1時間2教材の授業ってどんな授業なの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #101】

ここまで本連載では、授業のちょっとした工夫や、様々な運動教材について紹介してきました。今回と次回は、本連載執筆メンバーが実践している「1時間2教材」という授業スタイルについて紹介していきます。
初めて見聞きするスタイルかもしれませんが、「特別なもので大変」「よく理解していないと難しい」ということはありません。本連載で紹介しているような、簡単・手軽な教材の組み合わせで、どの先生でも実践可能な授業スタイルとなります。
執筆/筑波大学附属小学校教諭・山崎和人
監修/筑波大学附属小学校教諭
体育授業研鑽会代表
筑波学校体育研究会理事・平川 譲
目次
1 1時間1教材と1時間2教材の授業展開例
①1時間1教材の授業展開例は、以下のようなものです。
<図1>

この授業は、45分間を通して、1つの領域や教材を行うのが大きな特徴です。一般的な体育の授業でよく展開されるスタイルです。
②1時間2教材の授業展開例は、以下の通りです。
<図2>

大きな違いは、45分の中で2つの領域や教材を扱うという点です。
私を含む本連載執筆メンバーは、普段からこのスタイルで体育授業を実践しています。それは、以下に紹介するたくさんの利点を実感しているからです。
2 技能が伸びる
1時間2教材の授業の最大の利点は、子どもの技能が伸びることです。これが、本連載執筆メンバーがこのスタイルで授業を行っている一番の理由です。なぜ技能が伸びるのか解説していきます。図3をご覧ください。
<図3>

1時間1教材と1時間2教材の単元計画例の比較です。ここでは、マット運動と長縄跳びを例に紹介します。
1時間1教材の場合、45分間マット運動を続けるので、図3の上のような【45分✕6】の計画になります。一方、1時間2教材の場合は、マット運動プラス他教材となるので、【20(25)分✕12】となります。
どちらも、マット運動に取り組む時間は同じ6時間ですが、その期間が変わってきます。運動技能の習得には、運動教材に取り組む期間が大切になります。図4をご覧下さい。
<図4>

1年生~4年生は週3回の体育ですから、単元6時間の授業は2週間で終わります。これが、1時間2教材のスタイルで同じ6時間分の授業をすると、倍の12回となります。図4のように、12回の授業は、1か月程度の期間を要します。
マット運動は、日常生活では体験できない動きがたくさん含まれています。このような運動を習得するには、同じ動きを繰り返し行い、感覚を高めていく必要があります。図2に入れた側方倒立回転<#75、#76、#78、#79>の習得には、腕支持感覚や逆さ感覚、回転感覚を高める運動に繰り返し取り組む必要があります。これらを45分間繰り返すと、飽きが出たり、飽きが怪我につながったりする可能性が高まります。
これが、短い時間(20~25分)であれば、集中して取り組むことができます。苦手な子も短い時間なら頑張れますし、得意な子も短時間でのできることの繰り返しには、「先生、私できるよ」と喜んで取り組みます。
その結果、全員の基礎感覚が高まるので、どの子も次のステップへの見通しをもつことができます。
また、1時間2教材の利点を享受しやすい教材に、図2に入れた長縄跳び<#12、#14、#16、#43、#44、#46>や、短縄跳び<#10、#13、#15、#41>があります。
縄跳びは、マット運動とは反対に、授業以外でも取り組みやすい運動です。この特性から、授業をきっかけとして、休み時間に子どもが縄跳びで遊び出す姿が毎年見られます。毎日の遊びは、活動量からすれば20分✕週3回の授業を大幅に上回るものとなります。子どもたちは、遊びながら基礎感覚・技能を高めているといえます。
このような現象を本連載執筆メンバーでは、「○○ブーム(○○は教材名)」と呼んでいます。ブームは、教材に触れている期間が長いほうが起こりやすいと感じています。
