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47都道府県縦断!全国オリジナル地域教材でつくる「本気!」の道徳授業#35 あんこもん〜社会を創る人の思いに触れる

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北海道公立小学校教諭

藤原友和
連載「47都道府県縦断!全国オリジナル地域教材でつくる「本気!」の道徳授業」バナー

全国各地の「ひと・もの・こと」を教材化し、子どもたちの感情、思考、価値観を大きく揺さぶる道徳授業をつくる。さらにそれらを集めてアーカイブ化しようという野望に満ちたリレー連載。原則として毎週公開します。今回の執筆者は、群馬県前橋市の瀬戸山千穂先生です。

編集委員/藤原友和(北海道函館市立鍛神小学校教諭)
執筆/瀬戸山千穂(群馬県公立中学校教諭)

1 はじめに

みなさん、こんにちは。

群馬県前橋市で中学校の教員をしております、瀬戸山千穂と申します。藤原先生よりご縁をいただき、このたび寄稿させていただくことになりました。

群馬県はとても魅力あふれる地域の1つです。
いや、これは少し誤解を招く表現なので訂正します。

日本全国、人が暮らす場所に魅力のない地域はありません。地域を歩き、そこに暮らす人の話を聞いていると、「なぜ、この人はこんなことを始めたのだろう」「なぜ、これを続けているのだろう」と思うことがあります。その人の思いや願いに触れるほど、目の前にある店や建物、商品、活動の見え方が変わっていきます。

わたしたちは、そんな誰かの思いや願いが込められたものに囲まれて生活しています。

ところが、その思いや願いは目には見えません。 誰がつくったのか、何のためにつくったのか、どうしてそこにあるのか。ただ「そこにあるもの」として眺めているだけでは、その奥にある人の営みまでは見えてきません。

これは、地域に暮らす子どもたちにとっても同じです。SNSを開けば、遠く離れた場所の出来事や人について、たくさんの情報に触れることができます。その一方で、毎日歩いている道の先にどんな人がいて、どんな願いをもって地域をつくっているのかは、意外と知りません。

目に見える地域の「もの」から、目には見えない人の思いや願いを見つめる。

そんな時間を道徳科でつくることができたら、地域はそれまでとは少し違って見えるのではないでしょうか。そして、「こんな人がいたんだ」「もっと知りたい」という思いが、やがて「自分たちにも何かできるかもしれない」へ変わっていく。

今回はそんな思いから、前橋市の「あんこもん」を教材にした授業を紹介します。

「あんこもん」の紹介文と写真(公式HPより)


1  教材について

前橋市の商店街に店舗を構える「あんこもん」。市民参加型のまちづくりプロジェクトから生まれた、あんこ専門店です。5歳から81歳までの市民が参加し、あんこについて学び、商品を考え、試作を重ねてつくられました。2022年9月に期間限定店舗での営業を行い、2023年6月には現在の実店舗がオープンしました。

今回の教材化のきっかけは、2022年9月、期間限定店舗に実際に足を運んだことでした。

店内に入ってまず目を奪われたのが、壁一面に広がる「アイデアツリー」です。

壁に貼られたアイデアツリー

そこには、商品になる前のたくさんのアイデアが残されていました。店内に流れる映像や、展示されていた活動の軌跡を見ているうちに、目の前の商品だけでは見えてこないものが気になり始めました。

誰が、どんな思いで、この店をつくったのだろう。

その日のうちに、代表の本橋豊さんへInstagramを通して連絡し、インタビューをお願いしました。

インタビューは、きっちり1時間。

本橋さんがかつて暮らしていた神戸で出会った市民参加のまちづくり。そこで得た経験を前橋で生かしたいという思い。「あんこ」を入口に市民を巻き込み、商品をつくり、店を開くまでの試行錯誤。ホームページや広報媒体だけでは分からない誕生秘話や、次々と飛び出す面白いエピソード。

話を聞けば聞くほど、「あんこもん」というお店の奥に、本橋さんや参加した市民の思いや願いが見えてきました。そして何より印象に残ったのは、本橋さん自身が、まちづくりも自分の人生も面白がりながら動いていることでした。

インタビューの最中、わたしはすぐに「あんこもんを道徳の教材にしたい」とお伝えしました。そして、子どもたちが本橋さんの情熱に触れる機会をつくりたいと思い、学校と交渉し、キャリア講話の講師として当時の勤務校にお招きしました。

地域教材の魅力の一つは、教材の向こう側にいる人に、実際に会えることだと思います。

「子どもたちと出会わせたい。」

教師自身がそう思える「人」「こと」「もの」に出会ったとき、地域教材は動き始めます。今回の教材化も、壁いっぱいのアイデアツリーの向こうにいた本橋さんという一人の人に、わたし自身が強く惹かれたところから始まりました。

2 授業の実際~市民の力を信じて~

対象:中学1年
主題:社会を創る原動力
内容項目:C-12 社会参画、社会貢献

導入

社会授業の冒頭、前橋市の人口の推移を表したグラフを、何を表したグラフかを伝えずに提示します。

前橋市の人口推移を表した折れ線グラフ

「前橋市に関するグラフです。何のグラフでしょうか。」

・人口の増減グラフ。
・人口の推移を表している。

生徒の予想を受け、

「その通り。前橋市の人口の推移を表したグラフです。」

と伝えます。

続いて、グラフの先を隠したまま問いかけます。

「このあと、前橋市の人口はどうなっていくと思いますか。」

・ゆっくり減っていく。
・どんどん減る。

予想を聞いたあと、将来に向かって人口が減少していく続きのグラフを示します。

・このままだと住む人がいなくなるかもしれない。
・前橋市の街中は、確かにちょっと寂しい感じがする。

ここで、
「人口が減っている前橋市を、もっと元気にするために何が必要だと思いますか。」と問いかけます。

・子どもを増やす。
・店を増やす。
・イベントをする。
・観光客を呼ぶ。
・テーマパークをつくる。

ここでは、どの意見も否定せずに受け止めます。生徒から出てくるのは、「店」「イベント」「施設」「人を呼ぶ」といった、比較的目に見えるものが中心になると考えられます。

展開

ここで、本橋豊さんの写真を提示します。

本橋豊さんの写真

説明

「この方は、前橋のまちづくりに取り組んでいる本橋豊さんです。本橋さんは、前橋を元気にするための一つのきっかけとして、あるものを選びました。」

少し間を置いて、「あんこです。」と伝えます。

「ただし、前橋市は、小豆の一大産地というわけでも、昔からあんこで有名な地域というわけでもありません。」

そこで、最初の問いを投げかけます。

発問1  前橋を元気にするために、なぜ「あんこ」なのでしょうか?

・前橋の新たな名物にしたかった。
・本橋さんがあんこ好きだった。
・売れそうだった。
・お年寄りにも食べてもらいやすい。

いくつか予想が出たところで、本橋さんの歩みと問題意識を紹介します。

本橋豊さんは、前橋市で生まれ育ちました。長く神戸で暮らし、大手電機メーカーで宣伝やマーケティングの仕事に携わってきました。

その後、本橋さんは50歳で早期退職し、故郷の前橋に戻ってきました。当時、前橋のまちなかで新しい店や活動が少しずつ生まれていたことを知り、「自分も故郷のために何かしたい」と考えたからです。

しかし、本橋さんは一つの問題を感じていました。

「まちづくりに参加する」というと、普通の市民にとっては少しハードルが高い。どうにかして、そのハードルを下げられないだろうか。

そこで本橋さんは、学生や会社員など、さまざまな人が気軽にまちづくりに関われるをつくりたいと考えました。

ここで一度問いかけます。

「なぜあんこなのか、見えてきましたか。」

・若い人も年配の人も、好きな人が多いから。
・なじみやすく、受け入れてもらいやすいから。

意見をきいた上で、資料の続きを提示します。

本橋さんは、できるだけ多くの人にまちづくりへ興味をもってもらうため、

「地域を元気にすること」×「食」

を組み合わせることにしました。

では、どんな「食」ならよいのでしょう。

子どもから高齢者まで、年代や性別にかかわらず親しめるもの。

そして、好きな人たちが集まり、一緒に楽しめるもの。

そこで本橋さんが目を付けたのが「あんこ」でした。

あんこは、目的そのものではなく、人と人をつなぎ、普通の市民がまちづくりに関わるための「入り口」です。

ただし、この時点では、教師がその意味をまとめ切らないようにします。

「あんこもん」のあんこ製品のラインアップ

説明

「あんこで街を元気にしよう」というプロジェクトには、多くの市民が参加しました。最年少は5歳、最年長は81歳です。

参加者は、あんこについて学び、実際に炊き、さまざまな食べ方を試しながら、どんな商品があれば面白いかを考えていきました。
その中で、5歳の子どもから、こんなアイデアが出ます。

「あんこが好きすぎて、あんこを飲みたい!」

「子どもの面白い思いつき」で終わっても不思議ではありません。ところが、大人たちは本当に試してみました。そして生まれたのが、「のむあんこ」です。

のむあんこ(アイス)
のむあんこ(ICE)夏季限定
のむあんこ(ホット)
のむあんこ(HOT)冬季限定

教師はあえてこんなことをつぶやいてもいいかもしれません。

「参加した人たちの願いやこだわりを、できるだけ全部取り入れればよさそうですね。」

そして、次の事実を示します。

説明

あんこ好きの人たちが集まったプロジェクトです。当然、商品づくりへのこだわりもたくさん出てきました。
ところが、参加者全員のこだわりを商品に取り入れようとすると、原価が上がり、おはぎを1個1000円ほどで売らなければならなくなることが分かりました。

発問2  みんなの願いやこだわりを採用すると、おはぎは1個1000円になります。

「あなたが本橋さんなら、どうしますか。」

・いくらこだわりがあっても、1個1000円では売れない。
・でも、却下したらみんなでまちづくりをしたとは言えない。
・全員のこだわりを入れるのは難しいけれど、どうしても外せないこだわりだけを入れられるような話合いが必要。
・みんなが納得できるところを探す。

※ 揺さぶり
「あなたが一生懸命考えたアイデアが、一つも採用されなかったとします。それでも『わたしはこの店をつくった一人です』と言えますか。」

自分の意見が採用されることと、社会づくりに参画することは同じなのかを考えます。

【解説】実社会における価値葛藤や価値判断の場面を授業に取り入れる

ここでは、「1 市民の手で地域をつくるアイディアを実現すること」と「2 事業として持続可能であること」という2つの価値葛藤を意図的にぶつけています。

学習指導要領解説では、C-12 社会参画の内容項目には以下のように書かれています。

「社会参画の意識」とは(中略)その社会における様々な計画に積極的に関わろうとすることである。(中略)「社会連携の自覚」とは、社会生活において一人一人が共に手を携え、協力し、誰もが安心して生活できる社会をつくっていこうとすることである。

学習指導要領解説で書かれているのは、主に1についてです。しかし、社会参画を考える上で外せないことの1つは、まちをつくる活動に継続して関われるしくみをつくることなのです。
たった一度のボランティア、たった一度の参画だけでは、まちをつくることは難しいのが現実です。だからこそ、様々な人たちが襷をつなぐように、人々が継続してまちづくりにかかわる仕組みづくりが大切であり、参画する人や方法が変わっても、「自分たちの力で地域を元気にしたい」という思いをつないでいくことが必要です。

多くの地域では、この中核を行政が担っています。行政は税金を活用できるからです。しかし、税金は限られた予算の中で編成されているので、予算が打ち切られてしまうと継続できなくなる可能性が大きくなります。

本橋さんは、行政ではなくあえて民間企業が運営することにこだわっていました。継続して利益を得られる仕組みをつくり、税金のような財源がなくても長期的に運営可能な形にして、地域の人々が思いをつなげる形を実現することに力を注いでいたのです。

説明

生徒の考えが揺れ始めたところで、本橋さん自身の言葉を紹介します。

「ワークショップではいろんな意見が出るため、その意見を集約して、次のワークショップに来た方へわかるように伝えるのが私の仕事です。皆の総意で進めるプロジェクトだからこそ、意見を取りこぼさないように方向性を決めることを大切にしました。ただ結論だけを伝えるのではなく、様々な意見が出た過程も含めて伝え、『皆の意見が反映された結論になった』と納得感を持って進められるように心掛けました。

大変だったのはコストの問題です。全員のこだわりを採用したおはぎを作ると、原価が上がり、おはぎを1個1,000円で売らなければなりません。経営者として、事業として成り立つかどうかのチェックを入れながらお店作りを進めました。」

市民から寄せられたアイデアの数々

本橋さんは、市民のアイデアをできる限り生かすことと、事業として続けられること。その両方を大切にしていました。

違う考えをもつ人たちが話し合い、互いの考えを知り、その過程を共有しながら、みんなが納得できる方向を探していったのです。

発問3 本橋さんは、『あんこもん』を通して、どんな前橋をつくろうとしていたのでしょうか。

・地域の人が、自分の意見を言える前橋。
・子どもでも高齢者でも、まちづくりに参加できる前橋。
・違う意見をもつ人たちが、一緒に考えられる前橋。
・好きなものをきっかけに、人と人がつながる前橋。
・誰かに任せるのではなく、自分たちで街を面白くしていく前橋。

あんこをきっかけに、これまでまちづくりに関わってこなかった人が集まる。そこに、それぞれの「こうしたい」という思いが持ち寄られる。時には意見がぶつかりながらも、一緒に形にしていく。その営み自体が、本橋さんの考える「まちづくり」だったことを掴みます。

発問4  授業の最初に、『前橋をもっと元気にするためには何が必要か』と聞きました。

「今なら、何と答えますか。」

・前橋をもっとよくしたいと思う人。
・自分にも何かできると思えること。
・いろいろな人が参加できる場。
・違う意見でも、一緒に考えること。
・誰かに任せるのではなく、自分たちで街をつくろうとすること。

人口や店舗、商品は、目に見えます。
しかし、その奥で社会を動かしている人の思いや願いは、目には見えません。
目に見える地域の姿から、そこに込められた人の思いや願いに目を向けることで、「社会を創る」ということの意味を考える授業にしたいと思います。

3 どこにどのようにつなげるか

中学1年の道徳科教科書『新しい道徳』(東京書籍)に掲載されている「本が泣いています」は、私たちの日常にある身近な「困りごと」を扱った教材です。

市立図書館では、貸し出した本が傷つけられたり、汚されたりして返却されることが続いていました。中には、無断で持ち出される本もあります。主人公の図書館司書・岩井さんは、その状況に心を痛めます。

公共のものを誰もが自由に利用できること。利用する人がきまりを守ること。限られた予算の中で図書館を運営すること。一見すると「本を大切にしましょう」で終わりそうな問題の背景には、いくつもの事情や価値が重なっています。

「あんこもん」の授業を行った後にこの教材を扱うことで、生徒はそれまでとは少し違った見方で岩井さんの行動を捉えられるのではないでしょうか。

例えば「岩井さんは、何と何の間で迷っていたのだろう。」と問いかけることができます。傷つけられる本を守るためには、監視を厳しくしたり、規則を強化したりする方法もあります。しかし岩井さんは、そうした意見を聞いて悲しみを感じ、傷つけられて廃棄せざるを得なくなった本をロビーに並べ、

「本が泣いています」

というメッセージを添えました。

ここで考えたいのは、「なぜ岩井さんは、監視を強めるのではなく、『本が泣いています』と市民に呼びかけたのだろう。」などの、行為の奥にある思いや願いです。

市民を疑って管理するのではなく、市民自身が気付き、自分たちの図書館を大切にしてほしい。そこには、利用者への信頼や、よりよい社会を市民と一緒につくりたいという願いがあるのかもしれません。

「あんこもん」でも、目に見えるのは、おはぎや店舗、ワークショップです。しかし、その奥には、「市民の力で前橋をもっと元気にしたい」という本橋さんたちの願いがありました。目に見える行為から、目には見えない人の思いや願いを考える。この見方を、一つの教材だけで終わらせず、別の教材でも働かせていくことが大切だと考えています。
また、「社会参画、公共の精神」は、総合的な学習の時間やキャリア教育ともつなぎやすい内容項目です。
「あんこもん」の授業を終えた子どもたちに、「では、私たちが暮らす地域には、どんな願いをもって動いている人がいるだろう。」と問いかけるのもよいでしょう。

地域で活動する人を探して話を聞く。地域の困りごとを調べる。校外の方と一緒に、「自分たちにできること」を考える。そこから実際のプロジェクトへ発展させることもできます。地域には「あんこもん」以外にも、自分の仕事や得意なことを生かしながら、地域をよりよくしようとしている人がたくさんいます。そうした人と子どもたちをつなぎ、

「この人は、何を願ってこの活動を続けているのだろう。」

と考えることから、新たな学びが始まります。

また、キャリア教育の一環として、地域で活動している方を学校に招き、直接話を聞くこともできます。わたし自身も、本橋さんを勤務校にお招きし、生徒たちに話をしていただきました。

本橋さんをゲストとしてお招きした授業の一場面
本橋さんをゲストとしてお招きした授業の一場面

「あんこもん」では、5歳の子どもの「あんこを飲みたい」という発想が、実際の商品につながりました。
この事実は、「社会をつくるのは、大人になってからだけではない。」というメッセージにもなります。

道徳科で人の思いや願いに触れ、「自分だったらどうするだろう」と考える。そして、総合的な学習の時間やキャリア教育で、実際の社会とつながってみる。

教師がそのような出会いや挑戦の場を用意することが、生徒の「自分も社会の一員として関わってみたい」という道徳的実践意欲を育て、行動へ移すことへとつながっていくのではないでしょうか。

おわりに

「湯けむりフォーラム」というHPのインタビューの中で、本橋さんはこのように語っています。

前々から50歳で早期退職することは決めていて、50~75歳は社会貢献をする、75~100歳は遊ぶ、という人生を送りたいと思っていたんです。本当はもうちょっとゆったり活動するつもりだったんですが、始めたら楽しくて止まらなくなりました。『街づくりも事業もこんなに楽しいのに、一人で楽しんでいたらもったいない!』と思ったことが、今の活動スタイルにつながっている気がします。前橋の人、特に定年を迎える前の人に、地元で街づくりに関わることの楽しさを知ってほしいと思います。

義務ではなくやりたいからやる。本橋さんの一番の魅力はここだと思っています。やりたいことがまちづくりにつながる。やりたいことが結果的に社会貢献になる。そんな思いをもった人たちがどんどん増えたら、わたしたちの生活はきっと、もっと豊かにもっと楽しくなることでしょう。

考えの違いがあるからこそ面白いものが生まれ、地域が発展していきます。5歳から81歳までの多様な市民がつくったこの小さなお店が、日本各地の地域活性化を願う人たちの希望の光となることを願ってやみません。

わたしは、道徳科の授業づくりにおいて、「日常と地続きで考えること」「日常に還る学びを紡ぐこと」を大切にしています。

わたしたちは日常生活の中で、何度も迷い、葛藤しています。いつも適切に判断できるわけでも、誰もが納得する答えを出せるわけでもありません。

ところが、道徳の教材を読んでいると、ときに「これがよりよい生き方です」と最適解が用意されているように感じることがあります。でも、実際の社会はそれほど単純ではありません。

みんなの意見を大切にしたい。でも、全部を実現すれば店が続かない。
市民を信じたい。でも、公共のものが傷つけられている。
自分の思いを通したい。でも、相手にも譲れない思いがある。

わたしは、そこにこそ道徳で考える価値があると思っています。

地域教材には、そのような「まだ答えの出ていない現実」がたくさんあります。しかも、その人に会いに行くことができ、話を聞くこともでき、自分たちがその続きをつくることもできます。

最適解を考えるよりも、多くの納得解を。一人の判断だけではなく多くの判断をもとに。

ぜひ、子どもたちとともに悩み、迷い、葛藤しながら考えてみてください。考えがぶつかり、削れたりつけたされたりする過程で、あなたの生き方や志が見えてくるはずです。

「あんこもん」に興味をもたれた方は、ぜひ前橋に足を運んでみてください。遠方の方は、オンラインショップから商品やその世界観に触れることもできます。

あんこもんオンラインショップ
https://ancomon.stores.jp/

あんこの向こうにある、本橋さんと前橋の人々の思いや願いまで感じていただけたらうれしいです。

次回は、群馬のホープ、久下 亘先生がご執筆予定です。群馬で起きた、悲しくも記憶にとどめておきたい出来事と、その中で懸命に力を尽くした人々の姿を教材にした授業が紹介されます。
どうぞお楽しみに。


編集委員・藤原友和先生による共著・編著、好評発売中です。

単行本「オリジナル地域教材でつくる!「本気!」の道徳授業」カバー
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