「教科書通りの授業」を軽視していました【「授業準備が間に合わない!」ピンチから学んだ授業づくり/先輩教師の体験談#6】

児童や保護者対応、様々な校務により「授業準備の時間を確保できない……」という状況に直面したことのある先生も多いはず。本連載は、そんなときにベテランの先生方はどのように対処してきたのか、成功例そして失敗例を赤裸々に語っていただく体験談集。今回は千葉県公立小学校教諭・石橋広大先生の体験談を紹介します。
目次
「脱・教科書」「自作の資料」にこだわりすぎた
「教科書通りにやらない授業」に憧れていた
私は社会科が専門ということもあり、以前は自分で様々なデータや事例を調べて資料を用意し、それを基に授業を進めることを主眼に置いていました。
今考えると、「教科書通りに授業をする」ということを、どこかで軽視していたのかもしれません。「教科書通りにやらない授業」に憧れがあり、「もっとすごい授業をしたい」と思っていたのだと思います。
独りよがりの授業はうまくいかず、落ち込むことも
しかし、情報量が多くなり過ぎたり、内容が高度になり過ぎたりして、子供たちが十分に理解できないということが何度もありました。子供たちが「先生は何をしたいんだろう」と戸惑ってしまい、教室が「シーン」と静まり返ってしまうこともありました。
話合いをさせようとしてもうまくいかず、結局自分だけが一生懸命話をして、最後は「まとめを書こう」と言って無理やり終わらせてしまったことも……。
そんなときは本当に焦りますし、「どうしてうまくいかないのだろう」「あんなに時間をかけて準備したのに…」と落ち込んでしまい、なかなか気持ちを立て直せませんでした。
そして、1時間目がうまくいかないと、その後の授業にも影響してしまい、雪だるま式にうまくいかない授業を重ねてしまっていたのです。
時短のため教科書を活用。そのメリットを再認識
校務分掌に追われ資料を準備できない状況に
3年生の担任をしていた頃のこと。
社会科では「農家の人の仕事」「スーパーマーケットの人の仕事」「火事からくらしを守る」などの授業をする計画になっていました。
しかし、ちょうど校務分掌に関わる仕事が多い時期で、いつものように地域の教材や独自に調べた資料を準備する時間がなくなってしまいました。
避けていた「教科書に沿った授業」に、意外な反応が
そこで、とりあえず教科書の資料をうまく活用しながら、教科書に沿った授業をすることにしたのです。用意できたのは、自治体のデータくらい。教科書の内容9割に対し、自作の資料は1割程度でした。
進め方に関しても、あれこれ工夫をする余裕がなかったため、「今回は発問に対して子供たちが戸惑うようであれば、無理に答えを引き出そうとせず潔く教えよう」というつもりで臨み、板書も指導書をベースに行うことにしました。
すると、意外にも授業中の反応がとても良かったのです。
教科書に沿った内容だったので、子供たちにとってもわかりやすく、また答えを無理に引き出そうとしなかったので、混乱も少なかったのだと思います。

構成/出浦文絵
イラスト/藤井昌子
企画/小学館インクリオ
