たちからは「おしい!」「近いけど違うなあ」「白猫が黒猫になっちゃった」といった声が上がりました。

そこで菊地先生は、「どんな言葉を入れると、この猫の画像に近づけることができるかな」と問いかけます。子供たちは、生成された画像と見本を見比べながら、「何が違うのか」「どんな情報が足りなかったのか」を考えていきました。
例えば、ある子供は、「猫がふっくらしているか、やせているか」「草の種類や大きさ」「猫の顔がどちらを向いているか」「どんな体勢で寝ているか」など、プロンプトに加えたい要素を整理しました。言葉を具体的にしてもう一度生成すると、画像は見本により近いものへと変わりました。
ここで大切にされていたのは、見たままの情報を細かく伝えることだけではありません。菊地先生は、子供が「気持ちよさそう」「笑っているように見える」など、自分が写真から受け取った感じも言葉にするよう促していました。見えることだけでなく、感じたことまで表現に入れることで、より相手に伝わる文に近づいていくからです。

生成AIの反応を通して、「自分の言葉では何が足りなかったのか」を確かめ、画像をもう一度よく見て、言葉を具体的にしていく。最初の「おしい!」が、対象を詳しく捉え、表現を見直す学びの出発点になっていました。
[授業のなか]
トライアンドエラーを繰り返し
表現を深めていく
続いて、子供たちは自分で撮影した写真を使い、思い描く画像に近づける活動に取り組みました。自分自身の写真を映画のキャラクターやヒーロー風にしたり、文房具を組み合わせた写真を基にしたりと、題材は様々です。ここでも、1回で思いどおりの画像になるわけではありません。
元の写真と生成された画像を見比べながら、「どこが違うのか」「何を言葉で足せばよいのか」を考え、プロンプトを見直していきます。服装や持ち物、表情、背景など、最初は書ききれていなかった情報を具体的に言葉にすることで、画像を少しずつ自分のイメージへ近づけていきました。
例えば、ある子供は、自分の写真と最初に生成された画像を見比べ、次のように「うまくいったところ」と「改善したいところ」を整理しました。
【うまくいったところ】
ペンライトをライトセーバーのように持ち、満足そうな表情で白衣を着て、本棚の前に立っている少年。
【改善したいところ】
●部屋を明るくする。
●ペンライトを短くする。
●本棚を小さくする。
●日本人にする。
●帽子をかぶせる。
実際に、試行錯誤を重ねた子供の画像を見ると、その変化がよくわかります。左の画像からさらに言葉を加えたり表し方を工夫したりすることで、右のように、狙ったイメージに近い画像ができあがりました。生成AIの反応を確かめながら言葉を選び直す体験を通して、子供たちは「どう書けば相手に伝わるのか」を具体的に学んでいきました。
一人で試行錯誤するだけでなく、友だちの画面を見たり、表現を参考にしたりする姿も見られました。どんな言葉を使えば、自分が思い描いたことをより正確に伝えられるのか。生成された画像を手がかりに、自分の表現を何度も見直していました。



